一人の女性の孤独な復讐劇『彼女はひとり』に映画監督や俳優、映画祭ディレクターらから絶賛コメントが到着、併せて場面写真が解禁された。

自殺を図ったものの、死ねずに生還した高校生の澄子(福永朱梨)。学校に戻ってきた澄子は、教師である波多野(美知枝)と密かに交際している幼馴染の秀明(金井浩人)を執拗に脅迫し始める。日々エスカレートしていく、澄子の「復讐」。そこには秀明との過去、そして澄子の家族に関わる、ある少女の幻影があった。彼女の孤独な復讐の行き着く果ては…。中川奈月監督の立教大学大学院の修了制作として撮影された学生映画であるにも関わらず、脚本の完成度の高さから、撮影には黒沢清監督、深田晃司監督、沖田修一監督の作品などを多く手掛ける芦澤明子キャメラウーマンが参加するなど異例の体制で製作された。主演は、深田晃司監督『本気のしるし』出演の福永朱梨が務め、誰にも愛されない孤独と悲しみから、他人を傷つけ、暴走していくを女性・澄子を圧倒的な力で演じ、田辺・弁慶映画祭 2019 では俳優賞を受賞した。

今回、総勢19人から絶賛コメントが到着、併せて場面写真が解禁された。場面写真では、芦澤明子キャメラウーマンによって捉えられた、鋭く、孤独な眼差しを湛えた主人公・澄子(福永朱梨)の姿や、高低差や影を生かした、美しくも不穏さを感じさせるカットが確認できる。

深田晃司(映画監督)

劇場公開おめでとうございます。
ロケーションの選択と切り取り方が素晴らしくて、高低差を生かし上下に配置された舞台装置を漆黒の意思を全身に湛えた福永朱梨が往還する。
面白くないわけがない。次回作も楽しみです。

白石晃士(映画監督)

シンプルで核心を突くタイトル!日常を緊迫の連続に変える脚本! 青春のエグさを、サスペンスフルな時空を、 ホラーのど真ん中を的確に形作る演出 & 撮影! そして主演・福永朱梨の観客までをも射抜く眼光! どれを取っても鋭く繊細な冴えに驚嘆し感動する、恐るべき日常サスペンス映画! とにかく最高ってことですよ!

杉田協士(映画監督)

落下したときに彼女はすべてを手放してる。だからいつでも両手は空いてる。それはいつか誰かを抱きしめるためにある。この映画を作ったすべての人たちはきっと願いつづけてる。どれだけの年月が経っても上映されるたびにその願いはスクリーンに映りつづける。

壷井濯(映画監督)

世界を憎むあまり燃えてしまっている澄子の眼、僕にはうつくしい星や、たいまつの灯りの様に見えました。『彼女はひとり』に救われる「ひとり」が、きっとたくさんあると思います。ラストのあの一言まで含め、100パーセント、希望の物語。

亀山睦実(映画監督)

危うげで、謎の迫力を感じる福永さんを見つめてしまう60分間
孤独な復讐をひとりで完遂しようとする主人公を演じる彼女を、今後も見守りたいと思わせる作品でした。

安川有果(映画監督)

「彼女はひとり」、冷たくて突き放した響きのするタイトルだと思ったけど、 そうではなかった。彼女が周囲の偽善を暴き、拒絶し、 破壊すればする程、カメラがその孤独に寄り添って、 変化の兆しが訪れるのをじっと見守っているようだったのが心に残った。 このとんでもない映画を初めての長編で撮ってしまった中川監督は、 一体今後どうなってゆくのだろうかとちょっと心配になる。

佐伯日菜子(俳優)

冒頭から何かが起きるのではないかという、不穏な空気が漂い続けている。
客観的に見ているつもりが、いつの間にか同じ世界で生きているような気持ちになる。「彼女」は「私」かもしれない。あの子は「ひとり」かもしれない。水の中の小さな太陽のように、ゆらりと見える輝きを見つけた気がする。そんな苦しくて真摯な映画だった。

川瀬陽太(俳優)

独り、一人、ひとり、、、それぞれが代わるがわる彼女を責め苛む世界。お前らが私を見捨てるなら私はお前らを殲滅する。彼女の手にした武器は絶望のみ。まるで狂戦士なのだ。ならば闘え!もがけ!抗え!悪意を叩きつける彼女の貌は、美しかった。

木村知貴(俳優)

ダークな復讐劇のその先に何が待ち受けているのか、固唾を呑んで見守っていた。その瞬間が訪れた時、本能的な愛に気付かされ、人間も捨てたもんじゃないなと熱い涙が頬を伝った。まさか泣かされるとは…。

綾乃彩(俳優)

