北朝鮮強制収容所の過酷な環境で生きていく家族と仲間たちの姿を3Dアニメーションで描く『トゥルーノース』のメイキング映像が解禁された。

本作は、ドキュメンタリー映画『happy - しあわせを探すあなたへ』(12)のプロデューサーを務めた清水ハン栄治が、実際に収容体験をもつ脱北者や元看守などにインタビューを行い10年もの歳月をかけて作り上げた。強制収容所内の恐るべき実態を描きつつ、家族愛、仲間との絆・ユーモア、死にゆく者への慈しみの心情などが、実写ではなく、あえて優しいタッチの寓話的なアニメーションで描かれた本作は感動と評判を呼び、アニメ映画の世界最高峰を選ぶ権威あるアヌシー国際アニメーション映画祭長編コントルシャン部門にノミネート。昨年の第33回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門で正式上映され話題となった。

今回、『トゥルーノース』制作にあたり「この事実を世界に伝えたい」と、危険を顧みず協力した勇気ある証言者たちへのインタビューの様子を収めたメイキング映像が解禁された。映像では、清水監督が韓国・ソウルを訪れ、そこで暮らす数名の脱北者たちが収容所の実態や思い出を語る姿が収められており、清水監督がインドネシアで制作した映像やラフ画を見せ、脱北者が監修するシーンも。

北朝鮮の強制収容所で保衛員として8年間働いていたという元看守のアン・ミョンチョル氏は、炭鉱や車の修理工場などあらゆる施設があったと収容所の広大さを語り、また、仮名でインタビューに参加したイ・ボクグム氏(仮名)は、猿ぐつわをする前に口のなかに石を入れるという公開処刑の様子を語っている。子どもの頃に連座制によって収容所に家族とともに連行されたというイム・ジョンス氏(仮名)は、収容所では子どもも労働力の一つであり、7歳から強制的に労働させられると語るなど、驚きの証言が続く。

このメイキング映像は、清水ハン栄治監督が自ら編集。冒頭の、「母国の親族を守るため素性を明かせない目撃者も含まれている。彼らの勇気ある証言に心より感謝します」という清水監督の言葉のとおり、本作『トゥルーノース』制作にあたって貴重な証言をしてくれた脱北者たちの勇気に敬意を表しつつ、いまなお12万人もの人びとが収容されているという現実の“目撃者”を一人でも多く作るべく、本編とあわせ必見のメイキング映像となっている。

メイキング映像

映画『トゥルーノース』は全国で公開中!
監督・脚本・プロデューサー:清水ハン栄治
声の出演:ジョエル・サットン、マイケル・ササキ、ブランディン・ステニス、エミリー・ヘレス
配給:東映ビデオ
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