『この世界の片隅に』の海外プレミア上映が2月23日[現地時間]よりメキシコ4都市で行われ、片渕須直監督、のん、スペイン語の吹き替えを担当した女優のエリカが登壇した。

2月下旬にメキシコ入りした片渕須直監督とのんは、2月23日18時[現地時間]から首都メキシコシティ最大級の映画Cinemexで行われたプレミア上映に参加。多くのメディアが詰めかけた。イベントには、スペイン語で、すずさんの吹き替えを担当した女優のエリカも参加し、約30分に渡りトークショーが行われた。片渕監督が「この映画はすずさんのドキュメンタリーとして制作しました。けっして遠い昔の話と思わずに、一人の女性の話だと思って観てみてください。そうすると、みなさんの中に小さな幸せが生まれるのではないかなと思います」と挨拶すると、観客からは温かい拍手が贈られた。

エリカは「すずさんを演じることは、自分の人生にとって大きな学びになりました。まじめで前向きに生きるすずさんのように、過酷な状況においても強くあり続け、日々を送れるように頑張らなければならないと思いました」と話し、すずさんの生き方に共感した様子。のんは「エリカさんはとても素敵な方で、チャーミング。絵を描くのが好きで、私やすずさんとの共通点が多く、ぜひみなさんにスペイン語吹き替え版も見て欲しいと思いました。」と話し、交流が生まれたことも報告した。

翌24日には、広島県と友好提携を結んでいるグアナファト州の都市サラマンカで舞台挨拶が行われ、マリアッチと呼ばれる民族衣装を着たのん、片渕監督らが登場。さらに25日には同じく、グアナファト州のイラプアトとレオンで着物姿を披露し歓声を浴びた。また、メキシコでは、字幕版と吹き替え版の2種類が上映されており、映画を観た現地の人々からは「感動して言葉が出ない」「涙が止まらなかった」など熱い声が続出し、さらに「こんなアニメーションは初めて見た」という声も多く聞こえた。

今回のプレミア上映に参加したことについて、のんは「『いまは胸がいっぱいで…お家に帰ってじっくり考えます』というメキシコの方の感想を聞き、日本のみなさんと変わらない反応に驚きました。やっぱりこの映画は世界中に届けられるメッセージを持っている素晴らしい作品だと改めて思いました!もっと沢山の人、そしてもっと多くの場所で観ていただきたいと思います」とコメント。片渕監督は「タンポポの綿毛はメキシコにも。こんなタイプのアニメーション映画は初めて観ただろうメキシコの方々にあたたかく迎えていただいています」と遠く離れた地にも、すずさんの想いが届いた喜びを明かした。

メキシコでは3月10日より約300スクリーンでの公開が決定。さらにタイでは2月23日より公開中、アルゼンチンやチリなど南米諸国では3月17日より、香港では3月30日より、イギリスでは6月、ドイツでは7月、アメリカとフランスでは9月の公開が決定している。

本作は、第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、戦況が悪化していく中で、大切なものを失いながらも前を向く女性を描いたアニメーション作品。主人公・すずを演じるのはアニメーション映画初主演となる女優・のん。片渕須直監督が「のんさん以外のすずさんは考えられない」とその声に惚れ込んだ。クラウドファンディングに始まり日本中の想いが結集して珠玉のアニメーション映画が完成した。

映画『この世界の片隅』は全国で公開中!
監督・脚本:片渕須直
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)
声の出演:のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、澁谷天外
配給:東京テアトル
©こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会