第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』のキャスト・監督が、授賞式後に行われた日本メディア向けの共同記者会見に出席した。

日本映画が国際長編映画賞(旧称:外国語映画賞)を受賞したのは、 2009年開催第81回同賞で、滝田洋二郎監督作『おくりびと』が受賞した以来の快挙。

授賞式を終えて「嬉しいです!ノミネートされることだけでも本当にすごいことだと思っていたので、こうして受賞ができるとは本当に思っていなかった。ありがたいことだと思っています」と喜びを表現した濱口竜介監督。主演の西島秀俊も「本当に嬉しいです。会場でたくさんの方に『この作品を観た、素晴らしかったよ』と言っていただいて。改めてこの作品が、国や言葉を越えていろんな人の心に深く響いたんだなと会場ですごく感じました。とても幸せです」と喜んだ。

また、岡田将生も「素直に本当に嬉しくて、あの場にいれたことがよかったなと思いますし、『ドライブ・マイ・カー』とタイトルが言われた時にみんなで立ち上がって、みんなで抱きしめあってるその瞬間は一生忘れない出来事なんだろうなと思ってます」とかみ締め、霧島れいかは「私も素直に心から嬉しい気持ちでいっぱいです。たくさんの方におめでとうと言って頂いて、どれだけたくさんの方の心に届いたのかということが実感できて、本当に、本当に嬉しいです」と喜びを分かち合った。

実際にオスカー像を手にした濱口監督は「重いです(笑)ポン・ジュノ監督が2年前に取ったとき、片手で軽々と持ち上げられていたので、意外と軽いのかなと思っていた。重かったのでびっくりしました」と振り返った。また、映画人からの声も寄せられているようで「スティーヴン・スピルバーグ監督から『おめでとう。この映画にふさわしいものだ』と言っていただきました。スピルバーグさん自身もこの映画がとても好きだと言っていただけて、本当にすごい日だなと思いました」と明かした。

今回、13年ぶりの国際長編映画賞受賞となった本作だが「プロデューサーの方たちの尽力のおかげあって準備にとても時間をかけることができたのはとても貴重なことだったと思っています。いわゆる商業映画というものを作って2本目ですが、みなさんが準備の大切さというものを理解して作ってくださったということは感じていて、準備に時間をかけたことによってこういう結果が得られているということは言いたいですし、参考にしてやってみたいという方がいてくれたらそれはすごくありがたいと思います」と感謝の気持ちを口にした濱口監督。

さらに「この『時間をかける』ということは大事なことで、その意志さえあれば、急き立てられるように仕事をすることもないし、お互いをリスペクトするような環境も生まれやすいと思う。これは映画界だけに限らないことで、『このことに価値があるんじゃないか』と思うことを時間をかけてやる、ということができたら、それは今より少し幸せなことなんじゃないか。そういう実例だと思っているので、そういう風に思っていただけたらすごく有難いなと思います」と映画制作への思いを語った。

今回、参加することができなかった三浦透子からは「国際長編映画賞の受賞、本当におめでとうございます!皆さんの姿、とてもかっこよかったです。『ドライブ・マイ・カー』という作品に関われたこと、誇りに思います。改めて、この作品から頂いた全ての出会いと経験に、心から感謝申し上げます。濱口さん、スピーチ届きました。胸がいっぱいです」とコメントが寄せられた。