斎藤工


昭和の大傑作が斎藤工主演×白石和彌監督で始動―『麻雀放浪記2020』が来年4月5日(金)より公開されることが決定した。

不朽の名作として、今なお読み継がれている阿佐田哲也の250万部を超えるベストセラー小説「麻雀放浪記」。映画化は、イラストレーターの和田誠が初監督した『麻雀放浪記』(1984)から実に35年振りとなる。企画は、近年は俳優のみならず、映画監督にも挑戦している主演・斎藤工から始まった。映画ファンとして名高い斎藤自身が名作の一つとして讃える「麻雀放浪記」で、この10年間、映画化を熱望してアプローチを続けていた。企画が始動し、最初に監督として白羽の矢を立てたのが、『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017)、『孤狼の血』(2018)の白石和彌。ヒット作や話題作を連打して、いまの日本映画界を牽引しているトップランナー白石が、この困難な作品に立ち向かった。そのために彼らが取ったのは、設定を大胆に変えることだった。

主人公・坊や哲がいるのは、2020年の“未来”。人口が減少し、労働はAI(人工知能)に取って代わられ、街には失業者と老人があふれている。そしてそこは“東京オリンピック”が中止となった未来だった―。1945年の“戦後”からやってきたという坊や哲が見る驚愕の世界。その時、思わぬ状況で立ちはだかるゲーム“麻雀”での死闘とは―?

「麻雀放浪記」の世界をこよなく愛する斎藤、そして白石監督をはじめとするスタッフたちだからこそ生まれた、大胆かつ驚きの世界が繰り広げられる。原作・阿佐田哲也の遺族もこの「新作」製作に賛同を惜しまない。奇しくも10月1日からスタートした「Mリーグ」(麻雀のプロリーグ)が白熱する今、映画が完成した。

斎藤工 コメント

個人的な意見ですが、名画をリメイクしてオリジナルを超えた作品は、はっきり言って殆ど無い。
それくらい名作・傑作のハードルは高く、どれだけ戦略を練ったとしても、そんな奇跡の映画をリメイクで“超える”のは至難の業である。
正直この企画に対しても、和田誠版『麻雀放浪記』ファンとして当初、些か不安を感じました。
(しかも坊や哲が私とは、何ともエキセントリックなキャスティング)
しかし頂いた佐藤佐吉さんの脚本をめくって行くと、これは本当に麻雀放浪記?と思うほどの鋭角的で 奇天烈な世界観に唖然・呆然としながらも、気がつくと喉が渇き切る様に最後のページまでめくっていました。これこそ邦画がいつの日か失った、映画の持つ自由表現の行使ではないだろうか。
これこそ阿佐田哲也のスケールなのではないだろうか。
そして監督はあの白石和彌監督。
私は邦画ファンとして、この台本での白石和彌×麻雀放浪記が無性に観たくて仕方なくなっていました。
とんでもない作品が生まれる瞬間に立ち会えるのではなかろうか。
私はかつて『明日、泣く』と言う作品(内藤誠監督作)で阿佐田哲也さんの半生を演じさせて頂いた御縁もあり、本作に身を投じさせて頂こうと思いました。
『麻雀放浪記2020』は、リメイクと言うより新装開店、リニューアルに近い、白石和彌版の麻雀放浪記の凄まじい世界に酔いしれて頂きたく思います

白石和彌監督 コメント

今や映画のオピニオンである斎藤工さんが名作のうちの一つと公言している『麻雀放浪記』の新たな映画化のご指名を頂いた時、率直に無理だと思いました。どんなに努力したところで和田誠監督の名作を超えることなんて不可能だからです。あの手この手で断り方を考えているうちに、プロデューサーからポロっと出たアイデアが坊や哲が2020年に来たら・・・。最初は半笑いでしたが、これはもしや今誰もが感じている現代社会のひずみや、今の社会が忘れてしまったものを警鐘として描けるかな、と思い至りました。時代に生きられないアウトローたちを描いてきましたが、坊や哲はその最たるもので、彼が2020年の近未来に来たらと考えると堪らなくなり作品に邁進することにしました。
斎藤さんは、想像以上に昭和を感じさせてくれる大和男児でした。数々の昭和の男たちを描いてきた私の作品の中でも、一番泥臭い昭和の男になっていると思います。坊や哲と出会うことで周りの人々や社会は変わっていきますが、坊や哲は時代が変わっても、一切ぶれない芯の通った男として、演じきってくれました。
麻雀を好きな人が見ても当然楽しめるけど、全く知らない人が見ても、楽しめるものになっていると思います。ご期待ください。

白石和彌監督