『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』トークイベント (1)

パリ郊外で実話から生まれた感動作『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』のトークイベントが25日(月)に都内で行われ、映画監督の井筒和幸が登壇した。

カンヌ国際映画祭正式出品をはじめ、サンタバーバラ国際映画祭や年セントルイス国際映画祭で受賞するなど各国で絶賛された感動作である本作。当時18歳だった「落ちこぼれクラスの元生徒」のアハメッド・ドゥラメが、パリ郊外の貧困層地区にある学校での自身の体験を元に、マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督とともに脚本を共同執筆。アハメッドは、キャストとして本作でセザール賞有望男優賞にノミネートされた。主人公の歴史教師アンヌ・ゲゲンを演じたのは、フランスを代表する名女優アリアンヌ・アスカリッド。生徒たちを未知の世界へと高め、厳格な教育と愛情深いまなざしを併せ持つ、思春期にこそ出会うべく理想の教師像を熱演。

今回行われたイベントには映画監督の井筒和幸が登壇。ポーランドのアウシュヴィッツを訪れたことがある井筒が、そのときの様子や、本作を解説した。

「フランス映画なのに、なんで俺(がゲスト)なの」と楽屋で話していたという井筒は、MCに「劇中で描かれるクラスはいわゆる落ちこぼればかりで、『ガキ帝国』以降、監督が描き続けてきた世界に通じますよ」と振られると「確かに問題児ばかり描いてきたのは事実ですけどね。いろんな奴らとやってきたけど、実際人間は輪になって、ともに生きていくとはどういうことかを考えていくのが教育だし、学校」と持論を語った。本作については「自分も中学3年くらいに教師になろうと思ってたことを思い出した。でも、この映画を見たら、こんなヤンチャな奴らがいるクラスで担任なんてなれへんなって思った。今、フランスが抱えている社会事情や教育の実態が非常に歴然と描かれている。でも、こんな教室に赴任したら、たまらんなぁ」と率直な感想をこぼした。

劇中では、アウシュヴィッツについて学ぶ場面から、生徒たちの行動や意欲が大きく変わっていくのが分かるのが、井筒は「アウシュヴィッツについて、僕もこういう教室で、こういう先生に、こういう授業を教えてほしかった。もっと若いときに出会いたかった!」と話し、「劇中の生徒たちもそうだけど、変化のインパクトが違う。若い感受性で受け取ることが大切で、年取ってからでは遅いんだよね。もっと若いときになぜこういうことを知らなかったのか、なさけないな、って」と熱く語った。

3年ほど前にポーランドの首都ワルシャワの映画祭に招待された際、現地の方の案内で、アウシュヴィッツ強制収容所に行ったことがあるという井筒は「電車で2時間半くらいかかった。結構当時のまま残されていて、こんな狭い3段ベッドに5~6人で寝ていたのか、とか。歩いて回るんだけど、当時みんな貨車で運ばれてきて、駅で降りて、すぐ選別されて、そこからいわゆるガス室まではそんなに遠くなくて、ほんの何十分かの間に行われていたんだ、と・・・。心に迫って息ができないって、こういうことか、そんなことを感じました」と貴重な体験を振り返った。ポーランドでは学生が必ず社会科見学などで訪れるように決められているようで、若い学生もたくさんいたと語った。

最後に「僕は若いときに、こういう教室にいたかった。人間は、若い時にどんなことであれ、経験する、知る、知力をつける、ということが大事だといつも思う」メッセージを贈った。

『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』トークイベント (2)

『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』 (1)

『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』 (2)

『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』ポスター

映画『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』は2016年8月よりYEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町、角川シネマ新宿ほか全国で順次公開!

監督:マリー・カスティーユ・マンシオン・シャール
出演:アリアンヌ・アスカリッド、アハメッド・ドゥラメ、ノエミ・メルラン、ジュヌヴィエーヴ・ムニシュ、ステファン・バック
配給:シンカ
2014年/フランス/105分

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