三島有紀子監督最新作『一月の声に歓びを刻め』の予告編が解禁された。

本作は、三島有紀子監督自身が47年間向き合い続けた「ある事件」をモチーフに、自主映画からスタートしたオリジナル企画。「性暴力と心の傷」という難しいテーマにあえて挑み、心の中に生まれる罪の意識を静かに、深く見つめる映画である。八丈島の雄大な海と大地、大阪・堂島のエネルギッシュな街と人々、北海道・洞爺湖の幻想的な雪の世界を背景に、3つの罪と方舟をテーマに、人間たちの“生”を圧倒的な映像美で描いていく。船でやってきた者を前田敦子、船を待つ者を哀川翔、そして船で向かう者をカルーセル麻紀が演じ、さらに、坂東龍汰や片岡礼子、宇野祥平、原田龍二、とよた真帆らが脇を固める。

今回、予告編が解禁された。道をさまよう“れいこ”(前田敦子)と、レンタル彼氏(坂東龍太)のふたり。「なんで私が、罪感じなきゃいけないんだよ」と意味深な言葉を吐露するれいこ。前夜は楽しげに踊り、一夜をともにしたはずだったのに…。雪深い道なき道を歩むマキ(カルーセル麻紀)が「れいこ…」と呟き、誠(哀川翔)が険しい顔つきで鉄パイプを手に握る。「わたし…6歳のときに変な男に変なことされたんで…。自分の身体なんか…好きな人とできる身体じゃないなって…」と衝撃の告白とともに泣きじゃくるれいこ。幼いれいこの心に、罪深い影を落とした心の傷が、成長した彼女を今でも苦しませ続けるのだった。

予告編では、前田敦子がアカペラで歌う劇中歌が流れる。三島有紀子監督が本作の脚本を執筆中に、とある映画館のカフェで偶然耳にした奇妙礼太郎の「きになる」(作詞・作曲:早瀬直久)のカバーだ。「知らない間に、見違えるほどきれい。何にも知らなくても、幸せになれるかな」という歌詞と、悲壮感漂う前田敦子の歌声。だが、オリジナルの奇妙礼太郎の「きになる」は、対照的に明るい歌唱で、歌詞全体も前向きなものだ。そのギャップは本編でいかに絶妙に活かさせているのか―。

予告編

『一月の声に歓びを刻め』は2024年2月9日(金)よりテアトル新宿ほか全国で公開
脚本・監督:三島有紀子
出演:前田敦子、カルーセル麻紀、哀川翔
 坂東龍汰、片岡礼子、宇野祥平
 原田龍二、松本妃代、長田詩音、とよた真帆
配給:東京テアトル
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