綾田俊樹×ベンガルの伝説的演劇ユニット“綾ベン企画”の舞台を平山秀幸監督の演出でオリジナルドラマ化した『WOWOWオリジナルドラマ 川のほとりで』(全6話)が4月にWOWOWプライムで放送されることが決定した。

本作は、東京・下北沢を拠点とした劇団・東京乾電池の綾田俊樹×ベンガルの伝説的演劇ユニット“綾ベン企画”の舞台「川のほとりで3賢人」をベースに、完全オリジナルストーリーで展開されるホームレスコメディ。綾田が演じるのは、人懐っこいが、結構計算高いところがある“トシちゃん”。ちょっと女好きのロマンティストで、お気に入りの女性には洗濯ハンガーにつるして乾かした出がらしの高級紅茶でおもてなし。ベンガル演じる“BB”は、こわもてで、一見後を引かないサッパリとした男に見えるが、物に釣られて簡単に前言撤回してしまう一面も…。使えそうなものを収集してはDIYするのが得意。各話に登場する豪華ゲスト俳優陣が演じる個性的なキャラにも注目だ。

監督は『閉鎖病棟−それぞれの朝−』で第43回日本アカデミー賞優秀賞を11部門で受賞したの平山秀幸。平山は舞台「川のほとりで3賢人」の演出も手掛けた。脚本を担当するのは、監督の平山秀幸に加え、てっかんマスター、奥寺佐渡子、山田耕大、安倍照雄、そして阿佐ヶ谷スパイダースの長塚圭史とバラエティに富んだ面々。

綾田俊樹(トシちゃん役)コメント

――舞台「川のほとりで3賢人」のドラマ化となり再び演じられることになりましたが、この作品への思いをお聞かせください。
ベンガルさんとは長い。綾ベンという形で演りだしてからも、20年以上。今までは2人が交互に作、演出という形をとってきました。2017年の舞台制作にあたり、外部の作、演出を頼もうとなって、平山監督にお願いしました。
ホームレスを題材に取り上げようとなって、多摩川土手に何度も通い、実際のホームレスの人達の話を聞きました。
皆さん心を開き、色々面白い話を聞かせてくれました。彼らのおかげで芝居ができ上がりました。多摩川洪水の時は本当に心が傷みました。
ホームレス芝居を深めようとなって、2020年に平山監督演出の元、広岡由⾥⼦さんを加え、作には、てっかんマスターさんを迎え舞台「川のほとりで3賢人」が出来上がりました。
⾃分達が作ってきた芝居がTVドラマになる、にわかには信じられない喜びです。美術、そしてその他のスタッフの⽅々の努⼒を⽬の当たりし、そこで演じられた⾃分は幸せの極みだと思います。皆様に感謝いたします。
――ご⾃⾝の役どころについて、また、撮影中に印象に残ったエピソードなど教えてください。
トシちゃんという爺さん、命名したのは平山監督です。
ベンガルさん演じるBBとは対局的な色を出さなければと、まず思いました。
物へのこだわり、話と動作のスピード、⾔葉遣い等。TVドラマ化でまず感じたのは、演出、美術スタッフの⼒でそれぞれの住んでいる⼩屋に色があり、キャラクターの紹介が半分出来ていること。そしてそれを上手く利⽤して、トシちゃんという人間の像を深めようと思いました。
舞台でも、このTVドラマでも出てくるセリフ、「ホームレスは⾃分を語らない」これは⼤切なことだと思います、説明してはいけない。
随分昔の話ですが、住んでいた街の駅裏に爺さんと娘が営む⼩さな古い焼きトン屋がありました、親⽗は⼤学教授か、物書きにしか⾒えませんでした。しかし誰が聞いても過去は語らず、素性は明かさずじまいで逝ってしまいました。娘もいつも⽂庫本を読んでいて、何も語りませんでした。我ら客達は、ああだこうだ、**に違いない、と想像を膨らませました。
トシちゃんも観た人達に、過去の⽣き様の想像を膨らませる演じ⽅をしたいなと思いました。
――視聴者の皆さまへメッセージをお願いします。
「川のほとりで」を御覧の皆様、ひょんな事で、ベンガルさんとTVドラマのW主演ということになりました。⼩劇場でやってきたことがTVドラマになる、喜ばしい限りです。素敵なゲストの皆さん、そして、素晴らしいスタッフ、演出、カメラワーク。いい作品が出来たと思っています。この作品の元は⼩劇場の芝居でした、そちらをご覧になった⽅は、あれがこうなったのか?と⾯⽩がられていると思います。ご覧になられていない⽅は、元の芝居も観たいなと思われているのではないかしら?と勝手に思っています。この作品がヒットしパート2,3が⽣まれることを夢⾒ております。応援よろしく願います。まずはたっぷりお楽しみください。

