『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』イベント

アントニ・ガウディ世紀のプロジェクトにまつわるドキュメンタリー映画『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』(12月12日公開)の公開に先駆けて、26日(木)に都内でトークイベントが行われ、建築家の岡啓輔氏と写真家の佐藤健寿氏が出席した。

アントニ・ガウディによるプロジェクト「サグラダ・ファミリア」の実態に肉迫するドキュメンタリー映画である本作。ホームセンターの資材のみで家を建てるという究極のセルフビルド建築「蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)」を2005年に着工し、今なお創り続けている岡氏。バラエティー番組「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系)で取り上げられたことから、”三田のガウディ”と呼ばれていることに対して、「おこがましい」と苦笑いしながら、「僕みたいな人間にとっては、ガウディはとんでもない存在。『爪の垢、煎じさせてください』っていうくらいすごい人」と謙遜した。

港区三田に建築中の「蟻鱒鳶ル」は、この日が着工から10周年という記念日。岡氏は、「これを立てる前に一度ガウディを見ておこうって思ってスペインへ行く話しが持ち上がったんですが、間際になってやっぱり見られないなと。たぶん見たら何も手がつかなくなるような気がして」と振り返った。本作で初めて「サグラダ・ファミリア」を目の当たりにした岡氏は、「ガウディは2代目として建築を受け継いで、そして亡くなって、内戦が始まると図面や模型も紛失し、その時点でほとんど次の人たちにパスされている。だからこの建物はガウディの作品ではなくて、たくさんの人が命を注いでできているんですね」と感銘を受けている様子だった。

一方、『奇界遺産』が写真集としては異例のベストセラーとなり、同書で世界の様々な代わった形の建物をカメラに収めている佐藤氏は、「実際に『サグラダ・ファミリア』を見てみると、『廃墟』に似ているなと思いましたね。未完の状態というよりも、一度出来上がっていたものが壊れてしまって、それをみんなで修復しているような感じを受けた」と独特の視点でコメントした。

最後に岡氏は「妻の思いもありますし、このビルの完成を楽しみにしている祖父のことを考えると、とにかく急ぎたい」と複雑な胸中を語った。

『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』

映画『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』は12月12日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国で公開!

監督:ステファン・ハウプト 
配給:アップリンク

© Fontana Film GmbH, 2012