『罪と悪』の公開記念舞台挨拶が2月3日(土)にTOHOシネマズ日本橋で行われ、高良健吾、大東駿介、石田卓也、齊藤勇起監督が登壇した。

ある日、13歳の正樹が殺された。そして同級生の少年たちのうち1人が犯人を殺し、殺害現場となった家に火を放つー。22年間の沈黙を経て罪を背負った幼馴染3人は再会するが、あの時と同じ場所でまた少年が殺される。さびれた町で一体何が起こっているのか―。オリジナル脚本で描く映画『罪と悪』。主演は高良健吾。荒んだ家庭環境に育ち、現在は地元の不良たちを集めた闇の仕事も請け負う建設会社を経営する社長“春”を演じる。春と同じく罪を背負いながらも、過去の秘密を隠し大人になった幼馴染には、警察官の家庭に育ち自らも捜査一課の刑事となるが、父の死をきっかけにこの街に戻ってくる“晃”を大東駿介、家業の農業を継ぎ現在は引きこもりになってしまった双子の弟・直哉の面倒も見ている“朔”を石田卓也が演じる。また、街を牛耳る白山會の傘下である清水組 組長・清水を村上淳が、その白山會の会長・笠原を佐藤浩市が、晃と同じ警察署の先輩刑事・佐藤を椎名桔平が演じ、豪華実力派俳優が集結した。

前日の公開初日には「朝からセンチメンタルな気持ちになった」という高良は「うれしさはあるんですけど自分の元から羽ばたいていく寂しさがあって、監督に連絡した」と明かした。その齊藤監督は、本作が初監督ということもあり「ようやく旅立ってみなさんの元に届くと思うと胸がいっぱいです」と感慨深げな様子を見せた。「デビュー作は一生に一回なので」と前日の公開初日の初回に劇場で鑑賞したことを明かした。ちょうどその際に高良からメールが来たことで「センチな気分のまま見れたのでいい日でした」と振り返った。

撮影前には話し合う時間もあったというキャスト陣だが「みんなで5~6時間話したので貴重な時間でした。それがなかったら違う映画になっていたんじゃないか」と明かす高良。大東は「みんながこの位置でこの作品に向き合っているんだと共通認識を持って。みんなももっと強い熱量で参加しているんだと共有できてよかった」と振り返った。また、石田は「3人で顔を合わせたのが十何年ぶりだよね。純粋にうれしさがありました」と明かした。

「10代の時からみんな知っているので、生きてきたなと」と感慨深げな様子を見せた高良。大東は「その時のことを思いながら現場に行きました」と自身に重ね合わせる部分があったという。「描かれていない自分たちの時間をどう解釈してきて挑んでいこうかという確認」を行ったという高良は「その中で声を出してやってみましょうかというのは(普段は)ない」と本作ならではの臨み方があったという。

撮影が行われた福井での舞台挨拶に訪れた際には「エキストラで参加してくださった方が『カニ用意しています』と。本当に福井の人たちに大切に大切に甘やかされたな、ありがたいことです。おいしかったです」と笑顔を見せた。さらに上映後には映画の感想を聞く機会があったといい、「テーブルを囲みながら映画の話で盛り上がれたのがグッときました」というが、これに高良は「4時くらいまでやってました」と明かした。その感想を聞いて「狙い通りというのも伝わっていました。気づかされることもあった」という高良。大東は「みなさんがそれぞれの解釈を話しはじめて、映画ってこういうことだよなと。それぞれに育てて感じてもらうものなので、そこに立ち会えたのは感動でした」と感慨深げな様子を見せた。

また、タイトルにちなんで“祓いたい悪”を聞かれると「おもしろくないなというのしか思い浮かばないんですけど、禁煙したいな」という高良は「こういうところで気の利いたことが言えたらいいんですけど」と笑いを誘った。さらに、20年という年月を描く本作にちなんで“20年後の姿”を聞かれると「ランニングとかしていたい。週5~6、できる人でいたい。祖父が90くらいまで毎日欠かさず走っていたんです。何かを続けられる人ってすごいなと思う」と語った。

最後に高良は「万人受けするストーリーではないかもしれませんが、こういう作品だからこそ普段出会わない感情や考えに出会わされて、新しい価値観に出会える映画だと思います。映画から与えようというよりは、一人一人が見つけにいくような映画です」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

『罪と悪』は公開中
監督・脚本:齊藤勇起
出演:高良健吾、大東駿介、石田卓也、村上淳/佐藤浩市(特別出演)、椎名桔平
配給:ナカチカピクチャーズ
©2023「罪と悪」製作委員会