『水深ゼロメートルから』の公開記念舞台挨拶が5月4日(土)に新宿シネマカリテで行われ、濵尾咲綺、仲吉玲亜、清田みくり、花岡すみれ、山下敦弘監督が登壇が登壇した。

第44回四国地区高等学校演劇研究大会で「文部科学大臣賞(最優秀賞)」を受賞した中田夢花の脚本による徳島市立高等学校の演劇を原作とした舞台が2021年に「劇」小劇場にて上演、そして山下敦弘監督を迎えて映画化された『水深ゼロメートルから』。スマッシュヒットを記録した映画『アルプススタンドのはしの方』と同様のプロジェクトから生まれた“高校演劇リブート企画”第二弾作品。高校二年生の夏休みに、水のないプールに特別補習のため呼び出された女子高生たちによる心の葛藤と解放の繊細な青春ストーリーを描く。メイク推奨一軍女子・ココロ役に濵尾咲綺、踊れなくなった女子・ミク役に仲吉玲亜、ふてくされ水泳部・チヅルに清田みくり、チヅルを見守る先輩・ユイ役に花岡すみれ。

ココロ役の濵尾は、ついに迎えた公開に「昨日の初日、一人で映画を観に行き、ついに公開したんだなぁという気持ちで胸がいっぱいです」と喜びを嚙みしめるコメント。ミク役の仲吉は「早速感想をSNSで読んだんですけど、皆さん全然違う感想を書いていて、読むのが楽しかったです。皆さんもぜひ感想を書いていただけたらなと思います」と述べ、チヅル役の清田は「たくさんの感想を目にして、その一つ一つに個性があり、読んでいてすごく楽しく、映画を届けることの楽しさを改めて実感しています」と思いを語った。ユイ役の花岡は「ズラッと並んだ皆さんのお顔を見るとついに公開したんだなぁと実感してドキドキとワクワクという感じです」と喜びを表す。そして山下監督は「本日は見に来てくださりありがとうございます。たくさんお話できればと思います」と改めて感謝を述べた。

高校生が手がけた原作を元にした高校演劇リブート企画の作品として、2020年に公開された『アルプススタンドのはしの方』に続く形で制作されたことについて、山下監督は「元々、大好きな中原俊監督の『櫻の園』が演劇作品ということで真っ先に浮かびました。この作品も同じくミニマムな様子を描く作品だなと思いました。そして城定監督の『アルプススタンドのはしの方』の次ということでやりたいな、という気持ちになりました」と真剣に語る一方、「詳しいことはパンフレットに書いてあるので」と笑いを誘う場面もあった。

舞台からの映画化にあたり、演劇で一度演じた役を改めて演じる撮影ということについて、濵尾は「2年ぶりのココロ役ということで不安とうれしい気持ちの両方がありました。撮影に当たっては監督の映画の雰囲気を知るために再度『リンダ リンダ リンダ』『天然コケッコー』を観ていきました」と当時を振り返る。仲吉は「私は別物として挑みました。舞台と映画ではリアリティや熱量が違うので同じミクだけど違う気持ちでした」とコメント。そして花岡は「舞台の時は実際に女子高生、映画撮影時は19歳でその時期の2年は大きく感じることが違っていたので、無視しないで取り入れつつ、演じていました」と歳を重ねて自身の受け取り方が変わったと明かした。続いて、清田は映画から出演となったことについて聞かれ、「初めて会う時は繋がりが出来上がっている3人に混ざれるか不安だったが、会ったその日に笑い泣きをするぐらいに打ち解けるのは早かったです」と明かし、4人での出会いを振り返った。

プールが舞台となっている本作の撮影は実際にプールの中で行われており、そのことに質問が及ぶと山下監督は「撮る前にはワンシチュエーションという不安があったが、実際にはロケーションとして面白さがありました。さらに4人が入ることでより面白さを感じたので、不安はなくなりました」と本作ならではシチュエーションについて語った。シチュエーションについて、仲吉は「演劇では狭い範囲での限られたコミュニケーションになっていたが、実際のプールサイドだと距離があり、声が聞こえない、表情が見えにくいといった違いがありつつ、テンション感も落ち着いた自然なものになりました」とその違いについて説明した。

