『山女』の公開記念舞台挨拶が7月1日(土)にユーロスペースで行われ、山田杏奈、二ノ宮隆太郎、福永壮志監督が登壇した。

大飢饉に襲われた東北の寒村。先代の罪を負った家の娘・凛は、村人から蔑まれながら息をひそめて生きていた。そんなある日、凛の父・伊兵衛が村中を揺るがす事件を起こす。村人たちから糾弾される父をかばい、自ら村を去り禁じられた山に入る凛を待ち受けていたのは、伝説の存在として恐れられる“山男”だった…。柳田國男の名著「遠野物語」から着想を得たオリジナルストーリーとなる本作。

自身が演じた主人公・凛について「自分が置かれた人生に負けない、屈しない人だと思って、私もこうありたいなと思うたくましさを感じました」と話す山田。今回、山田とは撮影以来の再会だという二ノ宮だが「凛にとっての役割をまっとうしようと」と撮影を振り返った。そんな二ノ宮の起用について福永監督は「人間くさくて、今あまりいないタイプ」とその存在感を称賛した。

一方で山田については「演技力はもちろんですが、ご自身が持っていらっしゃる何事にも屈しない感じ、マイペースで飄々とされていて、どんなことがあっても変わらない感じがして。希望を感じられる方じゃないと見ていてつらくなるんじゃないかというのがあって、山田さんなら何があっても屈しない存在を、地に足をついて演じてくれると期待しました」と絶賛した。

「そこに存在することが大事だと思いました。どうやったら存在していられるんだろうと向き合い続けた」と撮影を振り返る山田は「ロケーションも周りの環境も、凛としていられることが自然だと感じられる環境でお芝居をさせてもらった」と感謝を口にした。

二ノ宮について山田は「泰蔵としての姿を近くで見させていただいて、二ノ宮さんの素敵さが泰蔵からあふれてでいて、凛と泰蔵の関係も愛おしいなと思いながら演じていました」と振り返った。一方で二ノ宮は「かっこいいに取り繕わない感じが、この方はどうなっているんだろうと」と山田の佇まいを絶賛した。

同世代に向けては「まず映画館でこの映像を見てもらうということに意味があるんじゃないかと思います」と話す山田は「私たちの世代はいろいろなものを達観して見ている人が多いと思います。凛もそういう部分があるけれど、そういう彼女が幸せのために進んでいくストーリーが若い人にも届くんじゃないかと思います」と本作をアピールした。最後に「いろいろな見方ができる映画だと思います。清々しい気分にもなって映画館を出ていただける映画です」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

『山女』は2023年6月30日(金)よりユーロスペース、シネスイッチ銀座ほか全国で順次公開
監督:福永壮志
出演:山田杏奈、森山未來、二ノ宮隆太郎、三浦透子、山中崇、川瀬陽太、赤堀雅秋、白川和子、品川徹、でんでん、永瀬正敏
配給:アニモプロデュース
©YAMAONNA FILM COMMITTEE