第35回東京国際映画祭 ガラ・セレクション部門出品作品『母性』の記者会見が10月27日(木)に都内で行われ、戸田恵梨香、永野芽郁、廣木隆一監督が登壇した。

10月24日(月)~11月2日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区地区で開催される第35回東京国際映画祭。ガラ・セレクション部門出品作品『母性』は、累計発行部数360万部を超え、2010年に映画興行収入38.5億円を記録した超ヒット作『告白』から12年…数々の傑作を生み出し日本中を震撼させてきたベストセラー小説家・湊かなえが「これが書けたら、作家を辞めてもいい、そう思いながら書いた小説」とまで語った渾身の作品『母性』(新潮文庫刊)を映画化。母性を持てず、娘を愛せない母親ルミ子役を戸田恵梨香、母性を求め、母に愛されたい娘清佳役を永野芽郁が演じる。さらに、物語に登場するひと際キャラの濃い母娘たちを大地真央、高畑淳子、中村ゆり、山下リオが熱演。監督は人間ドラマの名手、廣木隆一が務める。

本作で初共演の戸田と永野だが、「永野芽郁さんの母親にはなれないだろうと思いました(笑)“嘘でしょ!?”って。親子ほど年が離れているんだろうかと調べたくらい心配になっちゃって」と驚いた様子の戸田だが「芽郁ちゃんが私のことを母として見てくれていたので、私の精神的にはなんとか成立させられた」と振り返った。

一方で永野は「嬉しかったです。戸田恵梨香さんが主演だと最初に聞いていたので、脚本を開く前に『戸田さんだったらやります』と」と即決だったという永野は「スイッチが入った時の戸田さんは怪物?みたいな(笑)恐ろしいんです。誰も声をかけられないくらい入っていくので、それを間近で見させていただけたのは貴重な経験でした」と振り返った。その戸田は、以前もそういったことがあったというが「自覚はないです」と語った。そんな2人について廣木監督は「とてもいい感じだったと思います」と称賛した。

撮影では苦労もあったといい、「予告でも使われている火事のシーンは大変でした。3つの視点があったんです。それを自分の中で理解をしながらお芝居をしなきゃいけない。火事はCGだったので、いったいどれくらいの大きさになっているかを把握する、スタッフさんとの共通認識を持つというのが大切」とコミュニケーションが重要だったという戸田。また、落ち葉に寝転がるシーンがあるという永野は「本当に虫がすごくて。耳のあたりで音がすると、勝手に体が動いちゃう。絶対に動けないという葛藤が大変でした」と明かした。

母親役の戸田は「母に愛され続けたいというのはきっと世界共通の感情なんじゃないかと思います。愛されたいと思うのは違和感のない自然に芽生える感情だと思う」と話しつつ、「彼女の中でどこまで普通の事なんだということを微妙なラインで見せるのは考えさせられて。自分の目線、娘の目線でも違うし、どこまで狂気的なものがあるかを表現するのが難しかった」と撮影を振り返った。

その娘を演じた永野は「こうもうまくいかないかと感じながら過ごしていました」と役柄の感情を思いやり、「娘が母に対して喜んでほしいな、愛してほしいなと思う気持ちはきっと皆さん持っているもので。見てくださる方が共感してくださるとは思いました」と語った永野は「(現場では)戸田さんを見ているだけで大丈夫だと思ったので、ついていかせていただきますという感じでした」という。

自身の親子関係については「幼少期はプリンセスに憧れて、ドレスを着て走り回ったりしていました」という戸田だが「学生になると、早く自立したくてしょうがないと思っていました」と明かした。永野は「いい娘だと思うんですよ(笑)お母さんが喜ぶことをしたいと常に思っているので。行きたいというところに連れて行くので、いい娘ですね(笑)」と明かした。

まもなくジャパンプレミア上映を迎える本作だが、「私が初めて本編を観た時はよくわからなかったんです。この作品は何なんだろうと。るみこのことを理解したうえで現場に入ったつもりだったんですけど、理解しきっていなかったのかもと疑ってしまうくらいちょっとよくわからなかった。客観的にも見れなかったんです」と話す戸田は、「そういう作品なんだと知って。私が感じたものとみなさんが感じた世界のギャップはあるんだろうなと」と観客の反応が楽しみな様子だった。また、永野は「同世代の方にも何か響くものがあると思います」と呼びかけた。

【写真・文/編集部】

『母性』は2022年11月23日(水・祝)より全国で公開!
監督:廣木隆一
出演:戸田恵梨香、永野芽郁、三浦誠己、中村ゆり、山下リオ、高畑淳子、大地真央
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2022映画「母性」製作委員会

第35回東京国際映画祭は2022年10月24日(月)~11月2日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催
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