本年度アカデミー賞2部門受賞『ザ・ホエール』の本編映像が解禁された。

恋人を亡くしたショックに打ちひしがれ、現実逃避をするように過食を繰り返してきたチャーリー(ブレンダン・フレイザー)。歩行器なしでは移動もままならず、親友の看護師リズに頼って生活している。病状の悪化で自身の死期が近いと悟ったことで、長らく押し込め続けたトラウマと向き合うことを決意。さらに離婚して以来音信不通だった娘エリーとの絆を取り戻そうとする彼の最期の5日間を描く。ブレンダン・フレイザーが演じたのは体重272キロ、余命わずかな男・チャーリー。彼はこの役に挑むにあたり、自身の体重増量に加え、特殊メイクとファットスーツを着用して臨んだ。

今回、自宅で孤独な引きこもり生活を送るチャーリーと彼に寄り添い続ける唯一の友人、亡くなったチャーリー恋人アランの妹であり看護師のリズとの本編映像が解禁された。

日に日に体調が悪化し呼吸器をつけるようになったチャーリー。今までお互いに頼り合ってきた二人にしか分からない、簡単には割り切ることのできない様々な想いが入り混じる。目を潤ませ謝ることしかできないチャーリーに、リズは「やめて」と一蹴する。チャーリーの心音を聞き、看護師としての役目を終えると、たまらずリズは「ひどい人。また私をこんな目に」と声を震わせながら堰を切ったようにチャーリーへ思いをぶちまける。家族を捨てる選択しかしなかった自身を悔やみ、さらに恋人アランを失ったことが引き金となり心と体を制御できなくなってしまったチャーリー。唯一の最愛の人だったアランと家族であることを認められず、最期の姿を見ることができなかったという辛い事実も明かされる。チャーリーとリズ、それぞれの哀しみの深さは計り知れない。

ブレンダンはアカデミー賞の受賞スピーチで「鯨が深い水の中でここまで泳げたのは、才能あふれるホン・チャウのおかげ」と、リズを演じたホン・チャウへ特別な感謝を伝えていたが、このシーンからもブレンダンとホンの役柄そのままに互いを高め合って撮影に挑んだ強い絆が伺える。父娘の物語にとどまらず、登場人物たちのアンサンブルが大きく動けないチャーリーの内面の豊かさとエモーショナルな姿を躍動的にみせてくれる。人生に悲観するだけでは決して終わらない結末を、ぜひ劇場で見届けてほしい。

本編映像

『ザ・ホエール』は全国で公開中
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ブレンダン・フレイザー、セイディー・シンク、ホン・チャウ、タイ・シンプキンス、サマンサ・モートン
配給:キノフィルムズ
PG12
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