『いのちの停車場』の公開記念舞台挨拶が5月22日(土)に都内で行われ、吉永小百合、松坂桃李、広瀬すず、西田敏行、南野陽子、柳葉敏郎、みなみらんぼう、泉谷しげる、田中泯、成島出監督、原作者の南杏子が登壇した。

都内の終末期医療専門病院に勤務し、命の終わりを真摯に見つめる現役医師でありながら、作家として「ディア・ペイシェント」(2018年刊行)などの作品を発表してきた南杏子が、今の日本の長寿社会における現代医療制度の問題点や、尊厳死・安楽死などの医療制度のタブーに正面から向き合い、それらに携わる医師、患者、その家族が描かれたその感涙の物語。主演・吉永小百合が在宅医療を行う医師役を演じ、その父親役に田中泯、在宅医療医師として働く「まほろば診療所」の院長・スタッフである西田敏行、松坂桃李、広瀬すずが、吉永が演じる咲和子を支える共演陣として出演する。

今回行われた舞台挨拶は、緊急事態宣言が発出されていることから無観客で行われ、全国259館に生中継された。主演の吉永は「演劇は大丈夫だけど、映画はダメと伺って、大変ショックを受けましたし、悲しかったです。でも今日このように全国のみなさまの前でご挨拶ができるというのは、ここにお客様がいらっしゃらないから(中継を行うことになった)と気持ちを取り直しております。きっとこれから日本中のみなさまに映画をご覧いただけると思っています」と挨拶した。

また、松坂は「しっかりとみなさまの中に届いていければ」、広瀬は「今だからこそ映画館で見て欲しいなというのが素直な気持ちですが、一人でも多くの方にこの映画が届くことを願っています」と複雑な心境を語った。

本作では“いのち”に向き合うことへの思いをキャストらが体現しているが、吉永は「一日一日を精一杯に生きるということが明日につながるし、最後まで自分は幸せだったと思える。でもなかなかそうできる方は少ないかもしれないけど」と改めて感じたことを明かし、松坂は「それぞれに幸せの形があって、小さな日々の積み重ねで、人生の“いのちのしまい方”につながっていくんだなと感じました。自分も“いのちのしまい方”を改めて考えさせられました」と語ったが、これには西田や泉谷らから「早いですよ」とツッコミが入り、松坂は「一日一日充実できるようにいきたいと思います。生ききります」と返し、笑いを誘った。

最後に吉永は「この映画を制作するにあたって医療関係のみなさまに大変温かいサポートをいただいたり、映画を見て感想をお寄せいただいた。大変な時期に見てくださって、力を与えてくださったことを感謝しております。また、今日映画を見てくださっているみなさま、心から御礼を申し上げます。ありがとうございます」と時折言葉を詰まらせながら感謝の気持ちを込めて挨拶した。

舞台挨拶の序盤では、みなみが体調不良を訴える場面があったが、吉永がさっと寄り添い、スタッフにより舞台袖に案内されたが、騒然とした会場で西田は「らんぼうさんがお歌いになっている曲がCD、サントラ盤なんですけど、味わいのある歌を歌っていらっしゃいます。アルファ波が出て、32曲あるんですけど、だいたい3曲目で寝落ちしています」と笑いを誘うなど、チームワークの良さを改めてうかがわせた。また、みなみは回復した後、終盤で再び舞台挨拶に参加した。

【写真・文/編集部】

映画『いのちの停車場』は全国で公開中!
監督:成島出
出演:吉永小百合、松坂桃李、広瀬すず、南野陽子、柳葉敏郎、小池栄子、みなみらんぼう、泉谷しげる、石田ゆり子、田中泯、西田敏行
©2021「いのちの停車場」製作委員会