『朽ちないサクラ』の完成披露上映会が6月3日(月)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、杉咲花、萩原利久、豊原功補、安田顕、原廣利監督、原作者の柚月裕子が登壇した。

本作は柚月裕子の「サクラ」シリーズのはじまりとなる「朽ちないサクラ」が原作で、主人公は県警の広報職員という、本来は捜査する立場にないヒロインが、親友の変死事件の謎を独自に調査し、事件の真相と、次第に浮かび上がる“公安警察“の存在に迫っていく異色の警察小説。主人公の県警・広報職員26歳の森口泉を演じるのは若手随一の演技派として絶大な信頼を集める杉咲花。単独主演作となる本作では、“事務職のお嬢ちゃん”が自責と葛藤を繰り返しながら、強さを手に入れていく姿を繊細な演技で体現する。メガホンをとるのは原廣利。

多くの観客が集まった客席の間の通路を通て登壇した杉咲は「うれしいです。1年以上前に撮影していたので懐かしさも感じているんですけどようやくお届けできることが楽しみです」と喜んだ。本作の撮影では、“桜にこだわった”ということで「蒲郡でロケをさせていただいた」といい、杉咲は「人生で見た中で一番美しい桜だったと感じていて。あの迫力がそのまま画に映し出されているように感じた」と感慨深げな様子を見せた。

本作が2度目の共演という杉咲と萩原。前回の共演時には話すことが少なかったという萩原は「2度目なのにはじめましてみたいな、不思議な空間があった」と明かし、「またご一緒したいと思っていた方なので、すごくうれしかったです。今回は合間の時間もお話をさせてもらっていたんですけど、僕結構おしゃべりなので、終わった後急にめちゃくちゃひとりでしゃべってた気がしてきちゃって。うるさいやつだと思われていたらどうしようと終わってからある日突然思いました」と明かした。

これには「全然そんなことなかったです」と話す杉咲は「軽やかに現場にいらっしゃって」と萩原の印象を語り、「(萩原が演じる磯川は)生きることと密接な根源みたいなものを教えてくれる存在だと感じていて。ふわーっと舞い込んできてくれる利久くんが演じていたからこそ、肩の力が抜けていく感覚があって、いてくださる日は救われていました」と振り返ると、萩原は「ホッとしました」と安堵の表情を浮かべた。

自身が演じた役の魅力を聞かれると「『あぶ刑事』に負けない刑事魂」と答え、笑いを誘った。その『帰ってきた あぶない刑事』で映画監督デビューした原監督だが、本作については「骨太なサスペンスミステリー」といい、「両方とも100%の力を出させていただいて撮らせていただいたんですけど。警察モノですけど両方エンターテインメント性を持って作らせていただいています」と語った。

また、杉咲について「普段は奥ゆかしさを持っていらっしゃる方だと思って。お芝居に対してはは明瞭な答えを瞳の奥に感じる方」と称賛する安田だが、杉咲は「気さくにお茶目にいてくださる安田さんに心が軽くなる気持ちでした」と振り返りつつ「どれだけ撮影で回数を重ねても、同じ熱量でご自身が映っていなくても目の前にいてくださるので本当に助けていただいたと感じています」と語った。

また、原作者の柚月は「素晴らしかったです。映画はこういう素晴らしさがあるんだなと感じさせていただきました」と称賛し、「文章の魅力もありますけど映像ならではの魅力。演技、音楽、そして今回の作品では桜の美しさ。大きなスクリーンでないと味わえない感動、そしておもしろさだと、改めて映画は素晴らしいなと感させてくれる映画でした」と語った。

本作のキャッチコピーである“わたしを信じて”にちなんで“わたしのここを信じて”という部分を聞かれると、杉咲は「10分前到着です。普通ですか?(笑)10分前行動を心掛けてる」と笑った。萩原は「一回好きになったものは割とずっと好きでい続ける気がするので趣味ですかね。バスケットボールのNBAを見るのが好きで、ウォリアーズを応援するのは裏切らないです」と語った。

最後に杉咲は「捜査権限を持たない女性が考案の闇に立ち向かっていく壮大なテーマの中に人の静かな心の機微が映し出された映画になっていると感じています」といい、「自分なりの方法で責任を取ろうとする姿を見つめているときに、自分は他社とどう付き合っていきたいんだろうと問われているような気持にもなったりして、そんなふうに考える2時間があってもいいんじゃないかと思っています。みなさんがどんな風に感じてくださるか楽しみです」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

『朽ちないサクラ』は2024年6月21日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開
監督:原廣利
出演:杉咲花
萩原利久、森田想、坂東巳之助
駿河太郎、遠藤雄弥、和田聰宏、藤田朋子
豊原功補
安田顕
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会