カンヌ国際映画祭ある視点部門出品&アカデミー賞国際⻑編映画賞カンボジア代表選出『All The People I’ll Never Be(原題)/Return to Seoul(英題)』が『ソウルに帰る』の邦題で8月に公開されることが決定した。

本作は、韓国で⽣まれ、フランスで養⼦縁組されて育った 25歳のフレディが初めて⺟国に戻り、友⼈の⼒を借りて実の両親を探し始める物語。2022年のカンヌ国際映画祭のある視点部⾨で出品され、その後世界中の映画祭で絶賛、ボストン映画批評家協会賞では昨年濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』が栄誉に輝いた作品賞を見事受賞。今年1月世界に先駆け一般公開されたフランスでは、公開2週目にして7万人以上を動員する大ヒットを記録。

友⼈の経験に着想を得て脚本を書いたという本作の監督は、カンボジア系フランス⼈のダヴィ・シュー。カンボジアの⾸都プノンペンを舞台に⻘春群像を描いた初⻑編劇映画『ダイアモンド・アイランド』(2014)で、カンヌ映画祭批評家週間のSACD賞を受賞。本作が⻑編2本⽬ながら、一躍世界中で期待される新鋭監督の一人となった。⽇本では、昨年開催の東京フィルメックスでコンペティション部⾨に出品され、「⼤傑作」「過激で愛らしい」「(フレディを)抱きしめたい」「ぶっとんだ展開の発想⼒に驚いた」など絶賛が相次ぎ、審査員特別賞を受賞した。

ソウルの街灯りの下、⾃分の原点を探し求める主⼈公・フレディを演じたのは、本作が初映画出演となるパク・ジミン。表情豊かで型破りなフレディの複雑な内⾯を⾒事に演じて、『TAR/ター』のケイト・ブランシェット、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のミシェル・ヨーらと並び、昨年を代表する名演と評された。突如⽬の前に現れた娘と向き合うことになる⽗親役には、『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』などパク・チャヌク監督作品の常連俳優として知られるオ・グァンロク。その他、『愛の不時着』で知られるキム・ソニョン、⼩説『砂漠が街に⼊り込んだ⽇』の作者として知られるグカ・ハンなどバラエティ豊かな俳優が出演している。

ダヴィ・シュー監督 コメント

カンボジア系フランス人監督として人種差別を受けた立場から私が興味を持ったのは、あらかじめ設定された定義に収まること、あるいは代弁されることを常に拒否するキャラクターの軌跡という地平線です。パク・ジミンが演じるフレディは、自分自身を再発明し、再構築し、再主張することに時間を費やしています。私は誰なのか?私の居場所とは?他者との関係において、自分はどのような立ち位置にいるのか?『ソウルに帰る』では、アイデンティティという普遍的なテーマを追求しました。

ダヴィ・シュー監督

ストーリー

韓国で生まれフランスで養子縁組されて育った25歳のフレディは、ふとしたきっかけで、母国である韓国に初めて戻ってくる。しかし、自由奔放なフレディは、韓国の言葉や文化になじめず、誰とも深い関係を築けない。そんな中、フランス語が堪能で親切な韓国人テナの手助けにより、フレディは自分の実の両親について調べ始める。

『ソウルに帰る』は2023年8月よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で順次公開
監督・脚本:ダヴィ・シュー
出演:パク・ジミン、オ・グァンロク、キム・ソニョン、グカ・ハン、ヨアン・ジマー、ルイ=ド・ドゥ・ランクザン
配給:イーニッド・フィルム
©AURORA FILMS/VANDERTASTIC/FRAKAS PRODUCRIONS/2022