舞台『千と千尋の神隠し』の製作発表が11月9日(火)に都内で行われた。

宮﨑駿監督の名作『千と千尋の神隠し』(2021)は、アカデミー賞長編アニメーション映画賞を受賞、日本での公開から18年が経った2019年に中国で初公開され大きな話題となるなど、その壮大かつ独創的な世界観が世界中で愛され続けてきた。世界初演の舞台化にあたり翻案・演出を手掛けるのは、ミュージカルの金字塔『レ・ミゼラブル』の世界初演の潤色・演出を担った英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター、ジョン・ケアード。かねてより『千と千尋の神隠し』の大ファンだったジョン・ケアードは、宮﨑駿監督との対面し、舞台化の許しを得た。

今回の記者会見には、翻案・演出を手がけたジョン・ケアード、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー、千尋役の橋本環奈/上白石萌音、ハク役の醍醐虎汰朗/三浦宏規、カオナシ役の菅原小春/辻本知彦、リン/千尋の母役の咲妃みゆ/妃海風、釜爺役の田口トモロヲ/橋本さとし、湯婆婆/銭婆役の夏木マリ/朴璐美、兄役/千尋の父役の大澄賢也、共同翻案・演出補佐を務める今井麻緒子、東宝の池田篤郎常務執行役員演劇担当が登壇した。

会見の冒頭では、本作のポスタービジュアルが橋本環奈と上白石萌音の手によって除幕され、実際にポスターを見た橋本環奈は「本当にやるんだなという実感がわいてきます」と興奮気味に語り、上白石は「後戻りができないところに来たという思い。いよいよ始まるという高揚の中にいます」と語った。

スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは、舞台化について宮崎駿監督とは「(話を)嫌になるくらいしました(笑)」と明かし、「彼が最初に言ったのは『いいよ』と簡単な一言だった。『もう俺の手は離れたから。多くの人に支持されたから、みなさんのものだから』、そんな感じでした」と宮崎監督とのやり取りを振り返った。

本作が初舞台で、主人公の千尋を演じる橋本環奈は「演じさせていただくのはすごく光栄なこと」と改めて口にしたうえで「だからこそ、演じるという気持ちではなく、舞台上で生きていけるようにがんばりたいなと思っています」と決意を語った。そんな橋本環奈は「緊張したことがない性格だと思っていたんですけど、ここに立って初めて緊張を感じていまして。なにをしゃべったかは帰ったら覚えてないんじゃないかなと思います(笑)それくらい緊張していて」と語った。

同じく千尋をWキャストで演じる上白石は「心に刻まれている作品を演じることになった、このめぐりあわせをうれしく、ありがたく感じています」と7歳の時に初めて見たという『千と千尋の神隠し』への思いを語り、「映画を見れば見るほど、どうやってやるんだろうと。きっと(演出の)ジョンの頭の中には素敵なアイデアがあると思うので、千尋のように勇敢にがんばりたい」と語った。

リン/千尋の母役の「幼少期からスタジオジブリ作品の大大大ファン」という咲妃は「このポスターを拝見して、興奮を抑えるのに必死なのですが、地に足をつけて現実世界を生きる千尋の母、そして千尋を後押しできる心強い存在であるリンを心を整えてお稽古、本番に挑みたいと思います」と語った。Wキャストの妃海も「感動が優先してしまい興奮しています。この先、たくさんの興奮が待ち受けているのかと思うと、ワクワクしますし、リン役として(湯婆婆役の)夏木マリさんと朴璐美さんのもとで働くという経験、そして(千尋役の)橋本環奈さんと上白石萌音さんの面倒を見るという経験、そんなことは人生でないと思いますので幸せを感じています!」と語った。

映画『千と千尋の神隠し』で湯婆婆の声を演じた夏木が舞台版でも湯婆婆を演じるが「20年後に実演が舞台で叶うというのは思ってもいなかったのでとても楽しみなんですけど、別物ととして私自身はフレッシュに取り組ませてもらいたい」と気持ちを新たに挑む決意を語った。

今回が初共演の橋本環奈と上白石だが、「歌声も素敵だし、話し方も優しい音色を出される方と言う印象だった。お会いしてみて本当にこのままだなと。一緒に走っていけると思うと心強いと思いました」と語る橋本環奈、一方の上白石は「私も安心感を感じます。本当に頼もしくて、名実ともに若い人たちの先頭を切っていってくれる勇ましさがある。この相方だったら全てをゆだねられる安心感があります」とお互いをリスペクトしている様子がうかがえた。

最後に橋本環奈は「千尋として、初めて舞台に立って、みなさんに生きた千尋を届けられるようにがんばりたいと思います」、上白石は「みなさんの明るいお人柄に触れて稽古が楽しみで仕方なくなりました。ジョンはいつも遊ぶように演出をつける方で、稽古場がクリエイティブで大好きなので、ひとつひとつ楽しんでみなさんに素敵な舞台を届けられるようにがんばります」と語った。

東京公演は帝国劇場にて、2月28日(月)・3月1日(火)にプレビュー公演、3月2日(水)~29日(火)に上演。チケットは12月7日(火)より先行抽選エントリー、12月18日(土)より一般販売開始。

【写真・文/編集部】

舞台『千と千尋の神隠し』
2022年2月・3月 帝国劇場
4月 大阪・梅田芸術劇場メインホール
5月 福岡・博多座
6月 札幌・札幌文化芸術劇場 hitaru
6・7月 名古屋・御園座