『凪待ち』の完成報告試写会が6月13日(木)にロケ地となった宮城県塩竈市塩釜水産物仲卸市場で行われ、香取慎吾、白石和彌監督が登壇した。

今回、本作のロケスタート地点となった宮城県石巻市の塩釜水産物仲卸市場にて完成報告試写会が行われ、白石和彌監督が凱旋、昨年6月18日に撮影が開始されてから1年が経ち、完成した作品を持ち帰り、当時の思い出などを語った。さらに、サプライズゲストとして主演・香取慎吾が、“どうしても来たかった”と懇願して登場。会場を沸かせた。

香取は「ど~しても来たくて!」とサプライズ登場への思いを語り、会場から拍手喝采が沸き起こると、白石監督も「香取さんが、まさかのお酒のケースに乗っています!(笑)」と笑いを誘った。続けて香取は「この市場が、“木野本郁男”という僕の役を作ってくれた最初の場所なんで、皆さんのおかげで、この役が完成したのかな、と思っています。この役を演じるのに、ぴったりな雰囲気でした。昼間から酔っ払ったお兄さんに絡まれて、『おい、何撮ってんだこのやろ~!』と言われ、まわりのスタッフが助けてくれるかな~と思っていたら、意外とみんな目を背けて助けてくれなかった。そんな経験もありましたね(笑)」と笑いを誘いつつ、撮影の様子を振り返った。

本作について「僕の映画は、血なまぐさくて、バイオレンスな描写が多いんですけど、この映画は過去一番、“優しい映画”になったかな、と思います」と語る白石監督は「香取さんと初めてお仕事をするという事で、決して“暴力”だけの映画ではなく、“優しさ”の残る映画にしました。もちろん、東日本大震災もそうですし、世界中で悲しいニュースを見る事が多いと思うんですけど、すべての人に“凪”が訪れるように、という思いで作りました」と本作にかける思いを語った。

また、「震災から大分時間が経っていて、僕が東京で過ごしていると、年々ニュースでも見る機会が減ってきている」と語る香取は「震災直後にも僕は何度か被災地を訪れていて、僕が始めて訪れた時の事を思い出すと、復興している部分もあるなぁと感じますね」と思いを明かした。白石監督も「よく“復興の半ば”という言葉を聞きますけど、復興には終わりが無いんだなと、感じたり、いろんな事を教わりました。オリンピックとか、国を上げての企画もあるかもしれないけど、復興はまだまだ終わっていなくて、その中に生きている人達がいる、という事を(映画という形で)残して行かないとな、と思います」と語った。

さらに香取は「自分としては、人生の新しい道を歩み始めて約1年半、そんな中で、初めての(単独)主演映画として、力んだり、プレッシャーを感じる事もあったんですが、いま、そういう思いは全く無いです。そして、素晴らしい白石監督の最新作です。一人でも多くの方に見ていただけたらと思います」と本作をアピールした。

多いに盛り上がった会場では、市場関係者より、作品の“大ヒット!祈願”として、めでたい鯛や、本市場がメバチマグロの水揚げ高日本一として有名な事から、マグロなど、塩釜漁港で捕られた魚の盛り合わせを2人にプレゼント。沢山の魚たちを目の前に「うわ~!」と大喜びの香取と白石監督。最後は、大きな大漁旗の前で、お客様向けの写真撮影を実施するなど、サービス盛りだくさんのイベントとなった。

本作は、『孤狼の血』や『彼女がその名を知らない鳥たち』など多数の話題作を世に送り出し、現在、日本映画界の期待を最も集める監督・白石和彌が、待望していた香取慎吾と初タッグを組むオリジナル脚本作品。香取慎吾が演じるのは、パートナーの女性とその娘・美波と共に彼女の故郷、石巻市で再出発しようとする男・郁男。平穏に見えた暮らしだったが、小さな綻びが積み重なり、やがて取り返しのつかないことが起きてしまう―。人生につまずき落ちぶれた男の再生の物語、誰も見たことない香取慎吾がここにある。香取演じる郁男のパートナーの女性の娘・美波役を恒松祐里が演じる。

映画『凪待ち』は2019年6月28日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開!
監督:白石和彌
出演:香取慎吾、恒松祐里、西田尚美、吉澤健、音尾琢真、リリー・フランキー
配給:キノフィルムズ
©2018「凪待ち」FILM PARTNERS