人気漫画家・福満しげゆきの代表作を実写映画化した『ヒーローマニア-生活-』の公開を翌日に控えた6日（金）に大阪・あべのキューズモールで公開直前イベントが行われ、東出昌大と豊島圭介監督が登壇した。

人気漫画家・福満しげゆきの代表作「生活【完全版】」を、『ソフトボーイ』や『森山中教習所』などで独特の世界観を構築し幅広いファンを獲得している豊島圭介監督が実写映画化した本作。ダメダメなフリーター・中津を東出昌大、運動神経抜群のニート・土志田を窪田正孝、情報収集力抜群の女子高生・カオリを小松菜奈、若者殴り魔の異名を持つサラリーマン・日下を片岡鶴太郎が演じ、人生初のホームレス役として船越英一郎、町を徘徊する謎のおばさん役として南海キャンディーズの山﨑静代が出演している。

今回、あべのハルカスのふもとにあるあべのキューズモールで行われた、公開前日のトークショーに出席したのは劇中でダメダメなフリーターを演じる東出と豊島監督。会場には約2,000人のファンが詰めかけ、熱気あふれるイベントとなった。

東出と豊島監督が登場すると、待ちかねたファンからの歓声が起こり、東出が「今日雨降ってるけど、大丈夫ですか？」と声をかけると歓声はさらに大きくなった。豊島監督は、「まるでアイドルイベントみたい」と驚き、東出も「踊っちゃいますか（笑）」と応え、場内は笑いに包まれた。

劇中で東出はダメダメなヘタレフリーターを演じるが、普段の二人のヘタレなところを聞かれ、豊島監督は「映画を観に行ったときに、目の前に座る中学生が携帯をいじり始めたから、がんばって注意したんだけど、待ち伏せされておやじ狩りみたいなことされたらどうしようと思って映画に集中できなくなってしまいました」と最近あったエピソードを披露すると、東出は「休日の前に、明日はせっかくの休みだからちゃんと朝からいろいろしようと思っても昼過ぎまで寝ちゃうんです。計画性がないんです･･･」と明かした。さらに「大学生だった頃は授業に出ないで遊びに行ってて、悪いことしてるという罪悪感は感じてても、変えられない時期がありました。そういう面では中津に共感できる部分もありました」と自身が演じるキャラクターとの共通点を語った。

豊島監督は撮影現場での東出について「主演と言うこともあって現場ではすごく“座長感”があった。自分の出番以外でも、いつも現場にいて撮影を見ていました。まったくヘタレではなかったです」と振り返った。東出は「映画でもドラマでも、重い作品の現場では重い空気にもなるが、ヒーローマニアの現場はコメディを撮っているということもあって、撮ってるカメラマンさんはニヤニヤしていて、モニターを観ている監督もニヤニヤしていて、役者も監督にニヤニヤしてもらおうと思って演じていたのでとても幸せな1ヶ月でした」と現場での様子を語った。さらに「窪田くんや小松菜奈ちゃんとか、みんな代わりばんこに自分でコンビニにアイスを買いに行って差し入れしたりとか、和気あいあいとした、なかなか珍しい現場でした」とチームワークもよかった様子で、「その空気が作品にも生きていると思います」と作品をアピールした。

東出は「（本作を）ご覧になった方いますか？」と聞くと、一人だけ先日行われた“完成ヒーロー試写会”に訪れたファンが手を挙げ、「どうでしたか？」とマイクを差し出して直接質問。突然の出来事に歓声が起こる中、そのファンが「たのしかった！」と答えると、「観た後に楽しかったって言ってもらえて、そこには自信があります。なんか･･･すごい変な映画ですよね（笑）」と笑いながらコメントした。東出について豊島監督は「前に一緒に仕事した時から、普段はどこか天然な感じがあって、そんな一面をいつか映画で撮影したいなと思っていて、この役をオファーしたんです」と主演への抜擢の理由を明かした。

本作ではアクションシーンが魅力の一つだが、東出は「監督から情けない走り方をしてほしいと言われ、情けない走りを練習しました」と話すと、監督からのフリで、「恥ずかしい！」と言いながらも、ステージ上で“情けない走り”を披露して、場内からは大爆笑が起こった。豊島監督は「走るシーンで、急にゆっくり走り出して、最初意味がわからなくて『今の何？』って聞いたら、監督がやれって言ったじゃんって。お願いしたのに忘れてました。初めに見たときは『東出くんがおかしくなった』と思いましたね（笑）」と楽しげに振り返った。

さらに、本作のタイトルにかけて、関西のご当地ヒーロー4人、大阪の「地球戦士ゼロス」、大阪泉佐野市の「イヌナキン」、京都の「フドウリキ」、滋賀の「忍ジャガー」が応援に訪れた。好みのキャラを聞かれた東出は「顔がかわいいから忍ジャガー」、豊島監督は「イヌナキンにしようと思ったけど、アピールがすごくて嫌なので、かっこいいゼロスで（笑）」と答えた。最後に東出は「この作品は、本当に明るい気持ちになれる映画だと思っています。笑いの聖地・大阪の人の前でコメディと言うのも怖いですが、映画館でゲラゲラ笑っていい気持ちになって帰って下さい」とメッセージを贈った。