『言えない秘密』がドイツ・フランクフルトで開催された第24回ニッポン・コネクションで特別上映され、Q&Aに古川琴音が登壇した。

京本大我(SixTONES)を主演に迎え、確かな演技力で活躍する古川琴音が初の恋愛映画のヒロイン役に挑戦し、数々の話題作を手掛ける河合勇人監督がメガホンをとる本作。伝統ある音楽大学を舞台に、過去の出来事から思うようにピアノが弾けなくなってしまった音大生・湊人と、ある<秘密>をかかえたどこか謎めいた雰囲気のある音大生・雪乃はピアノの音色に導かれ、運命的な出逢いを果たす。自然と惹かれ合い、雪乃の明るく純粋なピアノの演奏は、湊人が抱えるトラウマを癒し、やがて2人で過ごす日々は愛おしくかけがえのないものへとなっていく。しかし、ある日突然雪乃は湊人の前から姿を消してしまう―。

今回、ドイツで5月28日(火)から6月2日(日)[現地時間]に開催された世界最大級の日本映画の祭典「第24回ニッポン・コネクション(NIPPON CONNECTION)」で、本作『言えない秘密』が特別上映された。本上映には、同映画祭で優れた若い才能に贈られる「ニッポン・ライジングスター賞」を受賞する名誉ゲストとして参加していた本作のヒロイン・雪乃役を演じた古川琴音が登壇し、320人ほどが詰めかけた満席の会場で、上映前の舞台挨拶と上映後には観客とのQ&Aを行った。

ニッポン・コネクションは、約80人のボランティアを中心としたチームからなるNPO法人「ニッポン・コネクション」が運営し、ヘッセン州科学芸術大臣ティモン・グレメルス、フランクフルト市長のマイク・ヨーゼフ及び在フランクフルト日本国総領事館の後援を受け開催されている。2000年の発足以後、日本映画に関する世界最大級のプラットフォームへと発展し、2023年には18,500人を超える来場者を迎えた。第24回となった今年は、8つの会場で約100本の短編・長編映画が上映され、約50人の映画製作者が作品の上映、観客との交流のために日本から訪れた。古川が受賞した「ニッポン・ライジングスター賞」は、昨年新設された日本映画界の優れた若い才能に捧げられる名誉ある賞で、昨年の三浦透子に続く受賞となった。

上映前には、満席の会場を喜びつつ、流暢なドイツ語と英語を交えて挨拶をした古川は、日本でのお披露目となった完成披露試写会では女性客がたくさん来場していたことに触れ、今回の上映では男性の観客もたくさん来場しているので、どんな反応があるか楽しみだと語って上映が開始された。上映中は、音大での学生たちと教師との掛け合いに笑いが起きたり、中盤から後半にかけては湊人と雪乃のシーンで涙を流す人たちも多くみられ、エンドロールが終わると会場からは自然と拍手が沸き起こった。

上映後に再び登場した古川は、司会者から「今作ではピアノ演奏がとても大事だったと思いますが、どのように取り組まれましたか?」という質問を受け、「ピアノは幼い頃からやっていたのですが、先生についていただいて撮影1か月前からレッスンを始めました。主演の京本君は初めての本格的なピアノ演奏だったので、3か月前からレッスンを始めて猛特訓されていました。私がこの物語を演じるにあたって大事にしようと思っていたのが、ピアノを弾く姿だったり、2人(雪乃と湊人)を繋ぐものがピアノの音だったので、ピアノ演奏の際に音が自分の体からちゃんと出ているように、そう見えるように努力しました」と語った。

Q&Aでは観客からの「とても素晴らしい映画をありがとう!台湾のオリジナル版も観ていて好きだったので、比較してみることができました。撮影にあたりオリジナルを観ましたか?観ていたらそれをインスピレーションにして演じられましたか?」という質問には、「台本をいただく前にオリジナルを観ていました。ラブストーリーだけど、ただの美しいラブストーリーではなく、雪乃の湊人への強い想いがとても印象的で、そこにリアリティを感じ、惹かれました」と語り、さらに「そこは大事な部分だと感じてこの作品でも表現したいなと思っていました。そういう部分ではオリジナルを大切にしましたが、それ以外の部分ではあえて寄せようとしたり、あえて何かを変えようと意識したりはせず、今回の台本に忠実に演じようと考えました」と語った。

続く「雪乃というキャラクターと古川さんとの共通点を教えてください」という質問には、「似ていると思うのは、“猪突猛進なところ”です。雪乃ほど大きな決心をしたことはないですが、私もこうと決めたらそれしか見えなくなるところがあるので、そこは似ているかなと思います」と語り、さらに「ドイツに来てこうした機会を作ってくださってありがとうございます!上映前の挨拶で男性客が多いことを驚かれていましたが、私は男性ですが、この作品が大好きですよ!」というアピールには、はにかんだ笑顔を見せ「ありがとうございます!」と答えた。

また「今作を観て2人の距離感がとても良いことが伝わってきました。ただ上手な演技だけではそれを出すのは難しいと思いますが、何か秘訣は?」という質問には、「ラブストーリーでは2人がどのくらいちゃんとカップルに見えるのかがとても重要だと感じています。脚本では心理的な距離の近さは書かれていますが、私自身と京本さんは歴史を積み重ねてきたような関係ではないので、そこの距離感が見えてしまったらどうしようという不安はありました。でも、今回はピアノの練習が2人の距離感を補う良い助けになってくれました。ピアノ練習を通して、リードしあったり、教え合ったりとコミュニケーションをとれたことで、関係性をうまく築くことができ、それを映画の中の2人にも反映することができたのかなと感じています」と語った。

質問が尽きない中で、最後となった質問の「エンディングについて、ハッピーエンド、バッドエンド、どんな風にとらえていますか?」には、「私自身はこのエンディングがとても好きです!湊人の雪乃への気持ちを強く感じることができるエンディングだと感じました」と語り、温かい拍手に包まれながらQ&Aは終了した。青春時代に誰もが経験する淡く切ない恋に胸高まり、「秘密」が明らかになった時、これまで見えてきたものが一変するラブストーリー『言えない秘密』は6月28日(金)から全国で公開。公開前の6月中旬には、上海国際映画祭でのアジアプレミアも控える。

【提供写真、オフィシャルレポート】

『言えない秘密』は2024年6月28日(金)より全国で公開
監督:河合勇人
出演:京本大我(SixTONES)、古川琴音
 横田真悠、三浦獠太、坂口涼太郎/皆川猿時、西田尚美、尾美としのり
配給:ギャガ
©2024「言えない秘密」製作委員会