二宮和也×不良品ロボット…異色のコンビ誕生!―映画『TANG タング』のブルーレイ&DVD発売に先駆けて、原作者のデボラ・インストールと三木孝浩監督のインタビューが到着した。

ゲーム三昧で妻に捨てられたダメ男・春日井健は、わけあって無職で人生に迷子中。ある日、健の家の庭に突然現れたのは、記憶を無くした不良品ロボット。どこからきて、何のためにやってきたか分からないそのロボットは自分の事を“タング”と名乗った。この迷子同士の運命の出会いが、まさかの驚きにみちた壮大な冒険の幕開けだった。ポンコツコンビが、日本中を笑顔と感動に包み込む。主演は二宮和也。原作はベルリン国際映画祭で「映画化したい一冊」に選ばれた、イギリスのハートウォーミング小説「ロボット・イン・ザ・ガーデン」。監督は三木孝浩。

健の妻でバリバリ働く弁護⼠の絵美に満島ひかり、⼆宮和也とは初共演で夫婦役。健と絵美をそっと⾒守る健の姉・桜⼦に市川実⽇⼦、健とタングの⾏動を監視するミステリアスな男・加藤⾶⿃に、個性的なキャラクターがピタッとハマる⼩⼿伸也、中国在住のロボット歴史学者・⼤槻凛を演じる奈緒は、中国語のセリフやアクションシーンにも挑戦している。またロボットやAIに詳しい会社員の林原信⼆をSixTONESの京本⼤我が演じる。単独での本格映画出演は本作が初となる。また、⾏⽅知れずになっているロボット⼯学の第⼀⼈者・⾺場教授を武⽥鉄⽮が演じる。さらにタングを狙う凸凹悪役コンビの⼩出光夫&⼤釜仁をお笑いコンビのかまいたち(⼭内健司、濱家隆⼀)が、ロボット製造企業の受付嬢・原⽥カオリをTikTokフォロワー数国内⼥性1位(TikTokフォロワー1000万⼈超)の景井ひなが演じるなど豪華キャストが共演する。

デボラ・インストール×三木孝浩監督インタビュー

──原作から日本版にアレンジする際に、原作のこの精神を大事にしよう、ここは変えてはいけない、逆にここはこうアレンジをしてみた、といった点はありますか?
三木監督 一番大事にしたところはやはり、健(原作ではベン)がいかに物語の中で成長していくかという部分ですね。タングというのはロボットですけど、僕的には疑似親⼦でもあり、バディでもある。そんな2人の関係性がより深まっていくさまを描きたかったんです。タングとの出会いによって、健がいかにして自分の心の傷を乗り越えて、前に進んでいくのか。そこまでの物語を大事にしたいなと思いました。それと日本に置き換えるときに、彼らはどこを旅したらいいかなと考えたのですが、日本には福岡や宮古島といった素敵な場所があるじゃないかと思い、目で楽しめる場所というのを意識しながら、日本オリジナルの部分を作っていきました。

──デボラさんが気に入った部分はどこですか?
デボラ コーヒーのシーンですね。私は本当にあのシーンが大好き。自分でも書いておけばよかったなと思ったくらいです(笑)

──ニ宮さんが演じた健はいかがでしたか?
デボラ ニ宮さんは本当に素晴らしかった。健というキャラクターをしっかりと捉えてくださったなと思っています。最初、観客は健にフラストレーションを感じてイラッとしてしまいますよね。それで妻の絵美の我慢が限界に達していることが本当によく分かる。ニ宮さんの演技はそれくらい上手い。でもそこから健は成長して、物語の最後に向かうにつれて徐々に変わっていくんですよね。そしてその変わった健を絵美が受け入れたいと思うようになる。本当に健が変わったんだなと感じられるような、その過程の演じ分けが素晴らしかったですね。

──日本版だと、健と絵美の関係性がもう少し柔らかい感じに描かれていたかと思うのですが、そのあたりはどうご覧になりましたか?
デボラ それは確かに私もそう感じていました。とにかく原作のベンには本当に私もフラストレーションを感じさせられていましたから(笑)ただ、今はもうシリーズを5冊書き終わって、6冊目に取りかかっているところなのですが、その過程で私も、どうしてベンがそんな感じになってしまったのか理解できるようになってきました。だから昔ほどベンに対してフラストレーションを感じなくはなってきました(笑)でもこの映画における健と絵美の関係を見ていると、最後まで別れるところまではいかないだろうなと思わせてくれましたし、実際にやっぱりそうならなくて良かったなと思って。とても安心しました。
三木監督 やはり大槻凛(原作ではリジー)とのロマンスがなくなったからですかね?(笑)
デボラ そうかもしれませんね(笑)

──現場の撮影風景はどのような様子だったのでしょうか?
三木監督 一応(タングの)モデルがあるのですが、実際にはほぼ3DCGでフリーなので、役者はみんな本番になると、何もいないところに向かってずっとお芝居をしなきゃいけない。その動きを共有するところがすごく大変でした。僕らよりも役者が一番大変だったと思うんですけど。だから今回は初めて、映画の全カットの絵コンテを書いて、みんなのイメージを揃えていくということをやってみました。

──ニ宮さんの現場でのあり方などはいかがでした?
三木監督 僕らはその場にないものを相手にしなきゃいけないのは大変だなと思っていたん
ですけど、ニ宮さんはむしろ人間とやるよりもやりやすいとインタビューでもおっしゃっていて、それがすごく面白かったですね。

