『エゴイスト』の記者会見が2月6日(月)に日本外国特派員協会で行われ、宮沢氷魚、松永大司監督が登壇した。

原作は数々の名コラムを世に送り出してきたエッセイスト高山真の自伝的小説「エゴイスト」を映画化した本作。主人公・浩輔のライフスタイルの細部までリアルに描写し、登場人物たちの心情に寄り添うドキュメンタリータッチでリアリティあふれる映像が、親密な時間の温度感や、愛するがゆえに生まれる葛藤を繊細に伝えている。浩輔を演じるのは鈴木亮平。愛を注がれる純粋な青年・龍太役には宮沢氷魚。監督を務めるのは松永大司。

松永監督は「宮沢氷魚さんとご一緒することができてとても嬉しい」、宮沢は「松永監督とご一緒することができて光栄です。ここに来るのが夢だったので非常に嬉しい」とそれぞれ英語で挨拶した。松永監督からの演出について宮沢は「リハーサルを重ねる上で、監督から“こういった場面”と展開の説明に終わり、そこから芝居をしました。撮影中は台本に基づくお芝居をしたのですが、演じたいように演じさせてくれました。脚本に書かれている言葉がそのまま台詞になったわけではありません。生き生きとした芝居につながったのではないかと思います。演じていると、自分の感情から湧き出てきたものが形になった気がして、刺激的な体験となりました」と振り返った。

そんな宮沢のキャスティングについて「最終的には直観ですかね」と笑う松永監督は「見た目はとても大きな要素でした。背が高くてルックスがいいということがこの映画にとってマイナスにならないかと心配だったんですけど、氷魚や(鈴木)亮平の過去の作品を観て、自分が演出したらフィットするんじゃないかと思いました」と明かした。

インティマシーコレオグラファー(Intimacy choreographer)が参加していることには「この作品に出演するまでは経験がありませんでした。でもこの経験を経てからは、サポートしてくれるスタッフがいない現場は想像できないです。日本の映画産業にとっても大きな一歩だと思いますし、どんな演技をするにしても同意は欠かせないと思います。私たちも知らないこともたくさんありますし、どう表現すればいいかわからないことがある。現場でサポートしてくれる存在がいるのは安心感になりますし、自由に演技をすることができます」と語った。

また、LGBTQ+インクルーシブディレクター(LGBTQ+ inclusive director)のミヤタ廉も参加しているが「僕にとってはとても大きかったです。浩輔の友人はゲイ当事者の方たちに演じてもらっています。彼らを探してもらったのも、インティマシーコレオグラファーもミヤタ廉さんから紹介してもらいました。用語の監修だったり、スピーチの監修を一緒にしてもらっている松岡さんがいます。今日も2人はここに来て僕らを見守っているのでいつもありがたいと思っています」と感謝の気持ちを口にした。

岸田文雄首相の同性婚についての発言や、首相秘書官が差別的な発言により更迭されたことについて質問された宮沢は「この一件で感じたことは政治的問題はあるとは思うんですけど、人として発言が出たことによってたくさんの人が声を上げて、意見であったり行動をするということが見えたと思う。それは日本の歴史を考えても大きなステップアップだと思っていて、日本は前進はしていると思うんですけど他国に後れを取っているところがたくさんあると思います。世論のみなさんが声を挙げたのは日本の未来に希望が見えると思います。悲しい出来事ではあるんですけど、それによって前向きな意志の強さ、意見を発信していこうというのが見えたので、そこにもっと注目が集まってもいいのではないかと思っています」と答えた。

会見では終始流暢な英語で受け答えを行っていた宮沢だが、最後に“なぜハリウッドにいかないの?”という質問が寄せられると「海外で活躍するのは大きな夢。アメリカだけではなく、日本国外のどこかで活動したいとは思って、試行錯誤はしています。1月にロンドンに行く機会があり芝居を観させていただいたんですけど、パフォーマンスに圧倒されました。近い将来、願わくば海外で撮影された作品を携えてFCCJ(日本外国特派員協会)に登壇させていただければ」と答えた。

【写真・文/編集部】

『エゴイスト』は2023年2月10日(金)より全国で公開!
監督・脚本:松永大司
出演:鈴木亮平、宮沢氷魚、中村優子、和田庵、ドリアン・ロロブリジーダ/柄本明/阿川佐和子
配給:東京テアトル
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