濵尾は「舞台では声を遠くに届かせる意識でしたが、プールの中だと声が響くので、立ち位置ごとにその変化を意識していた」と明かした。花岡は「一番は砂が違いました。本物の砂を前にすると、掃除のキリがないことを実感し、苛立つ感情も肌で理解できました」と砂に対する印象についてコメントした。清田は撮影を振り返り、「プールは水が入っている状況しか知らないので、箱としての広さを感じて、裸足で走り回ったりするのは楽しかったし、自分をさらけ出す感じもワクワクして楽しくできました」とこれまでにない経験だったと語った。

演出面について、山下監督は女性ならではのセンシティブなテーマを扱うということもあり、「頭で理解をしても、女性的な感覚や実際の熱量は4人にも相談しながら、セリフを削ったりとみんなで作りあげていった」と撮影を進めていく様子を振り返った。撮影中のエピソードで、濵尾は山下監督が先生に対するセリフの言い方を実際に演技してくれたことを印象深いと述べた。仲吉が最も印象深いシーンとしてココロとミクが言い合うシーンを挙げ、「演劇と最も変わったシーンであり迷っていたが、一度、仲吉玲亜そのままで演じてみてと監督に言われ、自分とミクとで感情を整理することができた。そのままで演じてと言われたのは初めてで不思議な体験でもあり楽しかった」とその時のことを思い出していた。

花岡は「合宿形式で撮影をしていたので、自分が参加していなくてもチームで真剣に一つのシーンや単語に取り組む様子を感じて、そこに混ざりたい!と思っていました」と語り、チーム一丸となって撮影に臨んだ様子を語った。清田は「場面が変わらないのでワンカットが非常に長かった。そのため、テイクを重ねること自体が大変だったが、監督のリセット&リフレッシュだよという呼びかけで乗り越えることができた」と撮影中に監督から励まされたことを振り返った。

最後に清田は「こんなに映画に映ることやこういった場に立つといった経験が初めてで、皆さんの顔見て、映画の感想を聞くといつもと違った胸にくるものがあり、それが本当に幸せだと感じました」と感慨深い様子で感謝を伝えた。仲吉は「この作品を観て、どう考えるのか、どう感じるのかが大切なのかなと思いました。なので感想を書いていただき、そしてぜひ他の人の感想を読んだりして作品の良さを感じて欲しいです」と来場者へ呼びかけた。

濵尾も「観ている時の感情によって観え方が変わると思っています。観る日によって異なるキャラクターに感情移入できる作品だと思うので、ぜひ何度も観てもらえたら嬉しいです」と思いを語った。そして、花岡は「一生残り続ける映画として『水深ゼロメートルから』を残すこと、そして劇場に足を運んでもらえて本当に嬉しいです。映画館で観る甲斐のある作品だと思うので、大きいスクリーンで感じたことをぜひ何かで共有してもらえたら嬉しいです」と振り返った。最後に山下監督が「少ない人数で作った小さな映画ですけど、監督として作れて良かったと感じています。細々とでも良いので、ずっと観てもらいたいので、皆さんの思ったことをぜひ呟いてもらえたら嬉しいです」とメッセージを送った。

また、5月9日と12日に新宿シネマカリテにてイベントの開催決定が発表されており、9日には山下敦弘監督と枝優花監督、12日には山下敦弘監督と原作者の中田夢花、村端賢志が登壇予定。詳しくは、新宿シネマカリテのホームページにて。

【提供写真、オフィシャルレポート】

『水深ゼロメートルから』は全国で公開中
監督:山下敦弘
出演:濵尾咲綺、仲吉玲亜、清田みくり、花岡すみれ
三浦理奈/さとうほなみ
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©『水深ゼロメートルから』製作委員会