第16回を迎えるSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019の記者会見が6月7日(金)に都内で行われ、ラインナップが発表された。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、デジタルシネマにフォーカスを当て、国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門、短編部門)の2部門3カテゴリーのコンペティション上映を中心に開催。これまで、『孤狼の血』『凪待ち』の白石和彌監督、『長いお別れ』の中野量太監督、『ピンカートンに会いにいく』の坂下雄一郎監督、昨年の日本映画界最大の話題作『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督、今年3月に公開されて話題を呼んだ『岬の兄妹』の片山信三監督など、今や日本映画界のトップランナーに飛躍した監督や、新作を心待ちにされる監督たちが多数受賞を果たしており、新たな才能を発掘する“若手映像クリエイターの登竜門”として成長してきた。

今回行われた会見には先日発表された国際コンペティションの審査委員長を務める映画監督・三池崇史、国内コンペティションの審査委員長を務める映画監督・荻上直子。オープニング作品『イソップの思うツボ』の上田慎一郎監督、浅沼直也監督、中泉裕矢監督らが登壇した。

国際コンペティションの審査委員長を務める映画監督の三池崇史は「映画祭は、そこを目標に作っているわけではないのですが、たくさんの方に見ていただくきっかけを与えていただける場」とコメントし、自身についても「ほかの映画よりも血のりの量が3倍から4倍多い、日本においてはただのバイオレンス映画。その時のプロデューサーは、(本映画祭で)ディレクターを務める土川さんで、最初はトロント国際映画祭のミッドナイトマッドネスというカテゴリから声をかけられた」と映画祭をきっかけに活躍の場を広げたことを振り返った。

また、「2012年のSKIPシティ映画祭で出会いました」という浅沼監督、上田監督、中泉監督の3監督による『イソップの思うツボ』だが、上田監督は「7年の月日を経て、まさか共同で監督する日が来るとは思っていませんでした。作家性も違う3人ですけど、色がまじりあったいい意味でいびつさも魅力になっていると思います」とコメントした。

今回の記者会見では、すでに発表されている『イソップの思うツボ』を含む全ラインナップが発表された。昨年同様、コンペティションは国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門)、国内コンペティション(短編部門)の3カテゴリから選出される。国際コンペティションでは、韓国の俳優キム・ユンソクによる監督デビュー作『未成年(原題)』など、すべての作品がインターナショナルプレミア、アジアプレミアを含む日本初上映となる。

また、特集上映として「トップランナーたちの原点」と題して、国内外で活躍している監督のデビュー作品が4本上映される。ジョージ・ルーカス監督『THX-1138 ディレクターズカット』(*)や、クリント・イーストウッド監督『恐怖のメロディ』(1971)、さらにスティーブン・ソダーバーグ監督『セックスと嘘とビデオテープ』(1989)、本映画祭で国際コンペティション審査委員長を務める三池崇史監督の『新宿区露社会 チャイナ・マフィア戦争』(1995)と、貴重なスクリーンでの上映となる。

会見には、ほかに実行委員会会長を務める上田清司 埼玉県知事、副会長の奥ノ木信夫 川口市長、映画祭総合プロデューサーの八木信忠、映画祭ディレクターの土川勉が登壇した。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭のチケットは、前売り券が6月8日(土)より7月12日(金)まで、SKIPマート(SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ1F)、セブンチケット、ファミリーマート、チケットぴあにて販売。

ラインナップ

オープニング上映
『イソップの思うツボ』(2019/日本/*分/監督:浅沼直也、上田慎一郎、中泉裕矢)【ワールドプレミア】
国際コンペティション
『未成年(原題)』(2019/韓国/96分/監督:キム・ユンソク)【ジャパンプレミア】
『バッド・アート』(2019/アメリカ/81分/監督:タニア・レイモンド、ジオ・ゼッグラー)【インターナショナルプレミア】
『ブラインド・スポット』(2018/ノルウェー/98分/監督:ツヴァ・ノヴォトニー)【アジアンプレミア】
『私の影が消えた日』(2018/シリア、レバノン、フランス、カタール/90分/監督:スダーデ・カダン)【ジャパンプレミア】
『イリーナ』(2018/ブルガリア/96分/監督:ナデジダ・コセバ)【ジャパンプレミア】
『ロケットマンの憂鬱』(2018/ハンガリー/90分/監督:バラージュ・レンジェル)【ジャパンプレミア】
『ミッドナイト・トラベラー』(2019/アメリカ、カタール、カナダ、イギリス/87分/監督:ハサン・ファジリ)【ジャパンプレミア】
『陰謀のデンマーク』(2019/デンマーク/119分/監督:ウラー・サリム)【ジャパンプレミア】
『ザ・タワー』(2018/ノルウェー、フランス、スウェーデン/77分/監督:マッツ・グルードゥ)【ジャパンプレミア】
『旅愁』(2019/日本、中国/90分/監督:呉沁遥)【ワールドプレミア】
国内コンペティション(長編部門)
『ミドリムシの夢』(2019/日本/86分/監督:真田幹也)【ワールドプレミア】
『ミは未来のミ』(2019/にほ/分/監督:磯部鉄平)【ワールドプレミア】
『バカヤロウの背中』(2019/日本/67分/監督:藤本匠)【ワールドプレミア】
『おろかもの』(2019/日本/96分/監督:芳賀俊、鈴木祥)【ワールドプレミア】
『サクリファイス』(2019/日本/76分/監督:壷井濯)【ワールドプレミア】
国際コンペティション(短編部門)
①『春』(2018/日本/27分/監督:大森歩)
①『JURI』(2019/日本/25分/監督:西条みつとし)
①『メイリンの決めたこと』(2019/日本/24分/監督:鯨岡弘識)
②『multiple』(2019/日本/23分/監督:永治ミユキ)【ワールドプレミア】
②『遠い光』(2019/日本/19分/監督:宇津野達哉)
②『歩けない僕らは』(2018/日本/37分/監督:佐藤快磨)
③『スカーフ』(2019/日本/33分/監督:的場政行)【ワールドプレミア】
③『ぜんぶ東京のせいだ』(2019/日本/20分/監督:村木雄)【ワールドプレミア】
③『産むということ』(2019/日本/27分/監督:マキタカズオミ)
※短編作品は3作品で1プログラムとして上映
特集上映「トップランナーたちの原点」
『THX-1138 ディレクターズカット』(1971/アメリカ/88分/監督:ジョージ・ルーカス)
『恐怖のメロディ』(1971/アメリカ/102分/監督:クリント・イーストウッド)
『セックスと嘘とビデオテープ』(1989/アメリカ/100分/監督:スティーブン・ソダーバーグ)
『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』(1995/日本/101分/監督:三池崇史)
バリアフリー上映
『カメラを止めるな!』(2017/日本/96分/監督:上田慎一郎)
<日本語字幕+音声ガイド/UDCast方式上映>
※ほかに無料で入場できる4つの上映企画あり

【取材・写真・文/編集部】

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019は2019年7月13日(土)~21日(日)にSKIPシティ 映像ホール(埼玉県川口市)ほかにて開催!