戦いの果てに 兵士は何を得たのか―『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』の予告編が解禁された。

フィンランドと旧ソ連の間で1941年から1944年まで繰り広げられた「継続戦争」。本作は、両国の国境線に位置するカレリア地方の領有をめぐり繰り広げられた戦いを、迫真の映像で兵士たちの目線から良質かつ精巧に描いた。本国フィンランドでは、並み居るハリウッド大作を押さえ7週連続興行成績第一位を記録し、フィンランド映画史上最高の興行収入を記録。75年の歴史を持つヨーロッパでも最も歴史ある映画賞の一つであるジュシ・アワードでは主演男優賞、観客賞など5部門を獲得した。

今回解禁された予告編では、森林地帯や大河、そして雪原と豊かな自然環境を有するフィンランドの特性を生かしたカットが捉えられている。2016年の6月から80日間にわたってフィンランド各地で行われた撮影では、フィンランド国防軍が全面協力。エキストラの数は延べ14,000人以上を動員し、極北の地での戦闘を限りなくリアルに再現している。特筆すべきは「ワンシーンに用いられた最大の火薬量」がギネス記録に認定されたこと。70.54KgのTNT火薬がワンテイクのためだけに使用された。これは爆発地から100メートル離れた地点でも家屋倒壊の危険がある爆風圧を生じさせる火薬量だ。

一方で戦争の犠牲となるのは兵士だけではない。予告編では、身重の妻と家族を残して最前線に駆り出されるベテラン兵士や、結婚式を挙げてすぐに戦場に旅立つ若き兵士の姿が映し出される。101年前に独立を果たしたフィンランドは、その20年後に旧ソ連に対して、国民的叙事詩である「カレワラ」やシベリウスの交響詩「フィンランディア」の原点となったカレリア地方の奪還のために戦端を開く。第二次ソ連・フィンランド戦争である「継続戦争」は、当時400万人の総人口の内50万人が従軍した。本作は国民的作家のヴァイノ・リンナによる古典小説「無名戦士」の3度目の映画化だが、独立記念日には旧作が毎年必ずTV放映され、当時の兵士たちの戦いが現在の平和の礎となっていることをフィンランドの全国民が再認識するきっかけとなっている。

予告編

ストーリー

1941年、前年にソ連との“冬戦争”に破れ、領土の一部を失ったフィンランドはソ連から領土を取り戻すためにソ連に進攻、“継続戦争”が勃発する。この戦争でフィンランドは400万の人口に対して50万の軍隊を組織、強大なソ連軍に歩兵中心の戦いを挑む。そんな中、それぞれ異なった背景を持つ4人の兵士たちは最前線で苛烈な戦闘に身を投じる。たとえ戦場で息絶えたとしても戦士たちの生きた証はそれぞれの家族に、そして大地に確実に刻まれていく…。

映画『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』は2019年6月22日(土)より新宿武蔵野館ほか全国で順次公開!
監督・脚本:アク・ロウヒミエス
出演:エーロ・アホ、ヨハンネス・ホロパイネン、アク・ヒルヴィニスミ、ハンネス・スオミ
配給:彩プロ
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