宮﨑駿監督によるスタジオジブリのアニメーション映画『千と千尋の神隠し』が2022年に舞台化されることが決定した。

宮﨑駿監督の不朽の名作である『千と千尋の神隠し』は、2001年の封切り以降、爆発的な大ヒットとなり、2003年には米国アカデミー賞長編アニメーション映画賞を受賞。日本での公開から18年が経った2019年には中国で初めて公開され大きな話題となるなど、その壮大かつ独創的な世界観が日本のみならず世界中で愛され続けてきた。

今回、舞台化にあたり翻案・演出を手掛けるのは、ミュージカルの金字塔『レ・ミゼラブル』の世界初演の潤色・演出を担うなど演劇史に残る名作を生み出してきた英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター、ジョン・ケアード。かねてより『千と千尋の神隠し』の大ファンだったジョン・ケアードは、来日の折にスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーと対話し、宮﨑駿との対面も果たして舞台化の許しを得た。

主演の千尋は、人気と実力を兼ね備え、今回が初舞台となる橋本環奈と、ドラマや舞台に加え声優や歌手としても活躍の場を広げる上白石萌音がWキャストで演じる。少女・千尋が引っ越し先に向かう途中、トンネルから八百万の神々の世界へ迷い込むところから始まるこの物語。人間の世界に戻るために様々な出会いを経て、生きる力を呼び醒ましながら奮闘する千尋の姿が見どころ。油屋と化した帝国劇場が、観客を「不思議の町」に誘う。

本作の企画の種が生まれたのは2017年。東宝演劇部からスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーに構想を相談して以来実に開幕まで5年の歳月をかけて、今までに類を見ないビッグプロジェクトがついに結実。また、本作を上演する2022年は、東宝創立90周年の年でもあり、2月・3月の帝国劇場を皮切りに、4月大阪、5月福岡、6月札幌、6月・7月名古屋と、4大都市での上演も決定しており、総力をあげて舞台『千と千尋の神隠し』が全世界に届けられる意気込みで取り組まれる。

鈴木プロデューサーは「(翻案・演出の)ジョンはいい奴です。ぼくも宮﨑も彼のことを気に入りました」とコメントし、「今回の舞台で千尋を大きく育てて欲しい」と期待を語っている。また、ジョンは「千尋役はダブルキャストになっていますが、『ナイツ・テイル』で楽しく共同作業をした、素晴らしくて魅力的な上白石萌音さんと再び仕事できるチャンスを得るのと同時に、才能豊かで活き活きと感動的な若手女優、橋本環奈さんとも同様の機会を持つことが可能になりました」と千尋役のWキャストについてコメント。

橋本環奈、上白石萌音

今回、帝国劇場で初演を迎える舞台で、“初舞台”となる橋本は「女優というお仕事に携わらせて頂いている身としてはこんなに幸せな事はありません」と喜びを表現し、「プレッシャーや不安が無いと言ったら嘘になりますがまずは私らしく、今回の初舞台楽しくのびのびと演じたいと思います」と初舞台への挑戦を口にしている。また、映画『千と千尋の神隠し』を鑑賞したときは小学生だったという橋本は「パンフレットを手に取りページを捲りながら、映画を観た時はまだ小学生だった私がこの千尋を演じるんだなと思うとまさに感無量の一言に尽きます」と改めて本作への思いを明かしている。

一方でWキャストを務める上白石も「言わずと知れた名作のタイトルロールを演じる日が来るなんて思っていませんでした。時代も国境も超えて愛され続ける作品の1ピースになれるのは大変光栄なことです」と喜びを表現し、「既に緊張していますが、素朴で勇敢な少女を、リスペクトを込めて演じさせていただきます」と意気込みを語っている。映画についても「たちが銭婆の住処を訪ねるシーンです。何度見ても新鮮な感動があり、歳を重ねるにつれ味わいが深まる。名作の力に脱帽します」とコメント。さらに「本作の上演の頃には、皆様が安心して劇場に足を運べる世の中になっていますようにと切に願っております」と思いを明かした。

映画『千と千尋の神隠し』
©2001 Studio Ghibli・NDDTM

舞台『千と千尋の神隠し』
原作:宮﨑駿
翻案・演出:ジョン・ケアード
主演:千尋(Wキャスト)橋本環奈/上白石萌音
公演日:2022年2月・3月帝国劇場、4月大阪、5月福岡、6月札幌、6月・7月名古屋
製作:東宝
 舞台『千と千尋の神隠し』公式サイト