ギレルモ・デル・トロ監督、菊地凛子

『シェイプ・オブ・ウォーター』の記者会見が1月30日(火)に都内で行われ、ギレルモ・デル・トロ監督が登壇した。

先日発表された第90回アカデミー賞では最多13部門にノミネートされ、3月4日[現地時間]の授賞式に期待がかかる本作。かねてより日本の文化を愛し、親日家としても知られるデル・トロ監督が、ノミネート発表直後の今、来日して映画について語られた。

会場を埋め尽くした記者からのフラッシュを浴びながら、「日本は私のハートに一番近い場所」と笑顔で挨拶したデル・トロ監督。ファンタジックな世界観で描かれる1962年を舞台にした本作。舞台設定については「(現代は)愛とか感情をなかなか感じられない困難な時代で、舞台を現代にすると聞いてくれないもの。おとぎ話にしないと語れないと思った」とその理由を語るデル・トロ監督。時代は違えど「現実的には、62年と今は同じような人種差別や性差別がある」と語り、さらに「今日も映画が衰退しているが、62年もテレビが出てきて映画が衰退した時代。映画への愛の気持ちを込めて描いています」と自身の映画愛を表した。

本作では、第90回アカデミー賞においてサリー・ホーキンスが主演女優賞、リチャード・ジェンキンスが助演男優賞、オクタヴィア・スペンサーが助演女優賞にノミネートされるなど、そのキャスティングのすばらしさが高評価を得ているが、キャスティングについてデル・トロ監督は「サリー・ホーキンスはあて書きです。(演じる役は)バスで隣にいるような平凡な女性ですが、輝きがあるマジカルな部分も持っている」と語った。また、「口がきけない役だけど、歌と踊りのナンバーもあり、半魚人に恋をする」と役柄を説明すると「Great!」と返事をしたという。さらに「サリーが彼を本当に愛を込めて見なければこの映画は成立しなかった」と称賛した。

劇中では水中シーンも描かれているが、実はシーンによっては水を使わずに撮影しているといい、「部屋を煙で充満させてから、すべてをワイヤーで釣り、スローモーションで撮る」などその撮影方法を明かすなどサービス精神が豊富な面を見せた。また、劇中では“青”が印象的だが、中でも「(サリー・ホーキンスが演じるイライザの)アパートの色が青で、壁紙は魚のうろこ状。これは北斎が描いた大きな鯉から取っています」と日本への愛を口にした。

本作ではアカデミー賞において最多13部門というノミネートを果たしているが、そのことについて「自分らしさを表現した映画でノミネートされて嬉しい」とコメント。さらに本作について「ラブソングのようなイメージで、シンフォニーを奏でているようにしたかった」と語るデル・トロ監督は「車を運転しているときに良いラブソングがかかり、ボリュームを上げて歌いだすときの気分を感じてほしい」と語った。

会見には、デル・トロ監督作品の『パシフィック・リム』に出演した菊地凛子だ登壇。本作について「究極のラブストーリー。深い愛とは何かを見せてもらった」と大絶賛した菊地。さらに、デル・トロ監督作品への出演について聞かれると「絶対やりたいです!夢見ています」と語った。そんな菊地にデル・トロ監督は菊地凛子さんがいたから『パシフィック・リム』を作った。私にとっては彼女が主人公でした」と笑顔を見せた。

最後にデル・トロ監督は「日本でおせんべえとかお餅を食べたらこのジャケットが閉まらなくなったんです。日本についたときは閉まったんですけど・・・」と笑いを誘いつつ、「(自身の出身地である)メキシコの兄弟を助けるつもりで映画館に行ってください!グラシアス」とメッセージを送った。

その比類なき世界観からヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した本作。1962年のアメリカ、政府の極秘研究所に勤めるイライザは、秘かに運び込まれた不思議な生きものを見る。“彼”の魅惑的な姿に心を奪われたイライザは、周囲の目を盗んで会いに行く。二人の心が通い始めた時、“彼”が間もなく実験の犠牲になると知る─。監督・脚本・製作を手がけたのは、名匠ギレルモ・デル・トロ監督。ヒロインのイライザを演じるのはサリー・ホーキンス。オクタヴィア・スペンサー、リチャード・ジェンキンス、マイケル・シャノンらが共演する。さらにアレクサンドル・デスプラの優美で印象的な音楽が本作を彩る。いつの時代も愛されてきた種族を超えたラブストーリーが誕生した。

【取材・写真・文/編集部】

ギレルモ・デル・トロ監督

ギレルモ・デル・トロ監督

菊地凛子

ギレルモ・デル・トロ監督、菊地凛子

ギレルモ・デル・トロ監督、菊地凛子

映画『シェイプ・オブ・ウォーター』は2018年3月1日(木)より全国で公開!
監督・脚本・プロデューサー:ギレルモ・デル・トロ
出演:サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョーンズ、マイケル・スツールバーグ、オクタヴィア・スペンサー
配給:20世紀フォックス映画
©2017 Twentieth Century Fox