『ハイ・ライズ』SC0725

トム・ヒドルストン主演『ハイ・ライズ』の原作本が発売から10日で重版が決定した。

トロント国際映画祭への正式出品や、英国インディペンデント映画賞男優賞、脚本賞ほかノミネートなど各国で話題の本作。『マイティ・ソー』『アベンジャーズ』シリーズのロキ役で人気の俳優トム・ヒドルストンや、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』のジェレミー・アイアンズなど英国が誇る豪華キャストが集結。舞台となる40階建ての新築タワーマンション(=ハイ・ライズ)はラグジュアリーな内装や抜群の眺望、さらにあらゆる設備が整った夢を具現化したような理想の住居空間。上階に行くにつれ住民が富裕層になっていくハイ・ライズで巻き起こる、皮肉な現代社会のヒエラルキーの崩壊。パーティ三昧の贅沢な毎日を過ごしていたセレブたちが堕落し、崩壊していく様子をミステリアスかつアーティスティックな映像美で描く。監督はイギリス内外で評価を高めているベン・ウィートリーが務める。

今回、映画の公開に合わせて復刻発売された原作本(創元SF文庫刊)が、7月11日の発売からわずか10日で早くも重版が決定した。J・G・バラードが1975年に発表した「ハイ・ライズ」は、鬼才デヴィッド・クローネンバーグが映画化した『クラッシュ』(1996)、「コンクリート・アイランド」と並んで“テクノロジー三部作”とされる一篇。原作本は、本来J・G・バラード世代とは言いがたい10~20代の男女から特に支持が寄せられている。東京創元社の小浜徹也氏は、その魅力を「バラードはいつも“早すぎる”作家で、いずれは誰にとっても自明となるような世界を文芸として明示してきたのだと思います。『ハイ・ライズ』は1975年の作品ですが、今から20年後、30年後に読んでも、常に現代的でありつづけるでしょう」と分析している。映画版では“映像化不可能”と言われた原作をほぼ忠実に再現しており、原作ファンからの評価も高い本作。

また、J・G・バラードがその生涯に残した全短編を執筆順に収録していく「J・G・バラード短編全集」(全5巻)も東京創元社より8月から刊行されることが決まっており、この夏は『ハイ・ライズ』をきっかけにバラード旋風が巻き起こる予感。なお、「ハイ・ライズ」の原作本に「ラングの特製リバーシブルしおり」が付属するのは初版分のみなので購入を検討している方はお早目に。

「ハイ・ライズ」原作小説帯付

『ハイ・ライズ』

『ハイ・ライズ』 (1)

『ハイ・ライズ』 (2)

『ハイ・ライズ』ポスタービジュアル

映画『ハイ・ライズ』は2016年8月6日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開!

監督:ベン・ウィートリー
出演:トム・ヒドルストン、ルーク・エヴァンス、ジェレミー・アイアンズ、シエナ・ミラー、エリザベス・モス、ステイシー・マーティン
配給:トランスフォーマー
2015年/イギリス/119分

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