本当の彼女を誰も知らない―杉咲花主演映画『市子』で主演を務めた市子役・杉咲花のインタビュー映像《後編》と場面写真が解禁された。

本作は、監督の戸田彬弘が主宰する劇団チーズtheater旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞した舞台「川辺市⼦のために」が原作。観客から熱い支持を受けて2度再演された⼈気の舞台を映画化。川辺市子(杉咲花)は、恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、突然失踪。長谷川が行方を追い、これまで市子と関わりがあった人々から証言を得ていくと、彼女の底知れない人物像と、切なくも衝撃的な真実が次々と浮かび上がる…。

今回、主演を務めた市子役・杉咲花のスペシャルインタビュー映像《後編》が解禁された。釜山国際映画祭にてワールドプレミアを迎えた『市子』。「この作品が、自分たちを釜山まで連れてきてくれた」。先日公開されたスペシャルインタビューの《前編》では、コンペティション部門であるジソク部門に選出された第28回釜山国際映画祭に参加しての想い、また初めて本作を観たときの感想などについて語っていた杉咲花。今回のインタビュー《後編》では、市子役へのアプローチや共演者の若葉竜也について、本作への特別な想いなどを語っている。

戸田彬弘監督が、作・演出を務めた人気舞台「川辺市子のために」を自ら映画化し完成させた本作。壮絶な過去を持ち、過酷な宿命を背負った主人公・市子を演じるにあたり杉咲は、「市子をこの世界に存在させた戸田さんでも、彼女のことをわからない瞬間があるんだ」と思う場面があったと言い、それは、自分自身のこともわからなくなることがあるのだから、まして他人のことなどわからないものなんだという気付きとなり、大きな意味をもたらしたことを明かしている。

今回解禁された場面写真

そんな誰にも“わからない”市子について、「(彼女が)どんな人なのかということを掘り下げていく時間」だったという撮影現場において、「心の底から頼りにしていた」と断言するのは、市子が3年間ともに過ごした恋人・長谷川義則を演じた若葉竜也の存在だ。これまで、連続テレビ小説「おちょやん」やWOWOWのドラマ「杉咲花の撮休」と二度共演してきた若葉は、「自分がどう表現したいかということよりも、誰かのためにそこにいてくれる人」だと言い、「この人が見つめてくれている世界の中で生きていられる市子は、とっても幸せだったんじゃないかなと思います」「人としても俳優としても心から尊敬しています」と“最高の共演者”に最大限の賛辞を贈り、心の支えになっていたことを語っている。

心血を注いで市子と向き合い、スクリーンの中で、まさに彼女の人生を生き抜いてみせた杉咲。かねてより演技力に定評のある杉咲だが、いち早く鑑賞した映画評論家陣などからは、その圧巻の演技に「代表作になることは間違いない」との声も多く上がっている。本作は彼女の俳優人生にとって、どんな作品となったのか。「市子としてカメラの前に立っていたときに、自分が想像もつかなかったような感情に襲われたり、カメラに撮られていることを忘れるような瞬間を過ごせたりしたのは本当に幸せなことでした」と振り返り、「この作品を超えられたって思えるくらいの表現をしたい、今はそんなことを目標にしたくなってしまうくらい、忘れられない特別な一本になりました」と、本作でみせた表現に自信をのぞかせると同時に、間違いなく今後の活動においてひとつ大きな分岐点となる位置付けとなったことを語った。

インタビュー映像

『市子』は2023年12月8日(金)よりテアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国で公開
監督:戸田彬弘
出演:杉咲花、若葉竜也、森永悠希、倉悠貴、中田青渚、石川瑠華、大浦千佳、渡辺大知、宇野祥平、中村ゆり
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2023 映画「市子」製作委員会