『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の全国での拡大公開を記念した舞台挨拶が2月12日(水)に新宿ピカデリーで行われ、テル役を演じた花澤香菜と片渕須直監督が登壇した。

昨年12月20日からロングランヒット中のアニメーション映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』。国内外で70以上の賞を受賞したアニメーション映画『この世界の片隅に』に、250カットを超える新たなエピソードを追加した本作では、第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向き、日々の暮らしを紡いでいく女性・すず(のん)の姿を描く。

すずが遊郭で出会う“もうひとりの女性”テルの声を務める花澤は「素敵な作品に関われる人たちはいいなぁとオリジナル版は観ていたので、そこに新キャラとしてお声がかかるとは思わず、ビックリしました」と喜びを見せた。片渕監督の前作『マイマイ新子と千年の魔法』のオーディションも受けていたそうで、片渕監督は「その時はごめんなさい・・・でしたけど」と恐縮も、花澤は「こうして巡り巡って、嬉しいです」とコメント。

花澤が出演したラジオ番組「アフター6ジャンクション」(TBSラジオ)を片渕監督が偶然聴き、「その時に素で話す花澤さんの雰囲気がテルちゃんのイメージに近かった。素の感じが、まさに『テルちゃんがいらっしゃる』だった」と抜擢の理由を説明されたが、テルは病に伏せる設定だけに「九州弁でかつ、風邪をひいて喉が枯れ咳が出っぱなし。それを表しながらきちんと芝居をしてくれることが大事だと思ったので、これは並大抵のことではないぞと思った」と不安もあったという。

花澤は収録時に片渕監督から「もっと死にそうになってくれ!」との演出があったことを明かし、「そんなディレクションは初めてで、どうしようかと思った」と笑い、収録を重ねる中で片渕監督は「いたいけないテルちゃんが存在しているのが見えたときに、僕はのんちゃんに『すずさんはどうするの?』と言うことができた」と花澤の演技に納得の表情だった。

のんとの共演に花澤は「初めての参加で緊張しましたが、収録現場でののんさんは、まるでそのまますずさんが隣にいるような感じで。すんなりと作品の世界に入り込めたのは、のんさんのお陰です」と感謝しきりで、これに片渕監督も「二人のアンサンブルはとても良かった」と相性の良さを称えていた。

本作の舞台挨拶には初参加となった花澤だが「テルちゃんとして作品に関われてとても光栄。また舞台挨拶の機会があれば呼んでください」と再登壇を期待し、「別作品で昨年の東京国際映画祭のレッドカーペットに参加したら、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』のファンの方もたくさん詰めかけていて、『テルちゃん!』と呼ばれたときには、深く愛されている作品だなあと実感。この作品がもっともっと広がっていくことを願っています」とさらなるヒットを祈願した。片渕監督は「新しいキャラクターとして大事な役割を演じてもらい、花澤さんは今では仲間内という感じです」と信頼を口にし「すずさんたちが本当に存在しているように描けたのは、花澤さんをはじめ沢山の人の力のお陰です。それをこれからも大きなスクリーンの中で味わってもらいたいです」と本作をアピールした。

本作『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は、1月31日(金)から東京・新宿ピカデリーを始め、全国67館が拡大公開されている。

2016年11月12日に公開され、深い感動の輪を拡げていき、日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞、フランス・アヌシー国際アニメーション映画祭優秀作品賞など国内外で70以上の賞を受賞するなど大きな反響を呼び、多くのファンと上映劇場の熱意に支えられ、公開から1日も途絶えることなく1000日以上も日本全国どこかの劇場で上映が続けられている『この世界の片隅に』。すず、リン、周作・・・、それぞれの内に秘められたこぼれ落ちるほどの“想い”を、片渕須直監督はどのように映像化するのか。新作『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は、『この世界の片隅に』を原型とした新たな物語。

映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は全国で公開中!
監督・脚本:片渕須直
声の出演:のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、牛山茂、新谷真弓/花澤香菜/澁谷天外(特別出演)
配給:東京テアトル
©2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会