『サイド バイ サイド 隣にいる人』の公開記念舞台挨拶が4月15日(土)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、坂口健太郎、齋藤飛鳥、浅香航大、市川実日子、伊藤ちひろ監督が登壇した。

『サイド バイ サイド』=隣同士で/一緒に という題名を冠された本作は、リアルとファンタジーが混在する「マジックリアリズム」が息づく物語。行定勲と数々の作品を作り出してきた伊藤ちひろがオリジナル脚本を書き下ろし、監督も務めた。美術・装飾スタッフ出身である伊藤監督の感性が光る詩的な映像世界の主人公を演じるのは、坂口健太郎。不思議な力を持ち、傷ついた人を癒す青年・未山を、柔らかな雰囲気で魅せる。更に、かつて起きたある事件がきっかけで、未山の前から姿を消していた元恋人・莉子を、乃木坂46からの卒業発表後初の映画出演となる齋藤飛鳥が演じる。そのほか、未山と共に生活を共にしている看護師の恋人・詩織に市川実日子、未山の高校時代の後輩であり、ミュージシャンとして活動している草鹿に浅香航大。詩織の娘・美々(みみ)に磯村アメリといった個性的なキャストが名を連ねる。

オリジナル脚本である本作に臨むにあたって「価値観とか環境が違うことで責め合うのではなくて分かり合う、そういう気持ちを改めて感じてもらえる映画になれば」と思いを込めたという伊藤監督。そんな本作には脚本段階から話を聞いていたという坂口は「その一日一日違えば作品の見方が違う気がする。自分なりのその時の解釈ができるということはなかなかない」と作品の印象を語った。

自身が演じる未山については「本質的にどう思ってるかが明確ではない。初めて映像になったものを見て、不思議さだったり不明瞭な部分、不安定な部分が気になったし、気になるのは素敵なこと。残り続けてくれるようなキャラクター」と語った。

その未山の元恋人を演じた齋藤だが、未山を恋人だと想定してどう思いますか?と聞かれると「ごめんなさい。私はあまり…」と答えると「告白をする前に振られました」と笑う坂口。齋藤は「人としては魅力的だと思います。優しさとか温かさは自分に欲しいと思いますけど、一緒にいたいとは思わない」と理由を語った。

一方で現在の恋人を演じた市川は「詩織の気持ちがあるからか分からないけど、ああいう未山くんとお互い自立しながら」と好印象の様子だった。この流れに「総じてお二人とも未山のことが好きっていう答えで」と坂口がまとめると、齋藤は「違います」と定し、笑いを誘った。

その齋藤は、演じる上で「一番大事にしたのは、時が止まっている感じを表現するとか、莉子だけど私の感情が動いたときに声を発する、動くというのはできるだけ気にするようにしていました」と振り返った。齋藤と初共演となった坂口は「とても可憐な方だなと」と話し、「陰の部分を担わなければいけない役なので。セリフがあまりない中で、彼女だからこそできる莉子の役だと思った。画を締める力を感じました」と称賛した。

さらに舞台挨拶では、作品の内容にちなんで“秘密”を披露。「公園を裸足で歩く」と書いた浅香は「足に指が5本あることを思い出します」と語った。続けて「実は坂口くんと足が似てる」と書いた市川は「(撮影現場で)素足で過ごしていて坂口くんの足を見たら見たことあると思って監督に報告した」と明かすと、会場からは笑いが起きた。また、「左手に豆があります」と秘密を披露した坂口だが、理由については「言えない。いろんなことをやっていて」と語った。

そんな中で「ありません」と書いた齋藤だが、マネージャーから「インスタグラムの投稿に苦戦しています」と“タレこみ情報”が寄せられ、「動画でアップの仕方を教わったにもかかわらず、間延びした写真を投稿してしまい一人で慌てていました。普段は何でもクールにこなす飛鳥さんですが、『なにこれ』と一人であたふたしていてかわいかった」と暴露されると照れ笑いを浮かべる齋藤は「本当にできなくて」と認めたものの、坂口が「分かる、難しい。でも、ちょっとできなそう(笑)」と言うと「坂口さんに言われたくないんですけど(笑)」と反論。さらに「連打してたら3個、同じ動画が上がっちゃう。ハッシュタグもよく分からない」と話すと、齋藤は「分かります、そうそう!」と共感していた。

最後に坂口は「見てもらってから映画は価値が出ると思っていて」と公開を喜び、「こういう世の中だからこそ、こういう作品がみなさんに届いて、映像の中に生きている人たちに想いを馳せていただけたらこの作品は成功だと思います」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

『サイド バイ サイド 隣にいる人』は全国で公開中
監督・脚本・原案:伊藤ちひろ
出演:坂口健太郎
齋藤飛鳥、浅香航大、磯村アメリ
市川実日子
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2023『サイド バイ サイド』製作委員会