宮本亞門が地元の人々の声を聞き、言葉に触れ、復興の想いを募らせることで生まれたショートフィルム『生きがい IKIGAI』で信三(鹿賀丈史)の固く閉ざされた心をほどいてゆくボランティアの青年を演じた小林虎之介の場面写真が解禁された。

甚大な被害を生じた地震から8カ月後、豪雨という再びの災害に見舞われた能登。能登半島地震の震源域に近く地震で大きな被害があった奥能登地域を襲った2度目の災害―。ミュージカル、ストレートプレイ、オペラ、歌舞伎などジャンルを越える演出家として国内外で幅広い作品を手がける宮本亞門は、能登でのボランティア活動に参加、想像を超える被害と復興の遅れを目の当たりにした。宮本が地元の人々の声を聞き、言葉に触れ、復興の想いを募らせることで生まれた本作。撮影のメイキングをきっかけに訪れた能登で、人々の声を収めるうちにドキュメンタリー作品として生まれた『能登の声 The Voice of NOTO』(監督・編集:⼿塚旬⼦)を併映とし、北陸能登復興支援映画『生きがい/能登の声』として公開される。

土砂災害の被災現場で、崩壊した家の下から救出された主人公・元教師で「黒鬼」と呼ばれる信三(鹿賀丈史)。心配する周囲の声も聞こうとせず、助け出された泥だらけの姿で信三はその場から去ってしまう―。避難所に馴染めず倒壊した自宅の一角で暮らす信三の元に訪れたボランティアの青年役を、話題のドラマに立て続けに出演し、若手俳優界で躍進する小林虎之介が熱演している。

小林は、TBS系ドラマ『下剋上球児』(23)で甲子園を目指す熱くひたむきな球児・日沖壮磨役を演じその存在を見出され、続々と話題作に出演。先の読めない展開に毎話考察祭りとなり、話題沸騰の中先日最終回を迎えた日本テレビ系ドラマ『恋は闇』では、岸井ゆきの演じる主人公・万琴の後輩のテレビディレクター、“きのぴー”こと木下晴道役で真っ直ぐだが飄々としている魅力的なキャラクターを好演し注目を集めている。今作で小林演じるボランティアの青年は、信三に最初はあしらわれるものの、倒壊した自宅の整理をしながら信三と向き合っていく。妻を亡くし心を閉ざした信三だったが、青年もまた、大切な人を失った過去を持つのであった―。

今回解禁された場面写真では、ボランティアに励む青年が信三に向き合い、笑顔を見せる姿や、本作で信三と青年が心を通わす上で重要なキーとなる湯呑みを持つ姿も。小林は「初めて宮本亞門さんとお会いした時、『能登の為に、少しでも力になりたい』と仰っていた事を今でも覚えています。先頭に立って下さる方が常にその意思を持っていたので、同じ気持ちで作品作りに関わらさせて頂きました」と能登への気持ちを込めての作品作りを振り返る。信三の閉ざされた心をほどいてゆくという重要な役どころについて、「この青年がなぜボランティアをする為に能登にやってきたのか。物語の中では描かれていないその背景をしっかり持ちつつ、あの場所で青年が感じた事をそのまま表現すれば、自ずと信三の心に寄り添えるのかなと思いました」とキャラクターの背景を掘り下げつつ、ナチュラルに挑んだという。

さらに、信三役の鹿賀丈史との共演について「信三としているのか鹿賀さんとしているのか、分からなくなるくらい、現場に雰囲気を残して下さっていたので、余計な事を考えること無くお芝居が出来ました。寡黙だけど、時にクスッと笑える事を言い、芝居になると背中で引っ張るその姿がとてもかっこ良かったです」と鹿賀へのリスペクトを覗かせた。心を閉ざした信三にもう一度、生きることに目を向けさせたきっかけは何だったのか…。

『生きがい IKIGAI』は6月20日(金)より石川県で先行公開、7月11日(金)よりシネスイッチ銀座ほかで順次公開
脚本・監督・企画:宮本亞門
出演:鹿賀丈史、根岸季衣、小林虎之介、津田寛治/常盤貴子
配給:スールキートス 配給協力:フリック
© 「生きがい/能登の声」フィルムパートナーズ