ベンガル(BB役)コメント

――舞台「川のほとりで3賢人」のドラマ化となり再び演じられることになりましたが、この作品への思いをお聞かせください。
ホームレス役を演じることは、深みがあってとても手ごたえを感じました。極限状態の中、それでも⽣きていこうとする彼らの姿は可愛くもあり、時に⾯⽩くもあり、とても共感できる人達だと思いました。(舞台の制作にあたり)彼らに何度も取材をしましたが、皆さん家族の話はしてくれません。逃げてきたのか捨ててきたのか誰⼀人語ってくれる人はいません。心に深い闇を抱えている人もいるのだと思います。
今回ドラマにしていただいて、そんな彼らの心のうちの葛藤が、家族が、場⾯のあちこちに浮かんでみえてきました。情感のあふれる異色のとても⾯⽩い物語になっていると思います。これは心に家族を抱えたホームレスの孤独なホームドラマだと思います。
――ご⾃⾝の役どころについて、また、撮影中に印象に残ったエピソードなど教えてください。
メークをして⾐裳を着て川辺に建てられたセットの⼩屋の前に⽴つと震えが来る程の臨場感、そして⾒事な川のロケーション、スタッフさんの⼒強さに圧倒され、ただただその中に溶け込むことが私の役作りだと思いました。本当に楽しい撮影でした。ゲストの⽅々が楽しんでおられる姿が強く印象に残っています。
――視聴者の皆さまへメッセージをお願いします。
街の⽚隅でうずくまっている人、川辺で⽣活している人達。心に深い傷を背負った人にスポットを当てて芝居を作ろう。と上演した舞台がドラマ化される事になりました。
毎回素敵なゲストの登場でこの深刻な設定が膨らんで謎あり不思議あり妄想ドタバタありの⾯⽩い異色のドラマになりました。川辺で暮らす人達の⽇々をドラマを通じて⾒守っていただけたらとても幸せです。

平山秀幸(監督)コメント

――演出をてがけた舞台「川のほとりで3賢人」のドラマ化となりますが、この作品への思いをお聞かせくださ
い。

舞台のホームレス2部作「やんごとなき⼆人」(2017年)「川のほとりで3賢人」(2020年)を経て
映像化の始まりは去年の3⽉だった。彼らの⼝癖は「俺たちは乞⾷じゃない。⾃活するホームレスだ︕」
とてつもなく⾃由で、とてつもなく不⾃由な世界。曇り空の隙間からチラッとのぞく⼩さな⻘空のような
作品です。
――視聴者の皆様へメッセージをお願いします。
芸達者な役者さんが嬉々としてホームレスを演じてくれました。
川のほとりの住人たちの⽢味、苦味、旨味、渋味、そして珍味を楽しんでください。

ストーリー

多摩川の河川敷にブルーシートの小屋を作って暮らしている、通称:トシちゃん(綾田俊樹)とBB(ベンガル)。河川敷で暮らし始めて数年、川のほとりの住人としてはベテランの域。朝は4時から街中で缶集め、夜は電気代節約のために7時には寝るという毎日。大した収入はないが、金がないことはまったく気にしていない。「誰にも迷惑をかけず、自由がいちばん」とのんきに日々暮らしているが、「俺たちは生活するホームレスだ!」というプライドは持っている。そんな2人のもとに、ある小劇団の若手女優ナオが訪ねてくる。次の公演でホームレスのリーダーと大恋愛するヒロインを演じるので取材をさせてほしいと言うのだ。そして3人の長い夜が始まった…。(第1話)

『WOWOWオリジナルドラマ 川のほとりで』は2021年4月よりWOWOWプライムにて放送・配信!
監督:平山秀幸
出演:綾田俊樹、ベンガル