『連続ドラマW 坂の上の赤い屋根』の完成披露試写会が2月27日(火)に都内で行われ、桐谷健太、倉科カナ、橋本良亮、蓮佛美沙子、村上正典監督が登壇した。

真梨幸子の小説は映像化不可能とも言われる衝撃作が多く、尾野真千子主演で話題を呼んだ「フジコ」(原作『殺人鬼フジコの衝動』)、WOWOWで映像化した同じ名前の女性が悪の渦に巻き込まれる「連続ドラマW 5人のジュンコ」に続いて、本作は3作目の映像化となる。主人公の轟書房編集者・橋本涼役を演じるのは桐谷健太。新人作家・小椋沙奈役に倉科カナ、「女子高生両親殺害事件」の主犯格とされる死刑囚・大渕秀行役に A.B.C-Z の橋本良亮、大渕と獄中結婚した法廷画家・礼子役に蓮佛美沙子。大渕に破滅させられたパトロンでもあった元編集者・市川聖子役に斉藤由貴ら、WOWOW の数々の傑作ドラマに出演してきた実力派俳優陣が顔をそろえる。物語は、新人作家が18年前の“女子高生両親殺害事件”をモチーフにした小説企画を、出版社の編集者に持ち込んだことから始まり、やがて登場人物たちが抱える嫉妬、劣等感、孤独、過去など“黒い感情”の正体と事件の真実が明らかになっていく…。

冒頭では、既に全話を鑑賞したというキャスト陣の中で「僕まだ観れてないんです」という橋本は1・2話のみ観たことを明かし「(3話以降は)みなさんと一緒に楽しもうかな」と笑いを誘った。

本作で挑んだ“新境地”について「自分が橋本を生きたらどうなんだろうと興味がわいた。挑戦したいと思いました」という桐谷は、脚本を読んだうえで「どうなっていくか読めない。話が進むたびに視点も変わってくる。登場人物の視点でも変われば、観ている人の視点でも真実が変わる。刺激を受けてやりたいと思いました」と振り返った。

倉科は「新人賞を獲った後になかなか書けなくて、自分の力を誇示したい気持ちだったり、焦燥感を持ち合わせていて、演じていてエネルギーを使う役」と振り返り、「共感するところもあって、ギアを入れる形でアプローチさせていただいた。思っていた以上にさなという役はヘビーでした」と明かした。また、桐谷とは共演回数が多いことから「2人でふざけ合って癒されました」と明かした。

一方で、死刑囚の大渕役を演じるにあたって13㎏減量したという橋本は「減量は大変でした。撮影の1か月半前くらいに、『こういうドラマがあります』と聞いたんです。二言で、『死刑囚役、痩せてください』」とマネージャーとのやりとりを明かし、「間に合うかなとドキドキしていたんですけど、なんとか落とすことができました」と明かした。さらに実際の撮影では「プレッシャーはありましたし、大渕の役はサイコパスという感情もむき出しにするし、だけどどこかに優しさがあったり、そういった芝居と戦っていました。どういう気持ちでやればいいんだろうと」と明かした。

その大渕と獄中結婚した礼子を演じる蓮佛は「本当に難しい役で、だからこそうれしかった」と本作への出演を喜び、「終始辛くて。メンタル面で、みんなそうだったと思うんですけど、育ってきた環境で辛いものを抱えている女性だったので、食らいついていくのが大変だった」と語った。

また、「過去が現在にポジティブにつながているエピソード」を聞かれた倉科は「高校時代にバイトを4つくらいかけ持ちしていたんです。働きすぎて、このまま生きていてもつまらないと思い始めて、思い切って環境を変えてみようと。東京に出てみよう、芸能界に挑戦してみようと応募したのがきっかけで」と今に繋がる考えの変化を明かし、「あれがあったからこそ今ここに立てているんだなと思います」と振り返った。

橋本は、A.B.C-Z加入時を振り返り、「4人グループに後から僕が入ってA.B.C-Zになった。入った時に2週間後に横浜アリーナでライブがると聞かされて、元の曲もそんなに分からなかったし、踊りも全然知らなかった。1日で15曲覚えました」と明かしつつ、これに桐谷からは「毎回急やな」とツッコミが入り、会場を沸かせた。さらに「これができるから、あとのことは絶対できると」と考えたという橋本だが、倉科は「マネージャーさんもそれができたからこそ今回も急でいいんじゃないかと」と話し、笑いを誘った。

その倉科のクランクインシーンは1人での撮影だったというが、その際に電話で話すシーンがあり、「(電話相手の桐谷と蓮佛に)『声だけでも録らせてください』と相談したら、『行きますと』」と、撮影がないにもかかわらず電話の相手として桐谷と蓮佛が撮影現場を訪れていたといい、倉科は「本当に温かい現場でした」と笑顔を見せた。

【写真・文/編集部】

『連続ドラマW 坂の上の赤い屋根』は2024年3月3日(日)よりWOWOで放送・配信開始(全5話)
※毎週日曜22:00~放送・配信【第1話無料放送】
監督:村上正典
出演:桐谷健太
倉科カナ、橋本良亮、床嶋佳子、工藤美桜、七五三掛龍也
西村元貴/宮崎美子、渡辺真起子、蓮佛美沙子、斉藤由貴