第33回東京国際映画祭「TOKYOプレミア2020」部門上映作品『君は永遠にそいつらより若い』の舞台挨拶が11月1日(日)にEXシアター六本木で行われ、佐久間由衣、奈緒、吉野竜平監督が登壇した。

ワールド・プレミアやアジアン・プレミアの作品を中心に、32本の内外の個性豊かな監督による新作の披露を観客と共に祝福するショーケース部門。本作は、卒業間近の大学生である主人公が、なんとなく過ごす日常の中で、ふとした折に「暴力」「児童虐待」「ネグレクト」などの社会の闇と、それに伴うやり切れない「哀しみ」に直面する物語。大学やバイト先のぐだぐだした日常は軽快にユーモラスに描かれ、一方、作者の確かな問題意識と倫理観で、それら社会の闇の部分ともきちんと対峙する作品となっている。主人公の大学生・堀貝佐世役を佐久間由衣、堀貝と出会う痛ましい過去を持つ猪乃木楠子役を奈緒が演じる。監督を務める吉野竜平は、本作が長編3作目となる。

もし上映前のお客様に佐久間が演じたキャラクターがどのような人なのか紹介するとしたら、どのように紹介するか?という質問を投げかけられた佐久間は「すごく難しい」と苦笑しながらも「この映画の登場人物の皆さんに言えると思ったことは、普段街を歩いていてすれ違っていてもおかしくない。どこにでもいるような。自分に対して自信がないといえば簡単なんですけど。うまくいってないのは自分のせいなんじゃないかと、常に自分に問いかけているような女の子だと思って演じました」と振り返った。

同様の質問をされた奈緒は「過去に少し傷を抱えていて、その大きな傷によって自分のことを肯定できないまま生きているような人だと思って演じました。この映画の中でいろんな出会いがあって、人と人との出会いで本人の中で変わっていくこともあるかもしれない。その時々で感じながら心が動かされるままに演じられたらいいなと思って現場に行きました」と振り返った。

佐久間との共演について奈緒は「佐久間さんとの共演は初めてで。同い年なんですけど。一番最初、本読みかと思って行った日がありまして。佐久間さんと監督との3人で。本読みをするのかと思ったら監督が『じゃあ今から2人で30分くらいお茶してきてください。2人でお茶して仲良くなって来てください』って言われたんですよ(笑)」と吐露し「そこでいろいろ自分たちのことを話したり映画のことについて話しをしている時にすごく感覚が合う方だと思いましたし、一緒にいる時になにかこう、肩を張らずに笑える方だなと思って。佐久間さんと一緒でよかったなと思わせていただけました」と笑顔を見せた。奈緒との共演について佐久間は「もともと素敵な女優さんだなと思って拝見させていただいたこともあって、共演させてもらえることになって純粋に嬉しかったです」と微笑みを見せた。

舞台挨拶の締めとして吉野監督は「この作品撮る前はコロナとかそんなに大変なことになる前だったので、脚本書いているときもそんなことは頭になかったんですけど。いま完成してこういう状況になった時に、この映画のひとつのテーマとして、大切な人が突然いなくなっちゃうとか、そういうことがひとつ大きなテーマがあって。そういう中で期せずしてこのタイミングでこういう作品がつくれて、観てくれた方にこういう考え方もあるんだなと元気付けられたらいいなと思います」と作品についての思いを語り、舞台挨拶の幕は閉じた。

【写真・文/蔭山勝也】

映画『君は永遠にそいつらより若い』は2021年に公開予定!
監督・脚本:吉野竜平
出演:佐久間由衣、奈緒、笠松将、小日向星一、葵揚、森田想
配給:Atemo
©『君は永遠にそいつらより若い』製作委員会

第33回東京国際映画祭は2020年10月31日(土)~11月9日(月)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木ほかで開催!
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