『窮鼠はチーズの夢を見る』の大ヒット記念舞台挨拶が10月6日(火)にユナイテッド・シネマ豊洲で行われ、成田凌、行定勲監督が登壇した。

今ヶ瀬渉役を演じた成田凌は、療養中でイベントに参加できなかった大倉忠義のぬいぐるみを大事そうに抱え、関ジャニ∞として活躍する大倉のイメージカラーである緑のスニーカーを履いて入場。「こんにちは、成田凌です。と、大倉忠義です」とぬいぐるみをアピールし笑顔で挨拶。行定監督も「舞台挨拶の直前まで裏で、2人で大倉のぬいぐるみを愛でてました」と明かし、和やかな雰囲気でのイベントとなった。

インタビューでは恭一と今ヶ瀬は大倉、成田の2人でなければ成立しえなかったと語っている行定監督だが、特にどのシーンでそう思ったかと尋ねられると「終始ですよね。大倉のツンデレぶりがあるでしょ。冷たさとやさしさのあの塩梅と空気があったから今ヶ瀬が懐に入っていく感じが出せたと思うんですよね。彼の持ってるアンニュイな感じに、翻弄していたはずの今ヶ瀬がいつの間にか翻弄されてしまうというひとつのトーンになっていて、それがこの2人にうまく合ったんじゃないかと」と語り、成田も「今ヶ瀬は翻弄しているようで実は翻弄されている側なので、自分からガンガン攻めておいて、いざリアクションがあると『えっ!?』となってしまう謎の矛盾は演じていて楽しかったです」と撮影を振り返った。

公開からSNSを中心に続々と上がっている感想を見ると、今ヶ瀬に感情移入しているという観客が多く、それについて成田は「今ヶ瀬は心が強いですからね。当たって砕けないというか、当たったままというか。そう簡単には出来ることではないし、自分で演じていて今ヶ瀬のようにはなれないな、と羨ましさもありましたね」と、自身の役どころについて語った。

また、2人の温度や湿度といったものがスクリーンを通してリアルに伝わってくるような演出法について行定監督は、計算していたものではないとしつつも「色味は、ブルー寄りな寒色を意識しました。そうすることで逆に体温を感じられてきましたね。肌の色を出せるようなフィルターを入れて撮っていて、それがすごく功を奏しました。美しいだけじゃなく、人間くささというか、人の体温を感じられる映像になったかなと思います」とこだわりを明かした。

イベントでは、新型コロナウイルスの影響で8月18日からの開催が中止となっていた香港国際映画祭において、新たに10月末~11月の間で実施される上映企画のクロージング作品として選出されたこと、また台湾と韓国での上映が決定したことが発表。台湾や韓国に友人が多いという行定監督は「“公開しないんですか?”とずっと聞かれていたので、すごい喜ぶと思います」とコメント。

最後に、成田は「みなさん個々に感想があると思います。SNSもいいですが、大切な人に直接“面白かったよ!”とか感想を伝えていただけたらと思います」、行定監督は「いま映画はどんどん新しい作品に入れ替わっていって<ロングラン>というのが難しい時代ですが、久々に自分の作品で実感して嬉しく思っています」と大ヒットを噛みしめるとともに「今日はすみません、行きたかったです。もうちょっと落ち着いたら面白いこと何かやりたいですね」と今回登壇できなかった大倉から届いたという言葉を紹介した。

原作は、人を好きになることの喜びや痛みをどこまでも純粋に描き、圧倒的な共感を呼ぶ心理描写から、多くの女性から支持を得た水城せとなの傑作コミック「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」。主人公・大伴恭一を大倉忠義、恭一への想いを募らせ葛藤する今ヶ瀬渉を成田凌が演じる。メガホンをとるのは、ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を2度受賞するなど、日本を代表する映画監督・行定勲。その繊細な表現力と確かな演出力で、揺れ動く二人の切ない恋を、時に繊細に時に大胆に描き出す。本作はR15指定となっている。

【写真・文/編集部】

映画『窮鼠はチーズの夢を見る』は2020年9月11日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開!
監督:行定勲
出演:大倉忠義、成田凌、吉田志織、さとうほなみ、咲妃みゆ、小原徳子
配給:ファントム・フィルム
©水城せとな・小学館/映画「窮鼠はチーズの夢を見る」製作委員会