第30回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが11月3日（金・祝）にEXシアター六本木で行われ、各賞の発表と『不都合な真実2：放置された地球』の舞台挨拶が行われた。

10日間にわたる会期の最終日に行われたクロージングセレモニー。初めに、今年創設された、本映画祭出品作品を対象として宝石の原石（ジェムストーン）の様な輝きを放つ若手俳優を選出する「東京ジェムストーン賞」が発表。石橋静河は「恵まれて幸せ」と笑顔を見せ、ダフネ・ローは「本映画祭には3年前に初めて出演した映画を携えてきた。本当に縁があると思います」と興奮気味にコメント、今回残念ながら出席できなかった松岡茉優とアデリーヌ・デルミーからはビデオメッセージが寄せられた。

コンペティション部門では、大九明子監督の『勝手にふるえてろ』が観客賞を受賞し、大九監督は受賞の瞬間に思わず大きな声をあげ「もらえるとは思わなかった」と感無量の様子。最優秀男優賞を受賞した『迫り来る嵐』のドアン・イーホンは「夢のよう」と、最優秀芸術貢献賞とのW受賞を喜んだ。また、東京ジェムストーン賞と最優秀女優賞のW受賞となった『マリリンヌ』のアデリーヌ・デルミーは、パリで舞台出演中のため東京に来れなかったことを残念に思おうというビデオメッセージが流された。

そして、第27回東京国際映画祭コンペティション部門に出品された『破裂するドリアンの河の記憶』が話題となったエドモンド・ヨウ監督が『アラケット―ロヒンギャの祈り』で最優秀監督賞を受賞。ヨウ監督は喜びのあまりに涙をこぼしながら「世界は平和にならなければいけないんだと感じています」と訴えかけた。栄えある東京グランプリにはトルコのSF映画『グレイン』が輝いた。製作に5年がかかったという本作にセミフ・カプランオール監督は「ここから世界に向かって広がっていくと信じています」と笑顔で挨拶した。

今回、コンペティション部門国際審査委員長を務めたトミー・リー・ジョーンズは「ここにいる審査員と友情を気付くことができた」と喜びを表し「（審査委員が異なる言語を話すため）ユーモアを維持するのが大変でした」と笑いを誘った。また「私たち映画製作者は、みなさんの時間を無駄にするためではなく、よりよいものにするために生まれました」と挨拶した。

続けてステージにはクロージング作品『不都合な真実2：放置された地球』に出演するアル・ゴア元米副大統領が登壇。ハーバード大学在学中にルームメイトだったというトミー・リー・ジョーンズと熱い抱擁を交わし「旧友であるトミー・リー・ジョーンズに、ここで会えるとは思っていませんでした」と笑顔で挨拶した。続けて、登壇した小池百合子東京都知事が東京との環境対策について語ると、アル・ゴアは「感謝を述べたい」と、環境対策や東京国際映画祭へのサポートへの感謝の気持ちを表した。

■受賞作品一覧

「コンペティション」部門「東京グランプリ／東京都知事賞」
『グレイン』
「コンペティション」部門「審査委員特別賞」
『ナポリ、輝きの陰で』
「コンペティション」部門「最優秀監督賞」
エドモンド・ヨウ監督『アケラット―ロヒンギャの祈り』
「コンペティション」部門「最優秀女優賞」
アデリーヌ・デルミー『マリリンヌ』
「コンペティション」部門「最優秀男優賞」
ドアン・イーホン『迫り来る嵐』
「コンペティション」部門「最優秀芸術貢献賞」
『迫り来る嵐』
「コンペティション」部門「最優秀脚本賞 Presented by WOWOW」
『ペット安楽死請負人』
「コンペティション」部門「観客賞」
『勝手にふるえてろ』

「アジアの未来」部門作品賞
『僕の帰る場所』
「アジアの未来」部門スペシャル・メンション
『老いた野獣』
「アジアの未来」部門国際交流基金アジアセンター特別賞
藤元明緒『僕の帰る場所』

「日本映画スプラッシュ」部門作品賞
『Of Love & Law』

東京ジェムストーン賞
石橋静河／Japan Now『映画 夜空はいつでも最高密度の青空だ』
松岡茉優／コンペティション『勝手にふるえてろ』
ダフネ・ロー／コンペティション『アケラット―ロヒンギャの祈り』
アデリーヌ・デルミー／コンペティション『マリリンヌ』

【取材・写真・文／編集部】