『破戒』の完成披露舞台挨拶が6月13日(月)に都内で行われ、間宮祥太朗、石井杏奈、矢本悠馬、前田和男監督が登壇した。

名だたる巨匠が映画化してきた島崎藤村による不朽の名作「破戒」が、60年の時を経て再び映画化。主人公・丑松を気迫溢れる様子で演じ上げたのは間宮祥太朗。自らの出自に苦悩し、そして最後にはある告白をする難役に気迫の演技で挑み、観る者を惹きつける。相手役・志保を演じるのは石井杏奈。丑松に恋心を寄せつつも、なかなか思いを告げられない控えめな女性を演じる。悩める丑松を支える親友・銀之助役には矢本悠馬。さらに眞島秀和、高橋和也、竹中直人、本田博太郎、田中要次、石橋蓮司、大東駿介、小林綾子らが共演する。脚本は加藤正人と木田紀生が担当。監督は前田和男。

浴衣姿で登壇したキャスト・監督だが、「(間宮)祥太朗は作風と同じ感じ」という矢本に間宮は「極力、丑松に近い恰好で出て行って、そのまま映画に入っていっていただけたら」と答えた。また、石井の髪飾りを矢本がうらやましがっていたという間宮。矢本は「ずるいよね、カッコいいよ」と笑顔を見せた。「原作を読んで、準備段階の脚本を読んで、今の世の中のことを思いを巡らせて、製作陣が今映画館で上映させる意味を自分の中でも納得がいったので参加したいと思った」と振り返った間宮は、映画を鑑賞した感想を「今回この仕事をしてきて、一番シンプルな感想を抱けた作品だった。見終わった後に素直に“いい映画だな”と思えた、このことが自分にとって幸せでした」とコメント。

プライベートでも親交が深い間宮と矢本は、劇中で友人役を演じているが、「(劇中では)ただ仲がいいというわけではない」という間宮は「キャスティングが“矢本悠馬”と聞いた瞬間にこれは間違いないと思った」と語った。矢本も「この作品は特にプライベートの親交の良さがいい方向に出た。ゼロから現場に入って親友度を上げていく工程なしに最初から友達だったので、祥太朗が丑松を演じてくれているだけで、何もせずに銀之助になれました。芝居だけに集中できたので、丑松と銀之助のシーンは僕らの今までやってきた芝居でも最高の仕上がりになっているなと思います」と自信を見せた。そんな2人との撮影に石井は「現場入りしたら明るいお2人がリラックスした雰囲気を作ってくださった」と笑顔を見せた。

矢本は「明治時代、100年前の原作で、今の人が観てもリアリティのある作品です。この作品の中にある問題は全く今も解決していない。みんな平和に生きたい。それは一人一人の力が大事。一人が変われば世界が変わる。悲しいニュースがなくなるように一人でも多くの人に届けていきたい」と本作に込めた語った。

石井は「時代劇となると若い方々は見るのにハードルが高いイメージがあると思うんですけど、分かりやすいし、受け取りやすい作品だと思います。この時代に見ていただきたい作品が完成しました。多くの人に見ていただきたい」とメッセージを送り、間宮は「この映画で丑松を演じて感じたことは、ここに立っている僕らもお客さんも、一人一人の中に世界が存在してると思う。怒っていることとか事実を見ている視点は自分にしかなくて、本人が見ている世界があって。世界の事実を変える映画じゃないかもしれないけど、丑松の中で世界は変わったという実感があった。見ている一人一人の中に影響を及ぼす映画になっていると思うし、そういう映画であれたらと思います。この映画が大事な人に勧められる映画であってほしい」と本作をアピールした。

【写真・文/編集部】

『破戒』は2022年7月8日(金)より丸の内TOEIほか全国で公開!
監督:前田和男
出演:間宮祥太朗、石井杏奈、矢本悠馬、高橋和也、小林綾子、七瀬公、ウーイェイよしたか(スマイル)、大東駿介、竹中直人/本田博太郎/田中要次、石橋蓮司、眞島秀和
配給:東映ビデオ
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