『いのちの停車場』の完成披露試写会が4月14日(水)に東京国際フォーラムで行われ、吉永小百合、松坂桃李、広瀬すず、南野陽子、小池栄子、みなみらんぼう、泉谷しげる、中山忍、石田ゆり子、田中泯、西田敏行、成島出監督が登壇した。

都内の終末期医療専門病院に勤務し、命の終わりを真摯に見つめる現役医師でありながら、作家として「ディア・ペイシェント」(2018年刊行)などの作品を発表してきた南杏子が、今の日本の長寿社会における現代医療制度の問題点や、尊厳死・安楽死などの医療制度のタブーに正面から向き合い、それらに携わる医師、患者、その家族が描かれたその感涙の物語。主演・吉永小百合が在宅医療を行う医師役を演じ、その父親役に田中泯、在宅医療医師として働く「まほろば診療所」の院長・スタッフである西田敏行、松坂桃李、広瀬すずが、吉永が演じる咲和子を支える共演陣として出演する。

昨年9月より撮影された本作だが、「大変な思いの中でクランクインしました」とその気持ちを吐露しつつも「みんなで力を合わせて今日の日を迎えられたと思っています。ホッとしています」と本作の初披露への思いを明かした主演の吉永。初の医師役に「分からないことばかりだった」と振り返る吉永だが、成島監督からは「映画の中で(自身が演じた)咲和子が少しずつ大変な思いをしながらも成長していければいいといおっしゃっていただきました」と、役柄とともに成長したことをうかがわせた。

そんな吉永に、成島監督は「今回の役が年齢関係なく努力して成長していく。その吉永さんを本当に撮りたいと思っていた」と明かし、「吉永さんのために書かれたような原作」と役柄に挑む姿勢に感銘を受けていた様子。

その吉永とともに「まほろば診療所」で働く役どころの松坂は「僕とすずちゃんは監督からは太陽の存在でいてほしいと言われた」と明かし、「そうなるように努めようと向き合っていました」という松坂。広瀬は「“太陽”はクランクイン前から言われていたことなので、ずっと意識しながら」と同意した。

松坂と広瀬について、吉永は「すずちゃんは涼やかでかわいくて、桃李さんは素敵でキリンのようにすくすくと成長されていてかっこよくて、お二人を毎日見ていて楽しかったです」と笑顔を見せ、西田も「すずちゃんの今までの活躍ぶりを見ていると伸び伸びと生き生きと、立派に仕事をこなしていて嬉しく思います。桃李くんも素晴らしい仕事をずっと続けておられる。今の日本の映画界をけん引している一人だと思っています」と称賛した。

また、西田は、吉永との共演について「30何年振りの感じがしなくて、まだまだ初々しい吉永さんがそこに立っていらした。時と言うのは人によって公平、不公平があるんだなと感じるくらい」と笑いを誘う場面もあった。

最後に吉永は「この素晴らしい俳優さんたちとセッションのような現場で撮影することができました。ただ、撮影が終わった後で、私たちにとって大きな悲しい出来事がありました」と、本作で製作総指揮を務めた岡田裕介さんが昨年11月に逝去したことについて触れ、「心から感謝しております。私たちはこれから公開までこの映画をたくさんの方に見ていただけるようにアピールしてまいりたいと思います」とイベントを締めた。

【写真・文/編集部】

映画『いのちの停車場』は2021年5月21日(金)より全国で公開!
監督:成島出
出演:吉永小百合、松坂桃李、広瀬すず、南野陽子、柳葉敏郎、小池栄子、みなみらんぼう、泉谷しげる、石田ゆり子、田中泯、西田敏行
©2021「いのちの停車場」製作委員会