Netflixシリーズ『THE DAYS』のワールドプレミア舞台挨拶が5月30日(火)に新宿ピカデリーで行われ、役所広司、竹野内豊、小日向文世、小林薫、遠藤憲一、石田ゆり子、増本淳プロデューサー、西浦正記監督、中田秀夫監督が登壇した。

本作は、入念なリサーチに基づき、2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故を3つの異なる視点から事故を克明にとらえた重層的なドラマ。「あの日、あの場所で何があったのか」を、政府、会社組織、そして原発所内で事故に対峙する者たち、それぞれの視点から描いた実話に基づく全8話の物語。企画・脚本・プロデュースは、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズなど大ヒット作を手掛ける一方、『白い巨塔』、『はだしのゲン』といった骨太な社会派ドラマを世に送り出してきた増本淳。『コード・ブルー』シリーズの監督として増本と長年タッグを組んできた西浦正記と、『リング』シリーズの中田秀夫がダブル監督を務める。

第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した役所は「みなさんの応援がカンヌまで届いていました。ありがとうございます」と感謝の言葉を口にし、「みんなで力を合わせて志を持って作った作品です」と挨拶した。

2018年に増本プロデューサーから役所に提案がされたという本作だが「この話をいただいたときは、これをドラマにしていいのだろうかと躊躇したんですけど、増本プロデューサーと会って、あの日、あの中で何が起きたのかを伝えるべきだという話と、廃炉に向けて長い年月何かを伝えることはたくさんあるべきだという思いを聞いて、参加したいと決断しました」と振り返る役所。さらに「ここでもう一度、世界中のエネルギーについて一人一人が考えていかなきゃいけない」とコメントした。

実際に起きたことに基づいた作品ということで「当時の作業員の方々の極限状況化における精神状況は我々の想像をはるかに超えるものだと思う。頭の中では分かっていても、答えが出てこないシーンばかりでしたので、気持ちだけは大事にしていこうと思いました」という竹野内だが「役所さんの声だけで引っ張られるものがある」とその存在に助けられたという。

「(事故発生時は)舞台の本番中で石田ゆり子さんと夫婦をやっていたんです」という小日向は「この台本をいただいて、いかに現場がすさまじい状況だったか。総理は実際はどうだったんだろう。台本を読んで興味深かった」と本作を演じるにあたっての思いを語った。小林は「人はこんなに命がけにてなれるんだとやっていて思いました。現場の人たちのおかげで、もっとひどいところにならなかったと改めて思いました」と語った。

行方不明になる運転員の両親を演じた遠藤と石田だが、遠藤は「表に出てくる被害者の人数の裏にそれ以上の家族の心の痛みがあると改めて感じました」といい、石田は「ほとんどセリフがないんです。ただ、セリフはなくても心の中にいっぱい言葉が詰まっていて、口には出さないけどものすごく密度の濃い祈りみたいな感じでした。祈るような気持ちで濃い、重たい時間を過ごしていた」と撮影を振り返った。

最後に役所は「一人一人が考えなければいけない時代が来ている気がします。このドラマを観ていただいていろんな人に発信してください」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

『THE DAYS』(全8話)は2023年6月1日(木)よりNetflixにて世界独占配信
監督:西浦正記、中田秀夫
出演:役所広司、竹野内豊、小日向文世、小林薫、音尾琢真、光石研、遠藤憲一、石田ゆり子