第36回東京国際映画祭 アジアの未来部門出品作品『違う惑星の変な恋人』の舞台挨拶が10月31日(火)に丸の内ピカデリーで行われ、莉子、みらん、木村聡志監督が登壇した。

感動シネマアワードの企画コンペグランプリを受賞した『階段の先には踊り場がある』で商業デビューを果たした新世代恋愛群像の旗手・木村聡志監督の最新群像劇である本作。主演は、映画『女子高生に殺されたい』、TVドラマ「ファイトソング」、TVドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」など話題作への出演が続く莉子。ドラマ・映画・舞台で注目を集める筧美和子、『偶然と想像』『愛なのに』『よだかの片想い』と話題作への出演が相次ぐ中島歩、「君の花になる」「ばらかもん」の綱啓永、『愛なのに』で主題歌を担当していたシンガーソングライター・みらんという異色メンバーによる恋愛群像の行方は―。

今回の上映を観客とともに鑑賞したという木村監督は「見たことによってソワソワして緊張しています」と緊張した面持ちで挨拶した。その木村監督の演出について「お芝居の事よりも監督独自のこだわり」という莉子は「世代じゃなくて全然分からなくて。監督は熱く語られていたんですけど、私はところどころ理解せずにやっていた(笑)」と明かした。一方で、みらんは「演技初挑戦で、音楽は夜が遅い現場なので、大阪に住んでいたし、大阪から東京に行ってライブして次の日は4時起きで、もうろうとしていた記憶」と撮影を振り返った。

キャストへの演出については「各自が解釈して理解して喋れるんだったらあえて何かを言う必要はないかな。自由な発想でやったもらったほうがおもしろくなる」と考えたという木村監督だが、莉子は「基本一発長回しだったので。モー役の綱(啓永)さんとのリアルな会話のテンポでやるのがいいのかなと思った」と振り返った。

キャスティングについては「脚本を3分の1くらい書いたところでプロデューサーと話して、『むっちゃんは莉子さんどうかな』と話をしていて」と探っていったというが「全然出来上がっていない脚本をみなさんに送ったら、みなさんおもしろがって参加してくれて。そこからの3分の2は役者さんがほぼ決まった状態で(書いた)。『莉子さんだったらこう言うかな』みたいな感じで書き進めていった」とキャストが決まってから脚本を書き上げたという。その木村監督については「想像より変な方(笑)すごいおもしろいんです。なんとなくついていって完成して、映像を見て理解した」と振り返った莉子。みらんは「オファーを受けてからすぐ会ったんです。全然しゃべらない。私は一生懸命しゃべったんですけど、『大丈夫だと思います』みたいな感じで」とやりとりを明かし、木村監督は「人見知りで、できるだけ知らない人と会いたくない」と照れ笑いを浮かべた。

劇中ではカットされたシーンもあるいうが、覚えたセリフが大幅にカットされたという莉子は「いらなかったですか?あんなに覚えたのに(笑)」と笑った。また、本作に出演する中島歩について「『愛なのに』という映画で主題歌をさせていただいて、そこから中島歩さんの演技を好きになった」というみらんは「中島さんがいるシーン、だいたい目の前にお菓子とかおつまみがあって、ずっと食べていた印象があります」と明かした。これに木村監督は、中島が差し入れとして持ってきたものを自身のアイデアで劇中で使っていることもあったというエピソードを披露した。

また、劇中ではサッカーに関する描写もあるが、「サッカーを愛している」という木村監督は「撮影をしていたのが去年の12月で、カタールワールドカップを開催していて、『時代性を入れたらどうか』と意見をもらって。今までは排除していたんですけど、今回あえて入れてみようと」と明かした。

さらに「初主演ということでうれしいと思ったんですけど、ふたを開けて見たらおもしろい、私の想像を超えてくる、違った新しいジャンルに挑戦できるなという思いが強くて楽しみだなというのがありました」という莉子は「監督の頭の中とか、映画の謎の部分がちょっとずつ明らかになりながら公開が近づくのが楽しみです」と劇場公開に向けて意気込んだ。

第36回東京国際映画祭は、10月23日(月)~11月1日(水)の10日間にわたって日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区地区で開催。期間中には219本が上映される。

【写真・文/編集部】

第36回東京国際映画祭は2023年10月23日(月)~11月1日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催

『違う惑星の変な恋人』は2024年1月26日(金)より新宿武蔵野館ほか全国で順次公開
監督・脚本:木村聡志
出演:莉子、筧美和子、中島歩、綱啓永、みらん、村田凪、金野美穂、坂ノ上茜
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©「違う惑星の変な恋人」製作委員会