綾戸智恵、トム・ヴォルフ監督


『私は、マリア・カラス』のトークイベントが11月15日(木)に都内で行われ、来日中のトム・ヴォルフ監督とジャズシンガーの綾戸智恵が登壇した。

今回行われたイベントには、本作でメガホンをとったトム・ヴォルフ監督に加え、本作を一足早く観賞し、マリア・カラスに魅了されたというジャズシンガーの綾戸智恵が登壇した。盛大な拍手で迎えられて登場したヴォルフ監督は「14年前に初めて日本に来て、富士山に登って以来ずっと日本のファンなんです。この映画をつくるプロセスは富士登山と非常に似ていて、忍耐も力も必要だけでなく、意志の強さも大切でした」と挨拶。続けて、このタイミングでマリア・カラスのドキュメンタリーという“大きな山”に登ろうと思ったのかについて「この山は誰も今まで登ったことがないから」と即答するヴォルフ監督。「最初から最後までカラスが自分自身の言葉で自分について語った映像は今までなかったんです。それが全く新しいアプローチであることに私が大変興味を持ちました」と思いを明かした。

本編の50%以上が初解禁の素材で構成されている本作だが、その膨大な素材の集め方については「最初の3年間はリサーチに時間を費やした」といい、その結果「探し出した素材の多くは未公開で、中には失われたと思われていたり、個人が所有しているものがほとんどでした。幸運にも彼女の友人にもお会いできて、貴重な手紙やホームビデオを入手する事ができたんです」と振り返った。また「マリア・カラスの最後の公演は日本で行われたので、彼女にとって日本は特別な位置を占めているんです。44年経ってこの映画を日本のファンに紹介するということは非常に大きな意味があると思います」と語った。

続けて、特別ゲストとして登場したジャズシンガーの綾戸智恵は本作について「(カラスと自分は)音楽というのが共通点だと思う。なぜ、こんな歌なのかというのは、その人の人生をみればわかる。歌い方ではなく、歌詞でもなく、憂いや女性の性を彼女が歌うことによって、作品が彼女の歌になる。私もジャズの名曲を自分の歌として人生を重ねて歌えば、亡くなってからも愛される存在になるんかなと思いました」とユーモアたっぷりに作品の魅力を話した。

また「マリアとして生きるには、カラスの名が重すぎるの」というセリフが印象的な本作だが、歌い手でありながら、常に人の目に晒され、生き方までキャリアに影響したカラスについて、同じ歌い手である綾戸は「(彼女の歌を)聴いてる私たちは、スキャンダルなどあった彼女の歌、その中でもがき苦しんだ女性の儚さが聴こえる。この人生だったから、この歌があると納得してほしいし、これだけ誰しも歌えるとはちゃいまっせと言いたいですね。それが彼女からのギフトであり、この人の道。だからこそ、没後40年経ってもマリア・カラスは皆さんに聴いていただけると思う」と綾戸節全開で、深く共感する気持ちを明かした。

最後にヴォルフ監督は「綾戸さんにこの映画とマリア・カラスの事を理解していただけてとても嬉しいです。私よりも彼女について語れると思いました(笑)」とイベントを締めた。

音楽史に永遠に輝く才能と絶賛されたオペラ歌手、マリア・カラス—。いちど聴けば忘れられない世界にひとつの歌声と、高度なテクニックを自在に操る歌唱力、役柄とひとつになる女優魂、さらにエキゾティックな美貌と圧倒的なカリスマ性で、聴衆をとりこにした不世出のディーヴァだ。没後40年にして初めて紐解かれる彼女の人生を綴った本作。トム・ヴォルフ監督は3年に渡る〈真のマリア・カラスを探す旅〉で、彼女の未完の自叙伝やこれまで封印されてきたプライベートな手紙、秘蔵映像や音源を入手。モノクロでしか見られなかった映像も写真を基にカラー化し、世紀の歌姫が鮮やかに蘇る。

映画『私は、マリア・カラス』は2018年12月21日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国で順次公開!
監督:トム・ヴォルフ
配給:ギャガ
© 2017 – Eléphant Doc – Petit Dragon – Unbeldi Productions – France 3 Cinéma