イザベル・ユペールが魅せる、このうえなく美しく繊細な人生の物語『ポルトガル、夏の終わり』の延期後の公開日が8月14日(金)に決定し、併せて本編冒頭映像が解禁された。

アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた『エル ELLE』など、観る者を常に魅了してきたフランスの至宝イザベル・ユペール。アイラ・サックス監督の『人生は小説よりも奇なり』(14)に惚れ込んだユペールは、自ら監督にラブコールを送り、それを受けた監督がユペールのために本作を書き下ろした。本作は、そんなイザベル・ユペール主演で贈る、儚くも美しい人生の物語だ。ヨーロッパを代表する女優フランキーは、夏の終わりのバケーションと称し、ポルトガルの世界遺産の町シントラに一族と親友を呼び寄せる。自らの死期を悟った彼女は、亡きあとも愛する者たちが問題なく暮らしていけるよう、すべての段取りを整えようとしたのだ。しかし、それぞれに問題を抱えた家族たちの選択は、次第にフランキーの思い描いていた筋書きから大きく外れていき―。

4月24日(金)に公開が予定されていた本作だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期され、今回新たな公開日が8月14日(金)に決定した。夏の終わりが近づく頃に公開されることとなった“ある夏の終わりの1日の物語”である本作だが、そんな夏の終わりの“はじまり”を予感させる印象的な本編冒頭映像が解禁された。

自らの余命があまり長くないと悟ったヨーロッパを代表する女優フランキーは、バケーションと称してポルトガルの世界遺産の町シントラに家族や親友を呼び寄せ、最愛の者たちの人生を少しだけ演出しようと目論んでいる。この本編冒頭シーンは、早朝、フランキーや家族が滞在している壮麗なゲストハウスのプールにフランキーが現れるシーンから始まる。彼女はちらりと周囲の様子を注意深く見渡したのち、あっけらかんとガウンやビキニ、そしてトレードマークのハイヒールを脱ぎ、トップレスでプールに飛び込む。そこに朝食を持って現れた義理の孫マヤが、「人に見られるよ」と助言するが、フランキーは「かまわない。私は写真映えするもの」と全く気にする様子もない。大胆で自信にあふれるフランキーを象徴するシーンだ。

ユペール演じるフランキーが画面に現れてからカメラのフレームから外れるまで約80秒、カメラは止まることなくささいな仕草も含めその姿を捉え続ける印象的なカットになっている。サックス監督は、エリック・ロメールの作品を緻密に研究し、極力カットをせずに俳優たちの演技に任せて撮るという、ある意味かなり演劇的なスタイルを取り入れた。観客が俳優自身と、役柄の両方を見られるよう意図しているといい、「それがこの映画に自然でありながら遊び心のある興味深いトーンを創り出したと思っています。贅沢な俳優陣がそれぞれ相手と反応しながら演技するのを観客は観察することができるんです」と語る。

ユペールは、「アイラは私に“ポイントゼロの演技”、つまりその場の状況だけを行動で演じることを求めた。私が演出をし過ぎると、彼はよく注意してきたわ。彼は可能な限りのシンプルさを求めていて、余分なものはすべて排除した。だから、私はただそこにいるだけ。」と振り返る。この後、フランキーが仕組んだ“家族劇”の登場人物が次々と現れ、彼女との複雑な関係とともに明らかになっていくが、この1日がそれぞれの人生にとってターニングポイントになるとは誰も想像だにしていない―。

本編冒頭映像

映画『ポルトガル、夏の終わり』は2020年8月14日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開!
監督・脚本:アイラ・サックス
出演:イザベル・ユペール、ブレンダン・グリーソン、マリサ・トメイ、ジェレミー・レニエ、パスカル・グレゴリー、ヴィネット・ロビンソン、グレッグ・キニア
配給:ギャガ
© 2018 SBS PRODUCTIONS / O SOM E A FÚRIA © 2018 Photo Guy Ferrandis / SBS Productions