観る者を翻弄する≪脳≫コントロール・スリラー『ジョナサン-ふたつの顔の男-』で監督を務める新鋭監督ビル・オリバーに注目が集まる。

ひとつの身体にふたつの人格をもち、その人格を、脳に埋め込まれたタイマーにより、12時間で切り替わるよう設定している「僕」=ジョナサンの視点を通してスリリングに展開していき、やがて観る者を翻弄する≪脳≫コントロール・スリラーである本作。主演は『ベイビー・ドライバー』のアンセル・エルゴート。2018年のトライベッカ映画祭で上映され、その知的で刺激的なストーリーとエルゴートの高い演技力に絶賛の声が相次いだ。

スリラーでありながら普遍的な人間ドラマも随所に描く本作は、“ジョナサン”と“ジョン”というふたつの顔を持つ一人の青年のように、何気ない日常のどこかに2面性を想起させる事柄が随所に隠されている。脚本が気に入り本作の出演を決めたというアンセル・エルゴートは、「ジョナサンとジョンの2役を演じるのはとても刺激的でした。この仕事を受けてよかったと思いましたし、私たちの仕事に誇りを持ちました」と明かしており、今回初の長編映画に取り組んだオリバー監督との仕事は満足がいく結果となったよう。そんなビル監督が仕掛ける様々な表現手法に、思わず翻弄されてしまうこと間違いなしの本作だが、果たして、本作が初長編映画デビューとなったビル・オリバー監督はどんな作品に影響を受けてきたのだろうか。

①ヒッチコック、スタンリー・キューブリックの大ファン

「ヒッチコックの大ファンなんだ。だから、心理サスペンスという意味では今回参考にしたといえるし、スタンリー・キューブリックも大好きなんだけど、ビジュアル的な面では影響を受けているもといえるね。特にこの映画に関していえば、イングマール・ベルイマン監督の作品とかは、整然とした、ある種シュールな空間で繰り広げられるという意味で、影響を受けているよ」

②映画通なら知っている?!名作『オプー三部作』

「日本では未公開かもしれないけれど、サタジット・レイというインド人の監督の『オプー三部作』(『大地のうた』(55)、『大河のうた』(56)、『大樹のうた』(59))という青年を主人公にした3部作があるんだけど、それが人生で一番好きな映画だね。その作品は、一人の青年の成長を追う物語なんだけど、何事もないような本当に普通の日常の中でそういったことが繊細に描かれている素晴らしい映画なんだ」

③小津安二郎と村上春樹も好き

「日本だと小津安二郎さんと村上春樹さんの作品に影響を受けているかな。ジョナサンは、彼らのような感性を持ち合わせているんじゃないかなと思うよ」

ビル監督は「この作品は一見風変りな設定のありそうもないアイデアだとは思うけど、その根底には普遍的なテーマがあって、誰もが共感してもらえるものだと思っている。ジョナサンとジョンという2人のキャラクターが辿る数奇な運命に心を動かされる部分があるかもしれないし、自分の生き方や考え方に想いを馳せてもらえるような映画になっていたらいいなと思うよ。あと日本のレストラン『ジョナサン』のことは知っているよ(笑)」とメッセージを寄せている。

コントロールの効かない展開が観るものを翻弄する、≪脳≫コントロール・スリラーを劇場で体感しよう。

ストーリー

毎日ルーティーンの生活を送る、内向的なジョナサン。彼は自分の身体にもうひとりの人格をもっていた。自分とは正反対の性格の青年ジョンだ。脳にタイマーを埋め込み、<午前7時と午後7時>に毎日12時間で切り替われるよう設定していた2人は、ビデオテープにメッセージを残すことで、知らない時間に起こった出来事について共有しあっていた。全てが完璧のはずだった。彼女と出会うまでは―。

映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』は2019年6月21日(金)より新宿シネマカリテほか全国で公開!
監督:ビル・オリバー
出演:アンセル・エルゴート、スーキー・ウォーターハウス、マット・ボマー、パトリシア・クラークソン
配給:プレシディオ
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