『水は海に向かって流れる』の完成披露試写会が5月10日(水)に都内で行われ、広瀬すず、大西利空、高良健吾、戸塚純貴、當真あみ、生瀬勝久、前田哲監督が登壇した。

田島列島がユーモラスかつセンシティブな独特の筆致で描くのは、26歳のOL榊さんと高校生の直達を中心に、曲者揃いのシェアハウスの面々の想定外の日々を綴った、家族の元を離れて始まる、家族の物語。主人公・榊千紗を演じるのは『流浪の月』での好演の高い評価が記憶に新しい、広瀬すず。映画にドラマ、作品を重ねるごとに飛躍してきた広瀬が、クールで感情を表に出さない大人の女性を繊細に演じ、新たなステージに挑む。監督は、『そして、バトンは渡された』『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』など、心潤す数々の群像劇を世に送り出してきた前田哲。人と人との向き合う過程を優しく描き、心の揺れ動きや溢れ出る感情を丁寧に映し出す。

これまでに演じてきた役とは異なるOLという役どころに「なんでこれ私に話が来たんだろうと(笑)妹とか末っ子のイメージが強いと思うので」と笑う広瀬だが「新しい挑戦でもあり。でも、OLとはいえ働いているシーンはないんです。意外とありのまま、変に構えずにできるかも」と振り返り、大西との共演には「リアリティな距離感は苦労せずに楽しく演じさせていただきました」と明かした。

その大西はオーディションで抜擢されたといい「すごいうれしかったんですけど、大きい役だなと、自分に務まるか心配というか」と笑顔を見せるその表情からは撮影現場の空気感の良さをうかがわせた。一方で、シェアハウスで同居する役どころには「豪華な面々の中やるのかと思ったらちょっとプレッシャーがかかっていたんですけど、気さくで優しい方々ばかりで、やりやすい現場で」と振り返った。

本作が長編映画初出演となった當真は「現場に入った時に本当に緊張していて、目に見て震えが分かるくらいに緊張していた」と明かしつつ、「みなさん話しかけてくださって、そのおかげもあって後半に行くにつれてだんだんリラックスしてできました」と振り返った。これに広瀬は「かわいいねぇ。かわいくて話が入ってこない(笑)(當真が)かわいすぎて。お芝居に対する緊張感が漂っていて、私がビビッて話しかけられませんでした」と明かした。

“一生恋愛しない”という榊さんにちなんで“一生○○しない”を聞かれると「気を強くいすぎない…と思ったのが、人によく言われるんです、気が強そうだねと。榊さんを演じて、すごい気が強い榊さんになっちゃったなと。こういうところに出るんだなと」明かす広瀬。高良は「一生しないと思ったことをほとんどしちゃってるなと。やっちゃうんですよね」と笑いを誘った。「忘れ物をしない」と答えた戸塚は「パーキングによって財布を忘れて、出先でカギを忘れて家に入れなくなった時にいよいよだなと思いました」と苦笑した。

また、主題歌のタイトル「ときめきpart1」にちなんで“最近ときめいたこと”をフリップで披露。「ネコ」と書いた當真は「最近友達とネコカフェに行って気づいたら3時間経っていて。猫と触れ合うのは『水は海に向かって流れる』の撮影以来だったんです。本当にかわいくて、3時間って意外とお金が無くなっちゃって…無くなったんですけど気づいたら2回目行っていました」と明かした。

「ダイニングテーブル」と書いた広瀬は「新しいお家に迎え入れようとしたら入らないと言われて。別の業者さんにもう1回見てもらったら『ギリギリ入るかも』と言われて。何年か越しに一目ぼれしたダイニングテーブルを迎え入れることができそう」と“ときめき”を明かした。

最後に広瀬は「愉快な仲間たちとシェアハウスを舞台に、穏やかな時間が流れているんですけど、どこか一人一人繊細にいろんな感情がぐるぐる回っていて、きっと最後にみなさんに寄り添ってくれる作品になっています」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

『水は海に向かって流れる』は2023年6月9日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開
監督:前田哲
出演:広瀬すず
大西利空、高良健吾、當真あみ/勝村政信
北村有起哉、坂井真紀、生瀬勝久
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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