後藤太郎、ブラッド・シフ、ブラッド・ヴァルド

第30東京国際映画祭「特別招待作品」部門上映作品『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』のQ&Aイベントが10月29日(日)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、スタジオライカのブラッド・シフとブラッド・ヴァルド、後藤太郎が登壇した。

日本公開前の最新作をプレミア上映する「特別招待作品」部門。『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は、三味線の音色で折り紙を操る少年クボが、待ち受ける運命を知らずに、母を亡くした仇討の旅に出る物語。『コララインとボタンの魔女』のスタジオライカが日本を舞台に描く、圧巻のストップモーション絵巻。

今回のQ&Aには、スタジオライカでアニメーションスーパーバイザーを務めるブラッド・シフ、同スタジオでCFOを務めるブラッド・ヴァルド、本作のプロダクション・コンサルタントを務める後藤太郎が登壇した。アカデミー賞で2部門のノミネートされるなど、世界中で話題を呼んだ本作。CFOのブラッド・ヴァルドは「世界中でこの作品をお届けした後で、クボの母国である日本でシェアできることが夢のようです」と笑顔で挨拶。またブラッド・シフは「スタッフ全員から日本へのラブレター」と本作を表現した。

CGアニメーションが主流である現在の映画界において、本作はストップモーションで作られているが、そのこだわりについてブラッド・ヴァルドは「本物の空間で、本物の物体に、本物の照明が当てられる。それに比べられるものはない」とその魅力について語り、ブラッド・シフは、実際に撮影で使われたクボを取り出し「ワイヤーやフォイルでポージングを維持できます」と動かして、見終わったばかりの観客からは大きな歓声が沸き起こった。また、顔などの部品がマグネットでついていることを、実際につけたり外したりすることで見せ、観客は興味津々にその様子を見つめた。さらにシフは「僕たちは彼らのことを“小さなヴァンパイア”と呼んでいます。それは、動かしているアニメーターの命を吸い尽くして動かされているから」と話し、笑いを誘った。

本作で、日本についてのコンサルタントを務めた後藤は「日本の職人意識がアメリカでも継承されている」と日本の描かれたかを大絶賛。リサーチについては既に後藤が参加する前から「膨大なリサーチ」が行われていたといい「とにかくリアルを追及するために、お盆で踊るシーンや戦いのシーンは専門の振付師や殺陣の先生にお願いをした」というほど徹底した日本の研究が行われている本作。特に木版画については「(版画家の)斎藤清さんの影響が強い」と語る後藤。さらに「斎藤さんの作品のステンシルを建物やセットに使っている」と明かすシフは地面や建物の質感にそれらが影響を与えているといい、「地面にはクルミを砕いたものを使って表現しています」とこだわりを語った。

観客からは「名前がクボなのはなぜ?」という質問には「作品のコンセプトをプレゼンした方の友人の日本人のニックネームから」と回答し、場内からは「オー」と歓声が起きた。

【写真/蔭山勝也、文/編集部】

ブラッド・シフ

ブラッド・シフ、ブラッド・ヴァルド

後藤太郎、ブラッド・シフ、ブラッド・ヴァルド

「第30回東京国際映画祭」は2017年10月25日(水)~11月3日(金・祝)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木ほかで開催!

映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は2017年11月18日(土)より新宿バルト9ほか全国で公開!
監督:トラヴィス・ナイト
声の出演:アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラ、レイフ・ファインズ
配給:ギャガ
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