ヤニブ・ビトン、サメフ・ゾアビ監督


第31東京国際映画祭「コンペティション」部門上映作品『テルアビブ・オン・ファイア』の記者会見が10月29日(月)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、監督/脚本を務めたサメフ・ゾアビ、ヤニブ・ビトンが登壇した。

世界109の国と地域から応募された1829本の長編映画の中から、厳正な予備審査を経た16本の作品を上映する「コンペティション」部門。本作は、エルサレムに暮らすチャーミングな30歳のパレスチナ人・サラムは、人気メロドラマの制作インターンをするためにイスラエルの検問所を毎日通る。そして検問所の主任であるアッシの妻がドラマの熱烈なファンであることから、サラムとアッシが関わっていくところから始まるユーモアたっぷりのコメディ映画。

今回、監督と脚本を務めたサメフ・ゾアビと、アッシ役のヤニブ・ビトンが登壇した記者会見。すでに26日(金)に一般上映が行われている本作。「東京から遠いのに、僕たちが抱えている問題をわかってもらえるのかなと思っていた」と不安を抱えての来日だったことを明かしたビトンだが、26日の上映を見て「笑ってもらえてうれしかった」と振り返った。また、ゾアビ監督よりも先に来日し、観客とともに鑑賞したビトンは、「監督と会って、初めに『うまくいったよ!』と言いました」と手ごたえを感じたことを明かした。

本作を「コメディですがパーソナルな映画でもあります」と語るゾアビ監督。テルアビブに住むパレスチナ人であるというゾアビ監督は、本作を「アーティストとして、違った視点から描いているつもり」と語った。

また、テルアビブに住むイスラエル人であるというビトンは、本作の客オーディションを受ける際に脚本の一部を読み「まず驚いたのはコメディだということ」と明かし、「パレスチナとイスラエルの問題を本格的なコメディとして描いた映画はないと思い、興味を持ちました」と語った。ビトンはさらに「今回の映画に出て、東京に1週間滞在できるのはミラクルのようなもの」と笑顔を見せた。

劇中では、フムスというペースト状の食べ物が頻繁に登場するが、フムスについて「とても政治的な意味を込められっています」と語るゾアビ監督。続けて「そもそもパレスチナ人の食べ物です。イスラエル人が土地を占拠したときに文化を取り入れ、今ではあたかも自分たちの食べ物のように扱っています」と説明。

また、ゾアビ監督は「なぜかイスラエル人はフムスが大好きなんです。僕も作りますが、多くは家で作るものです。ヤニブ(・ビトン)は『おいしいフムスのレストランがあるんだよ!』って言うんだけど、なんでわざわざ食べに行かなきゃいけないのか」と語り、会場は笑いに包まれた。

一方でビトンは「イスラエル人は美食家を装うのが好き。フムスはフムスだけで食べるものなのに、イスラエル人は卵を入れたり、僕はレモンをかける」と返し、さらに笑いが起きた。

本作はイスラエルとパレスチナの問題をユーモアたっぷりに描いているが、そんな本作はイスラエルでは来年3月に公開される予定とのことで、ゾアビ監督は「作ったからにはいろんなところで公開してほしい。ぜひ日本で公開されることを願っています。世界中の観客に観ていただいて、ある意味深刻な状況を、ちょっと違った視点で観ていただき、そして理解を深めていただければと思っています」と語った。

『テルアビブ・オン・ファイア』
©Samsa Film – TS Productions – Lama Films – Artémis Productions

「第31回東京国際映画祭」は2018年10月25日(木)~11月3日(土・祝)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷 ステップ広場ほかで開催!