『楽園』の完成披露イベントが9月5日(木)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、綾野剛、杉咲花、佐藤浩市、片岡礼子、瀬々敬久監督が登壇した。

日本での公開に先駆けて、8月28日よりイタリアで開催中の第76回ヴェネチア国際映画祭公式イベント「ジャパン・フォーカス」に出品されている本作は、出演する村上虹郎が二宮直彦プロデューサーとともに現地でのイベントに参加し、話題を呼んでいる。綾野は「素直にうれしいです。日本の映画を世界に持っていきたいという思いは強かったので、自分が行くことも時には必要だと学びました」と笑顔を見せた。

本作では、さまざまな登場人物たちの交錯が見どころの一つだが、杉咲と共演するシーンが多かった綾野は「ずっとご一緒したかった。同じベクトルに向かって行けたのはいい経験でした。またすぐ共演したいです」と振り返り、杉咲も「撮影の合間に綾野さんがイスに座っていらっしゃって、『横に座りなよ』と言ってくださって、映画と関係のない話もしてくださった」と笑顔で語った。また、撮影中に誕生日を迎えたという杉咲だが、綾野からは2個プレゼントをもらったといい、これについて綾野は「選べなかったんです。どっちもいいなと思って」とエピソードを語った。

また、本作のタイトルにちなんで、“みなさんにとっての「楽園」とは?”という質問に、「うーん」と悩むキャストたち。綾野は自身が演じる豪士の立場として「明日が来ることが彼の楽園だったと思う」と語り、杉咲も「私が演じた紡も楽園を探しているのかな。その気力があるから、明日が来るのを受け入れられるのかな」と悩みながらも言葉にした。

さらに綾野は、本作について「具体的にどこ(がおすすめ)と言うと、みなさんを誘導することになりかねないので一つだけ、この作品の中で生きている人の表情を大切に紡いでいっていただけたら嬉しいです」と語った。最後に綾野は「今まで映画にかかわってきて、たくさんの方々に何かを伝えたい、感じてもらいたいという思いで作品を作ってまいりました。でも、『楽園』を見た時に新しい感情が芽生えました。みなさんに託すということです。この映画は、みなさんに託して、みなさんに通って初めて完成すると思いました。たくさんの感情や想いや、寄り添いたいと思う人、たくさんの想いをこの作品に投影していただけたら幸いです」とメッセージを送った。

ベストセラー作家・吉田修一の最高傑作と評される「犯罪小説集」が名匠・瀬々敬久によって映画化。主演は綾野剛。確かな演技力で急成長をみせる杉咲花が、緊張感溢れる本編に華を添える。そして名優・佐藤浩市が、重厚なドラマを支えて作品世界を完成させた。ある地方都市で起きた少女失踪事件。家族と周辺住民に深い影を落とした出来事をきっかけに知り合った孤独な青年・豪士と、失踪した少女の親友だった紡。それぞれの不遇に共感しあう2人だが、事件から12年後、事態は急変する。一方、ほど近い集落で暮らす善次郎は穏やかな日々を過ごしていたが、ある行き違いから周辺住民といさかいとなり、孤立を深める。次第に正気は失われ、事件に発展する。2つの事件、3つの運命、その陰に隠される真実とは―。“楽園”を求め、戻ることができない道を進んだ者の運命とは―。

【写真・文/編集部】

映画『楽園』は2019年10月18日(金)より全国で公開!
監督・脚本:瀬々敬久
原作:吉田修一「犯罪小説集」(角川文庫刊)
出演:綾野剛/杉咲花、村上虹郎、片岡礼子、黒沢あすか、石橋静河、根岸季衣、柄本明、佐藤浩市
配給:KADOKAWA
© 2019「楽園」製作委員会