6人の死刑囚と対話するひとりの男の姿を描いた映画『教誨師』が10月6日(土)より公開されることが決定した。

“教誨師(きょうかいし)”とは、受刑者に対して道徳心の育成、心の救済につとめ、彼らが改心できるよう導く人。主人公・佐伯は、死刑囚専門の教誨師である牧師。独房で孤独な生活を送る死刑囚にとって、教誨師はよく理解者で、話し相手。一報の佐伯は彼らに寄り添いながらも、自分の言葉が本当に届いているのか、死刑囚たちが心安らかに死ねるよう導くのは正しいことなのか苦悩し、自らの人生と向き合うことになる―。ほとんどが教誨室での会話劇ながら、息つく間もない約2時間。時にユーモアを交えながら展開される、“死”の側から捉えた強烈な“生”の物語。

本作で、主演とエグゼクティブプロデューサーを務めるのは、先日惜しくも急逝した大杉漣さん。死刑囚専門の教誨師という複雑な人物像を圧倒的な存在感で演じ切り、最初のプロデュース映画にして最後の主演作となった。佐伯が対話する死刑囚役には、光石研、烏丸せつこ、古館寛治といったベテラン俳優や、本作が映画初出演となる劇団“柿食う客”の玉置玲央。監督・脚本は佐向大。

佐向大監督 コメント

いい加減で適当で、できるだけ責任から逃れたい。私はそんな人間です。おそらく死刑囚もそうだと思います。
じゃあ何故私は彼らじゃないのか。罪を犯した者と犯さなかった者はどこが違うのか。なんで死ぬのは嫌なのか。
何故生きたいのか。そもそも死者と生者の境界は何か。ひょっとしたら何も違いはないし、何の理由もないのかもしれません。だったら自分が日頃大切に思っていることや、しがみついているものは一体何なのだろう?
そんなことを私自身もこの作品を通して知りたいと思いました。
3年前、小さな喫茶店で、この企画を一番最初に話したのが大杉さんでした。
「いいね、やろうよ」。その一言をきっかけにこの作品が生まれました。私にとって主演俳優以上の存在だった大杉さんの訃報を前に、全く心の整理がついていません。ただこれだけは言えるのは、人生は限りがある。だからこそ、かけがえのない時間を、かけがえのない仲間とともに、どんなお仕事でも遊びでも手を抜かず、一瞬一瞬を精いっぱい全力でやられていた方だったのではないか。あの優しさ、包容力、エネルギーはそんなところからきていたのではないか。今はそんな気がしています。この作品で大杉漣という役者の凄みを改めて目の当たりにしました。おそらく皆さんも同じ思いを抱くのではないかと思います。

映画『教誨師』は2018年10月6日(土)より有楽町スバル座ほか全国で順次公開!
監督・脚本:佐向大
出演:大杉漣、玉置玲央、烏丸せつこ、五頭岳夫、小川登/古舘寛治・光石研
※古舘寛治の舘は舎に官が正式表記
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
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