──それは想像力が豊かだということでしょうか?
三木監督 そうですね。自分で想像した通りにやれば、後でそれに合わせて動かしてくれるからと⾔って(笑)だからリアルな人間の役者とやるよりもやりやすいとおっしゃっていましたね。
デボラ それは理解できますね。

──デボラさんから見て、ニ宮さんの健と、タングとのやりとりはどう映りましたか?
デボラ 本当にこの2人の関係性は、私が思い描いていた関係そのものだったと思っています。日本版のサブタイトルには「君とならきっと大丈夫」とありますが、本当にこの⾔葉通りの関係性がタングと健とのやりとりから伝わってきました。

──原作を拝見すると、日本の描写も非常に細かく書かれてあって、デボラさんはだいぶ日本のことがお好きなのかなと思ったのですが、日本から影響を受けた作品などはありますか?
デボラ やはり日本の芸術とかアートといったものにはかなり影響を受けています。私の夫も日本好きで、新婚旅行でも日本に来ていますし、そして日本の自然がとても好きなんです。私の家の壁紙も日本風スタイルで、日本の木々といったものにしていますし、夫も漫画が大好きというのもあります。とにかく2人とも日本のテレビや映画をたくさん観ているんです。黒澤明の映画も好きですね。2人が出会った頃、最初の頃にお互いに観た日本の映画を交換して見せ合いっこもしましたし、とにかく常に日本の文化というものが共通の話題だったんです。
それから、日本のクッキングドラマがイギリスにはあまりないので、そういう番組も好きですね。「深夜食堂」も好きですし、わたしの夫は「孤独のグルメ」を気に入っています。仕事を終えた男がいろいろなところに行って食べるというところが面白いと言っていますね。
そしてスタジオジブリですよね。私が日本の文化に親しむようになった最初の頃には、『千と千尋の神隠し』など、ジブリ作品をたくさん観ていました。その頃は私が家を出て、はじめて独り暮らしをしていた頃だったんですけど、夜中にちっちゃなテレビで延々と観ていましたね。今は息子もトトロが大好きなんですよ。

──そういう意味では今回、小説が日本版になって、気に入った景色も多かったのではないでしょうか?
デボラ そうですね。南北縦断したいくらいいろいろな景色が見られて良かったです。
三木監督 映画は息子さんも気に入ってくれそうですか?
デボラ イエス!(笑)

──原作のあと書きに、(執筆当時は)タングは息子さんを参考にしたとあったのですが、今はいかがですか?キャラクターとしてはタングに近いとか、ベンに近いといった部分はあるのでしょうか?
デボラ うちの息子は今、ものすごくタングに似ています(笑)タングというキャラクターを生み出したときは、まだ息子はとても小さな赤ちゃんだったんですけど、今はタングに似てきてしまった。ということは、期せずして私がそういう風に育ててしまったのかしらと思ってしまうのですが(笑)一方、ベンはわたしに似ているところもあって。エイミーもそうですね。両方の要素がわたしの中にあるのかなと思います。

──ブルーレイ、DVDで繰り返し見ると面白い部分など、こだわりのポイントを教えてください。
三木監督 健とタング、2人の距離感ですよね。そこが最初と最後でどう変わるのか。そこはセリフだけじゃなく、歩くスピードだったり、歩幅だったりと、どう2人が寄り添っているかで、その関係性の変化を描いたので、そこをぜひ見ていただきたいです。あとは僕の好きな80年~90年代のハリウッド映画のオマージュがいっぱい詰めこまれています。最初の街並はちょっと『シザーハンズ』っぽいですよね。
デボラ そうだったんですね(笑)私も80年代の映画をいろいろと観ていて。『ショート・サーキット』や、そして「スター・ウォーズ」シリーズのR2-D2といったロボットは無意識のうちに私に影響を与えたと思っています。例えば「ターミネーター」シリーズなど、ロボットが描かれている映画ってなぜか人間と敵対するものが多いんですよ。人がロボットに対してひどいことをして、それに対してロボットが立ち上がって、人を殺してしまうといった、そんな話が多くて。そういった話を見ると、どこにハッピーなロボットがいるのかと思ってしまうんです。わたしは怒りに満ちた物語でなく、もっといい関係を持てるような、幸せなロボットを描きたいなと思って書いています。

──最後にブルーレイ、DVDで本作をご覧になる方へメッセージをお願いします。
デボラ もう既に映画を見てからブルーレイ、DVDをご覧になる方は、素晴らしい映画であるということが分かった上であらためて観るんだと思います。映画をまだ観ていない方は、まさにこれから素晴らしい映画を見ることになるんですね。いずれにしても楽しんでもらいたいですし、そして最後には健とタングを大好きになってほしいなと思います。
三木監督 作品のテーマ自体は普遍的だと思っています。例えば自分に子どもができた時に子どもに見せたり、またその子どもに見せたりと。それこそ、デボラさんが息子さんにトトロを見せたという感じで、愛され続ける作品になってほしいなと思います。
デボラ そうなれば本当にうれしいですね(笑)

『TANG タング』ブルーレイ&DVDは2023年1月6日(金)発売!
■【初回仕様】ブルーレイ プレミアム・エディション(2枚組) 7,990円(税込)
■【初回仕様】DVD プレミアム・エディション(2枚組) 6,980円(税込)
■DVD 4,980円(税込)
※同日よりブルーレイ、DVDレンタル開始
※同日よりデジタルレンタル開始
監督:三木孝浩
出演:二宮和也、満島ひかり/市川実日子、小手伸也、奈緒、京本大我(SixTONES)、山内健司・濱家隆一(かまいたち)、野間口徹、利重剛、景井ひな/武田鉄矢
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント  
販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
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