彼女から 1 ミリも目が離せなかった。離してはいけない気がした。 狂気を孕んだ彼女の奥深くには澄んだ何かがあるようにも思えた。 澄子が本当に息を吹き返したときに私も涙が止まらなかった。 とんでもない映画と出会えました。

礒部泰宏(俳優)

この映画は監督・中川奈月と主演・福永朱梨という二人じゃないと生まれていない。 澄子役は福永さん以外考えられないし、 あの時点での福永さんの最高の芝居を引き出せたのは 中川さんしかいなかったんだと、『彼女はひとり』を見終わって、そう思わされた。 この二人の出会いはちょっとした奇跡だと思う。

廣田朋菜(俳優)

階段を自在に行き来するメランコリックな主人公に睨まれて歪んでいく幼なじみの顔を嬉々として見てしまっていた自分がいました。怖いと思った時にはもうその強さに引きずり込まれ感嘆しました。素晴らしいサスペンス/ホラー作品。中川奈月監督のファンです。

西山真来(俳優)

彼女はひとりに打ちのめされてる。彼女はひとり、彼女はわたし、これはわたしの映画だ

松崎まこと(映画活動家/放送作家/「田辺・弁慶映画祭」コーディネーター)

彼女は“ひとり”で戦っている。大いなる悪意を武器に、まるですべてを敵に回すかのように…。そして彼女は、待っている。「大嫌い」と本気をぶつけ、“ひとり”でないことを、気付かせてくれる誰かを…。 福永朱梨が憑依したかのような演技で魅せる、哀しき“ダークヒロイン”。彼女を一目惚れで起用した中川奈月が描き出す、孤独と絶望、そして希望を凝視して、打ち震えよ!

長谷川敏行(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 プログラミング・ディレクター)

初見では、主人公・澄子が同じ高校の女性教師と付き合っている幼馴染みを脅迫するという、あまりにインモラルなストーリーに脳天を殴られたような衝撃を受けた。
二度目は、澄子を演じる福永朱梨の瞳に宿る、怒りと哀しみの激しさに言葉を失った。しかし三度目は、『彼女はひとり』というタイトルとは裏腹な、中川奈月監督が澄子に託した一筋の希望に心震えた。
見る度に色を変えてゆく本作を、私はこれからも何度も見続けてゆくのだろう。

宮崎洋平(TAMA 映画フォーラム実行委員会 TAMA NEW WAVEディレクター)

福永朱梨が演じた少女・澄子の、孤独の深淵を感じさせる瞳が忘れられない。 「本当のことを言おうか」と欺瞞にみちた世界への復讐を眼差したその目は、 どんな涙を流しうるのか。 愛が世界を壊し、愛がそれらをつなぎとめる、 この異色の青春譚をスクリーンで確かめてみてほしい。

鶴岡明史(ちば映画祭)

中川奈月監督はジャンル映画を目指している思う。ホラー、サスペンス、メロドラマといったジャンルに魅力的な人物を登場させる。そしてその人物は時に溶鉱炉のような燃える感情を秘め、時に厭世観とも言える絶望的な感情を持ち、眼球で訴えかけてくることで、映画はジャンルを超え深みを持つ。
本作では学校という限定された場所がメインだったが、今後はその舞台が広がるのか、否ひとつの場所にこだわるのか、そこもまた楽しみである。

松崎健夫(映画評論家)

この映画の“まなざし”は交えない。それでいて、力強い。だから印象的なのだ。お互いの視線が交えないことは、言葉と裏腹な不和や侮蔑、孤独や疎外といった心情を映像から感じさせる所以でもある。それゆえ、視線を交わした刹那に渦巻く、羨望や嫉妬といった情動が際立つのである。力強い“まなざし”が誘うのは、烈しい“邪(よこしま)”だ。

鈴木みのり(ライター)

この映画は、復讐に突き進む主人公・澄子だけでなく、その周囲のキャラクターたちは誰も無辜ではない。ホモフォビア、買春、未成年との淫行、子の実態に鈍感な親……さまざまな不穏なエピソードを、ほとんど説明なく突きつけられ、日常生活では表すのがためらわれる悲しみ、寂しさ、怒り、虚しさなどの負の感情が漂う。その禍々しさと、端正な構図、陰影のメリハリによる映画的な美しさが拮抗する。ラスト、そのエネルギーがどう昇華されるのか、劇場で見届けてほしい。

映画『彼女はひとり』は2021年10月23日(土)より新宿K's cinemaほか全国で公開!
脚本・編集・監督:中川奈月
出演:福永朱梨/金井浩人、美知枝、中村優里、三坂知絵子、櫻井保幸、榮林桃伽、堀春菜、田中一平、山中アラタ
配給:ムービー・アクト・プロジェクト
©2018「彼女はひとり」