本年度アカデミー賞主演男優賞ノミネート『aftersun/アフターサン』を彩る楽曲起用の秘話をシャーロット・ウェルズ監督が語っている。

11歳のソフィが父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった彼女の視点で綴る本作。2022年のカンヌ国際映画祭・批評家週間での上映を皮切りに評判を呼び、A24が北米配給権を獲得。昨年末には複数の海外メディアが<ベストムービー>に挙げ、毎年映画ファンが注目するオバマ元大統領のお気に入り映画にも選出されるなど、本年度を代表する1本となった。ソフィ役には半年にわたるオーディションで800人の中から選ばれた新人フランキー・コリオ。愛情深くも繊細なカラムには、ドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが抜擢され、アカデミー賞主演男優賞にノミネートを果たした。監督・脚本は、瑞々しい感性で長編デビューを飾った、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。

脚本を書いていた数年間、イメージした音楽のプレイリストを作り、曲を聴いてはその場所や瞬間にふさわしいと感じてどんどん楽曲が増えていったというウェルズ監督。そのうちの何曲かは実際に劇中で使用されている。「私が初めてカセットやCDを買ったのは1997年か1998年頃だったから、サウンドトラックに使う曲はその年代で区切りました。R.E.M.やブラーは父の影響です。ジャンルをミックスし、80年代かそれより古い曲も取り入れて、もう少し“クール”でインディっぽいものにしようとも考えましたが、場所とキャラクターに忠実でありたかったし、その直感のおかげで、ジャンルは様々でもまとまったサウンドトラックに仕上がったと思っています」と自身の自叙伝的な本作ならではの選曲方法を明かした。

シャーロット・ウェルズ監督

本作で最も印象的な楽曲のひとつであるクイーン&デヴィッド・ボウイの『アンダー・プレッシャー』については、「あの選曲は本当に予想外でした。編集時にひらめいたんです。」と使用予定がなかったことを明かした。「フレディ・マーキュリーとデヴィッド・ボウイの歌声が素晴らしく、これまでもインスピレーションが欲しい時に聴いていました。だから今回も編集のときに聴いていたんですが、効果は覿面でした」と当時を振り返る。

しかしはじめは、「これだけ静かな作品なので、どうしても曲の歌詞に意識が向いてしまうのでないかと懸念していました」というが、仮で音源を入れて編集を進めているうちに徐々に“この楽曲しかない”という思いが強くなっていったのだと明かしている。結果的に、登場人物の語られない心の内と歌詞が共鳴し、最も重要な役割を果たす一曲に。監督自身があの曲でなければ成立しなかったと思える納得の選曲となった。登場人物のエモーションに寄り添った楽曲の魅力に注目だ。

『aftersun/アフターサン』は2023年5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国で公開
監督・脚本:シャーロット・ウェルズ
出演:ポール・メスカル、フランキー・コリオ、セリア・ロールソン・ホール
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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