『ソワレ』の公開記念舞台挨拶が8月29日(土)にテアトル新宿で行われ、村上虹郎、芋生悠、外山文治監督が登壇した。

昨年、和歌山県で撮影された本作だが、撮影中は役の関係を意識して、カメラが回っていない時でもほとんど会話を交わすことはなかったという村上と芋生。特に芋生は、心に傷を負っているタカラを演じ、かなり精神的にも引きずられる部分があったようで「撮休が一日だけあったんですけど、その前の日がかなりハードなシーンの撮影で気が滅入っちゃって、ホテルから出られず、カーテンを閉め切って暗い部屋の中にいました」と振り返り、村上が劇団員役の仲間たちとコミュニケーションの一環として人狼ゲームなどをしていたことを明かすと「うらやましかったです。私も人狼ゲームしたかった」とポツリ。

苦しさの中にもひと筋の希望を見出していく若い2人の物語にちなんで、“最近、希望を感じた出来事は?”という質問に、村上は同世代の俳優仲間の寛一郎と一緒に、免許の更新に出かけたというエピソードを披露。自粛生活の影響で、昼夜逆転の生活になっており、朝、眠たい目をこすりながら会場に向かったようで「(更新は)初回だったんですけど、僕、違反もあって(苦笑)しかも調べたら印鑑とか住民票とかも必要って書いてあったんですけど、何も持ってなくて・・・。それでも無鉄砲に行ってみたら、意外にも印鑑はいらなくて、その瞬間、希望が見えました(笑)」と明かし、笑いを誘った。さらに「余談ですが、証明写真を撮るとき、次が自分の番という時にマスクを取ったら、前の男性がこちらを振り向いたんですけど、高橋克実さんでした」と奇跡の出会いがあったことを明かした。

続く芋生は「村上さんの後にしゃべるのイヤですね・・・」と苦笑しつつ「何よりこの映画が公開されることが私にとっては希望を感じた瞬間です」と語り、さらに普段はTシャツにサンダルの外山監督が、この日はジャケットを着て登壇していることに触れつつ「監督にようやくスタイリストさんがついたことが嬉しい。今日は希望しか感じないです(笑)」と語り、会場は笑いに包まれた。

最後に芋生は「村上さんと外山さんと3人でここに立って、みなさんの顔を見て、本当に公開されたんだなと感じています」と改めて公開の喜びを噛みしめ「自分にとって、本当に大切な作品であり、ずっと愛される映画であってほしいと思っています」と本作への思いを語った。

村上は、俳優として初めて舞台挨拶に立ったのがこのテアトル新宿だったと明かし「最近、ミニシアターがいくつかなくなるって話を耳にして、僕も東京に出てきて、名画座に通っている時期に、ミニシアターがなくなっていくさまを少しは見ていたけど、やはりこの時期、(ミニシアターが閉鎖に追い込まれることが)哀しいな、寂しいなと感じる日々です。僕らもやはり映画以外の仕事をしないと食べていけなかったりするけど、この場所に戻ってきて、胸を張ってしゃべれるような未来が続けばいいなと思っています」とコロナ禍の中で苦しい状況に陥っている映画界全体への思いを語り「この映画について、もう僕らには何もできることはないので、お越しくださったみなさんにこの作品を託します」と本作をアピールした。

豊原功補、小泉今日子、外山文治監督らで立ち上げた映画制作会社「新世界合同会社」の第1回目のプロデュース作品である本作。世界からも注目を集める外山文治監督が、和歌山を舞台に描いたオリジナル作品。主人公・翔太を演じる実力派俳優・村上虹郎と、100人以上のオーディションから大抜擢され、インディーズ映画で最注目の新星・芋生悠の2人をW主演に迎え、若い男女の切ない逃避行を映し出す。

映画『ソワレ』は全国で公開中!
監督・脚本:外山文治
出演:村上虹郎、芋生悠、岡部たかし、康すおん、塚原大助、花王おさむ、田川可奈美、江口のりこ、石橋けい、山本浩司
配給:東京テアトル
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